職人を救う作戦④【建設現場の職人を「伸ばす」戦略~その1】

皆さん、こんにちは!

GENBA LAb.の武田です。中小ゼネコンで現場監督歴17年、所長歴11年の経験があります。

「建設業は伸び悩んでいる」と思い、2020年8月に会社を辞めて独立起業しました。建設業界全体の後方支援をしていきます。

  • 建設業のデジタル化
  • 生産性を上げる方法
  • 部下の育て方
  • 先輩や職人との接し方
  • 図面の読み方
  • 悩みの解決法

などなど、主に、現場監督目線での配信になります。 上司にとっても若手や新人にとっても、役に立つ配信をどんどんしていきます!

今回は職人を救う作戦シリーズの第4段になります。

前回、中学生から高校生に対する「増やす」ための戦略を解説しました。
(参考:職人を救う作戦③【建設現場の職人を「増やす」戦略~中学生から高校生編】

今回からは、職人を「伸ばす」戦略をお話ししていきたいと思います。

まずは、ターゲットを明確にすることから

ターゲット

職人を「伸ばす」と一口で言っても、全員を伸ばすことはありません。

昔から棟梁が一人で現場を盛り上げていたように、リーダーを輝かせることによって「自分もああなりたい!」を助長させる仕組みが大切です。

私は17年の現場監督経験を持ちます。現場には毎日様々な職人さんが働いてくれていますが、中でも”やらされている”タイプの職人さんと、”頑張っている”タイプの職人さんとがいるように感じます。

その中で”やらされているタイプ”の職人さんは切り捨てます。

切り捨てるとは言っても、別にクビにするとかそういうことではなく、あくまでターゲットを絞るという意味です。伸ばすベきターゲットを明確にすることで、方策を具体的にしたい目的です。

次に、これからを背負って立つべき年齢である、ということも重要です。

前の記事でも書きましたが、「あの頃は良かった」と言っている方たちは、羽振りの良かった時代を経験している、ご年配の世代です。

想像の話にもなりますが、おそらく多少のことでは当時の輝かしい時代を超えることはできないのです。その過去の栄光世代にスポットをあてるのではなく、そんな話を何度も聞きながら一度もおいしい経験をしたことのない世代にこそスポットを当てていくべきだという事です。

それは、バブル崩壊後のドン底世代です。

単価が安くなってから職人を開始し、給料が安かろうが食らいついてきた世代です。自分の生活に不満はあれど、自分にはこれしかないという根性とプライドを持っています。そこに光を当てることの方が重要であり、もっともテコ入れの効果が大きいのです。

これらを総合して見えてくる、もっとも光をあてなければいけない職人像。そして、光をあてることで将来の建設業界を盛り上げてくれるであろう職人像。それは・・・

・30前半~40代前半の勢いがある職人
・自分は誰にも負けていないと思っている職人
・話し言葉に知性がある職人

おそらく現場を経験されている皆さんであれば、思い浮かぶ誰かがいると思います。彼らが、宝物です。業界の救世主となるべき人材であり、人財なのです。

彼らの心の内を覗いてみる

心の内を覗く

何度も言いますが、私は現役の現場監督です。

実際の現場で、私が「光らせるべき」と感じた職人に対しいろいろと質問をして、リサーチをかけてみました。その結果、出てきた彼らの声をまとめてみました。

◇不安・不満

・季節によって変動する仕事量がひどい
・下の人間が育ってこない
・万が一ケガをした後の人生と、老後が不安
・頑張っても給料が大きく上がるわけじゃない
・給料は少しずつ上がるが、必死で働いたからといって大儲けができない
・給料が見合っていない

◇なぜ職人を始めたのか、なぜ続けているのか

・カッコよさそうだったから始めた
・頭が悪かったから
・体力に自信があったから
・今さらやめるにやめれないから

・・・おおかた皆さんの考え通りなのではないでしょうか。私の聞いた範囲では、みんながみんな、同じようなことを言っていました。

つまるところ、みんなが同じようなことを思っていながら、変えることができずにズルズルと来てしまった業界が、建設業界だと言えるのです。

おそらくこれを見てくれている皆さんも、こうぼやいた経験があるのではないでしょうか。「なんとかしなくちゃいけないよなぁ。」・・・と。

結局何をしてほしいのか

考察する

では、彼らは一体何を望み、何をするのが業界のためなのかを考察しましょう。問題点は、職人さんの意見にもあった通りある程度明確です。

1、季節変動の平準化
2、頑張った分以上の給料をもらえるシステム
3、次世代の育成

バブル崩壊後のドン底世代にとって、もっとも憧れるのは・・・もちろんです。

なんだかんだ言っても、「儲けたい」という願望を満たしてあげなければ、職人業界は盛り上がらないということです。

考えてみてほしいのです。

・将来を背負って立つ「職人」というものの存在価値について
・「職人」という、ある意味絶滅危惧種にも似た希少性がもつ意義について
・ロボットが街を闊歩する時代が来るまでは、失うことのない必要性について
・少子高齢化が進むにつれ、より一層増す若手の職人さんへの期待値について

どれをとっても、お金を生み出す理由としては十分です。つまり、あとは「きっかけ」と「アイデア」と「行動力」だということです。

時代は、体力よりも知性とアイデアにお金が集まる傾向が強くなってきています。ただ、どんなに優秀な知性も、どんなに奇抜なアイデアも、それを生み出す媒体として「場所」は必要です。

その「場所」を提供するためには、やはり建設業は廃れません。そして時代背景から考えても廃れるわけにはいけません。

であれば、「信用力を換金する」というシステムに賭けるのです。自己の信用がお金を生み出すことのできる時代は、彼らを救う可能性を持っています。しかし、彼ら職人はその方法を知りません。

だからこそ、業界のトップである、皆さんのような経営者がケアしてあげなければいけません。

「今更・・・」じゃないんです。「もう遅いし・・・」じゃないんです。

今からでも、職人を救えます。いや、この時代だからこその救い方があると考えます。次回、もっと具体的な提案をしていきたいと思います。

大丈夫。建設業の未来は明るい!