職人を救う作戦③【建設現場の職人を「増やす」戦略~中学生から高校生編】

皆さん、こんにちは!

GENBA LAb.の武田です。中小ゼネコンで現場監督歴17年、所長歴11年の経験があります。

「建設業は伸び悩んでいる」と思い、2020年8月に会社を辞めて独立起業しました。建設業界全体の後方支援をしていきます。

  • 建設業のデジタル化
  • 生産性を上げる方法
  • 部下の育て方
  • 先輩や職人との接し方
  • 図面の読み方
  • 悩みの解決法

などなど、主に、現場監督目線での配信になります。 上司にとっても若手や新人にとっても、役に立つ配信をどんどんしていきます!

職人を救う作戦シリーズの第3段。職人さんを「増やす」戦略について記述しております。

前回、幼児から小学生をターゲットにアピールの仕方を解説しました。
(参考:職人を救う作戦②【建設現場の職人を「増やす」戦略~幼稚園から小学生編】

そして今回は、中学生から高校生をターゲットに解説していこうと思います。

まずは敵を知ることから

中学生になる頃には、だいぶん現実が見えてきています。おそらく、お父さんお母さん、もしくは皆さんがおもっている以上に、もう大人なのです。

考えてみてください。世が戦国時代なら、15歳で元服。もういっぱしの大人と扱われている年なのです。

その頃に比べれば平和ですので、本気で考えるという習慣がなく、危機もないので成長速度が落ちているように感じますが、実際に脳を働かせれば十分に大人と渡り合えるほどに成長しているのです。まずはそこを理解しましょう。

なので、もう「憧れ」という感情だけでは動かない人がほとんどになります。ですから、小さいころに選択肢として職人というものが入っていない場合、よっぽどの力技じゃない限りは職人にならないのです。

この年代の戦略としては、すでに職人という職業が視野に入っている人たちをターゲットにすることが優先されるということになります。

ところが!!ここには大きな障壁が待ち構えているんです。

それは・・・「先生」と「親」です。

年代にして40代が多く、バブル絶頂に生まれて、壊れゆく日本経済の混乱の中で生きた人間たち。その混乱を見ながら育った、スーパーデフレ世代の人間たちは、多くはこんな思想を持っています。

「貯金こそ正義」
「安定こそ正義」

職人という、日雇いの多い業種に対して特に不安を感じている世代といえるのではないでしょうか。

結果、わが子、わが生徒にはそんな不安定な職に就いてほしくないと思い、職人になりたいという願望を叶わぬものにする。本当の敵は、実はこんなところにいるのです。

つまり、この世代の子供たちを切り崩すためには、子供たちに直接働きかけても効き目がありません。その取り巻きとして君臨する「親」や「先生」を切り崩さなければいけないという事なのです。

現実は厳しい

この事態はとても重いのです。なぜなら、不安定な職種であることの多くは、事実であることが多いからです。

季節雇用がまだまだ存在する職人の世界で、すべてが安定しているとはとても言えません。実際、多くの職人さんは苦労しながら生活をしています。政策によって路線変更をしたという実態は、今なお根深く残っています。

2019年の親がついてほしい職業ランキングを見てみましょう。

【保護者】子どもになってほしい職業ランキング10

1位 公務員国家地方警察消防自衛官) 37.4%
2位 看護師 11.5%
3位 教師 8.2%
4位 医療事務・医療関連 7.1%
5位 医師歯科医師獣医 5.5%
6位 薬剤師 4.4%
7位 保育士幼稚園教諭・幼児保育関連 3.3%
7位 理学療法士作業療法士言語聴覚士・リハビリ 3.3%
9位 放射線技師臨床検査技師 2.7%
9位 技術者・研究者 2.7%
9位 会社員 2.7%

※リクルート進学総研第9回「高校生と保護者の進路に関する意識調査2019」調べ:182人が回答

・・・だそうです。どれも安定しているか、もしくは「普通でいい」という考えがにじみでていませんか?

仮にわが子が職人になりたいと本気で願っても、大人の経験には説得力があり、子供の言い分は風の前のチリになります。そして、普通のサラリーマンになったわが子をみて思うのでしょう。やっぱり普通が一番だ、と。

改革をする糸口があるとしたらココしかない

じゃあどうすることもできないのか。打つ手はないのかというと、いえいえそんなことはありません。

一致団結すれば怖いことなんて何もないのです。親が望んでいる事を、まずは整理してみましょう。

・何よりも、食いっぱぐれないこと
・健康でいてほしい
・幸せであってほしい


ただ、それだけなのです。

例えば、建設業の良い部分の噂だけ流して、とても安定した良い業界だというイメージを持たせることはもしかしたら可能かもしれません。いろんな「チカラ」をフル回転すれば。

ただそれではただの嘘つきです。嘘をついてはいけません。見栄を張ってもいいことはありません。

だとすれば、やることは2つ。

実際に安定した職業にする、ということ。

実際に危険な職業ではない、ということ。

そしてその取り組みを、可能な限りアピールしていくという事です。ひっそり活動しても意味がありません。

これは、「職人さんを生かす」の回で細かく発信しますが、不可能な話ではありません。少しだけのプライドを、未来に投資するという考え方に変換するだけなのです。

業界全体が危機感をもっと持ち、しっかりと準備をしなければいけないのです。

では実際のところを把握しておきましょう。実は建設現場は、毎年災害の件数は着々と減ってきています。厚労省のデータを見てみましょう。

参考:建設業における労働災害発生状況-建設業労働災害防止協会
参考:建設業における労働災害発生状況-建設業労働災害防止協会

これが事実です。見てください。技術の進歩と共に事故も確実に減っているのがお判りでしょうか。「危険ではない」と言い切るのはご判断に任せます。

例えば現在、17歳の子供を持つ親が45歳だったとしましょう。彼らが建設業に対して「危険だ」というイメージを持ったのが20歳ころだったとすると、今から25年前。つまり平成9年という事になります。

その頃の数字を追いかけると、とても安全になってきていると言えると感じます。これは事実です。そして、安全化は今も進んでいるのもまた、事実です。

まとめ

少し考えてみましょう。昔とても不良だったという男がいたとします。

その男は学生の頃、カツ上げ・万引きは常習で、毎日喧嘩をしては警察の厄介になっていたとします。その男が大人になり、バイクの整備屋さんになったとします。

世間はどう思うでしょうか。きっと「あの子は立派になった」と、とても称賛されるでしょう。

逆に、悪いことひとつせずに大人になり、バイクの整備屋になったとすれば、それはいたって「普通」。なんの波風も立たないに違いないのです。

世間のイメージの悪さは、ほんの少しの追い風でギャップが生まれます。そのギャップの幅が多ければ多いほど、少しのことでたくさんの効果を生むような気もします。

だとすれば、良くないイメージを持っている今だからこそ、変わることに意味があるのではないでしょうか。つまり、大きな変化じゃなくていいとも言えます。

みんなが少しづつ変わるだけで、大きなギャップを生みだせます。逆風が吹き荒れる今だから、投資の効果は大きいのではないでしょうか。

大丈夫。建設業の未来は明るい!