
GENBA Lab.運営の武田です。建設業界の底上げに貢献するための活動や発信をしています。
建設業で働く職人さんを救うための戦略シリーズの第4弾です。
詳細は下記をご覧ください。
建設業の職人不足を解消するための3つの提案【職人さんを救いたい】 | 現場ラボ
前回は職人不足の原因についてのお話でした。今回は、建設業で働く職人さんを救うための、戦略について書いていきます。これからもまだまだ続いていくと予想される建設業の人手不足を打開するために、僕らが本気で取り組むべき戦略は、大きく分けて3段階あります。
前回、職人を「伸ばす」ための戦略、その触りを解説しました。
【建設業の職人不足解消に向けた取り組み③】職人を伸ばす戦略 | 現場ラボ
今回は建設業で働く職人さんを救うための戦略シリーズの第3段になります。 詳細はこちらをご覧ください。 建設業の職人不足を解消するための3つの提案【職人さんを救いたい】 | 現場ラボ前回は職人不足の原因についてのお話でした。今回は、建設業で働
今回は、職人を「伸ばす」戦略~その2をお話ししていきたいと思います。
伸ばすこととは、つまり将来の建設業界を背負って立つであろう職人さんに、もっと頑張ってもらえる仕組みづくりのことを指します。具体的には以下の3点です。
- 季節変動の平準化
- 頑張った分の給料をあげられるシステム
- 次世代の育成
安定したい。儲けたい。右腕が欲しい。かいつまむとこんなところでしょうか。この記事では、2番目の「儲けたい」という願望を叶える仕組みを検討していきましょう。
【筆者のプロフィール】


現在の仕組みのどこがダメなのか

建設業は、昨日今日始まったような業界ではなく、大昔から存在しています。きっと大昔は、腕に自信のある者が家を建ててあげ、庶民から感謝の気持ちを物品としてもらっていたのでしょう。
もちろん建て主にすれば、自分では到底できないことをやってのける大工達を尊敬し、感謝してそれ相応の対価をあげていたに違いありません。その頃の考え方は、「生きるために働く」ということが当然でした。
そこから「お金」という概念が生まれ、社会が豊かになるにつれ、いつしか「お金をもらうために働く」というものに変わりました。生きることイコールお金をもらうことと錯覚し、お金が一番偉くなりました。こっちは客だぞ!と、怒鳴る人まで現れる世の中です。
本来はできないことをやってあげるのだから、お金をもらうのは当然という、対等な立場であったはずなのですが。家を建てる側ではなく、建ててもらう側が強いという、なんともヘンテコな社会の中で、だんだんと主従関係は崩壊していきました。
気がつけば、建てる側が安く抑えることができ、建ててあげる側の賃金が下がりはじめます。
技術の安売りはマズイという考えもあったのでしょうが、一度誰かが安く建てれば、それよりも安く建てる人が現れる。給料は下がるが、仕事がなくなるよりはマシだからです。
お金は回すことに価値があると固く信じ、安くてもいい仕事をするという男気が生まれ、ここに建設業界のデフレスパイラルは完成しました。
そして談合を全面的に「悪」とする世の中になってからは、地方で仲良くやっていた小さな会社さえも「悪」とみなされてその渦に巻き込まれていきます。
競争こそ健全である、という当たり前と思われる常識は、非常識な給料として跳ね返ってきました。そもそも高すぎる、と思える建物の金額とは、その実は全て人間の給料なのです。
働く人、材料を作る人、原料を作る人、原材料を採る人、使う機械を作る人、その機械の材料を作る人、などなど。スタート地点にある「地球」という資源にお金を払ってない以上、金額は全て給料の集合体に他なりません。
その金額を安くすること。その影響力がいかほどのことかは、考えずともわかるでしょう。つまり、本来他の人が到底できない仕事をやってのけるからこそ、そこに対価が生まれるのは当然のスジ。
そして需要に釣り合わない人数の少なさは、希少性という大いなる価値を生み出して当然。今の対価は、何をどう転んでも、安すぎるのです。
明暗を分ける3要素。衣食住。

卑弥呼の時代からから、人間そのものは大きく変わってはいません。衣服を着て、食物を食べ、家に住みます。
衣食住という3要素は、いつの時代も変わらない概念です。そしてこれからも。変わったことといえば、それは文化が発展したことでしょうか。
文化の発展は、生活を随分と楽にしてきました。どこにも行かなくても、大抵のものが手に入ります。服も、食べ物も。
機械により大量生産が可能となり、安価に、良いものを安定して作ることが可能になりました。服も、食べ物も。
お気付きになりましたか?そうなんです。衣食住の3要素の中で、規模の全く違うものがあります。
それは「住」です。
衣服も食料も、生産する場所と消費する場所が、必ずしも一致しなくても良いもの。だからこそ大量生産も、安定供給も簡単にできるのです。これに対して、建物は違います。
建物は、生産する場所と消費する場所が必ず一致します。世界中どこにいても手に入るというものでは無いのです。同じような歴史を辿っているようで、その他の2業界とそもそも違うのです。
それゆえ、インターネットがどんなに発達しようとも、物流がどんなに画期的になろうとも。やっぱり建物を建てる為には、まず土を掘ります。そして基礎を作って埋める。そこから始まらなければいけません。
地産地消を推奨しなければ散財してしまう!と危惧する必要はありません。なぜなら、材料こそ大量生産ができるとはいえ、それを現地で造りあげる職人さんは、地産地消にしかならないのです。
つまり建設業は、一か所にとどまって良いものではなく、全国に満遍なく必要とされます。そこに人が生きている限り、間違いなく必要なのです。
生産性をあげる、3つの方法

今回の記事の趣旨から少しズレてしまっている気がしますか?職人さんを伸ばす、の会でしたね。そんな時代背景を踏まえて、知って欲しかったのは、つまりこういうことです。
○ 廃れるわけにいかない
○ 助けを待ってても来ない
これが言いたかったのです。
限られた人数の中で、多くの仕事をこなさなければいけないのが現実です。そして、その打開策とは。その答えはとてもシンプルなものです。
仕事量は減らない。職人さんは増えない。そして、職人さんを儲けさせたい。
職人さんの数を分母に、仕事量を分子にすると1を超えてしまう現状を打開する。1以下にする魔法。それは、職人さんの数に1以上の係数をかけてあげることで分母が大きくなります。
つまり、職人さんを伸ばすこと。それは、生産性を上げるという方法です。
1人工の職人さんが、例えば2人工分の仕事ができれば、いいじゃないですか。そんな簡単に言うなよ、とお思いですか?
生産性を上げれるとすれば、いくつかの方法があります。それは・・・
1 ロボット化する
2 画期的な工法を使う
3 職人をパワーアップする
少しバカっぽく見えるかもしれません。確かに少し前までは、ドラえもんの世界でしかなかったように思います。でも、IT化が進んできた現在の世の中においては、決して非現実的な話ではなくなってきたのです。
「どこでもドア」は近い将来現実的になるでしょう。その根拠は「量子テレポーテーション」という技術の研究が進んできているから。物質は近い将来、一瞬で遠くに転送することが可能になるということです。ね?現実的でしょ?
とは言え、そこまでの最先端技術を使わなくても、もっともっと簡単にこの3つの内のどれかを実現することは可能です。そしてアイデアはそれだけではありません。
単純な話、この3つのどれかに当てはめれば、職人さんの2人工化は可能でしょう。そして生産性をあげると何が起こるか。賃金が上がっていくということです。これは必然です。
まとめ

今回の結論としては、生産性をあげる3つの方法が鍵を握りそうですね。
このどれかが、私はすぐにでも実現可能だと考えます。そして具体策も提案していきます。職人さんの生産性を上げて、伸ばしましょう。
少しの投資で、大きなリターンを得ようじゃないですか。そして職人さんはカッコいいと、世間に知らしめましょう。次回から、3つの戦略の実現可能性について検証していきたいと思います。
大丈夫。建設業の未来は明るい!