【建設業の職人不足解消に向けた取り組み⑤】職人を「伸ばす」戦略~ロボット化は来るのか?

ロボット化

皆さん、こんにちは!

GENBA LAb.の武田です。中小ゼネコンで現場監督歴17年、所長歴11年の経験があります。

「建設業は伸び悩んでいる」と思い、2020年8月に会社を辞めて独立起業しました。建設業界全体の後方支援をしていきます。

  • 建設業のデジタル化
  • 生産性を上げる方法
  • 部下の育て方
  • 先輩や職人との接し方
  • 図面の読み方
  • 悩みの解決法

などなど、主に、現場監督目線での配信になります。 上司にとっても若手や新人にとっても、役に立つ配信をどんどんしていきます!

職人を救う作戦シリーズの第6段。

前回、職人を「伸ばす」ための3つの戦略について解説しました。
(参考:職人を救う作戦⑤【建設現場の職人を「伸ばす」戦略~その2】

今回は、その中でご紹介した「生産性をあげる3つの方法」より、【ロボット化】について検証してみたいと思います。

目次

前回までのふりかえり

改めて、建設業の実態を振り返ってみましょう。

昨今、人手不足が深刻になりつつある建設業の現状ですが、建物の必要性自体は変わっておりません。職人さんは減少の一途をたどる一方で、職人さんの賃金は明確に上がってきておりません。

本来なら、分母である労働人口が減れば、希少性が上がっていくため分配される所得は向上して当然なはず。なのに、その兆しはなかなか現れません。これはつまりは一人当たりの仕事量が増加しているのに対して、給料が上がっていないということ。

働いても働いても給料が上がってこない。そんな風に職人さんは受け取っています。その事実もしくは周りの風評が不安感を誘い、あたかも「不安定な職種である」という認識を広めることになり、若手が職人をやりたがらない理由の一つとなっているのです。

それが現在の人手不足の一因となっていることは、言うまでもありません。・・・とはいえ、それを嘆いていても始まりません。次の一手を考え、前を向いていきましょう。

そこで、建設業が打つべき次の一手は、「生産性を上げる」ことです。

単純な計算ですが仕事の効率をあげて、本来10人でやるべき仕事を、5人でできるようになったとします。おれは、生産性が2倍になったということであり、1人で2人分の仕事をできるようになったと考えることもできます。

請負金額2~3億円程度の中規模の物件であれば、僕の経験上の数字でもありますがおおむね3000人工程度の人手が必要です。生産性が2倍になったと仮定すると、同じ建物を2分の1の人数で、つまり1500人工で新築することが可能となります。

これにより、職人さんの数を増やさなくても、実質人数を増やすことが重要だと考えます。

そこで前回、【生産性をあげる、3つの方法】について提案しました。

1 ロボット化する
2 画期的な工法で施工する
3 職人をパワーアップする


今から先に考えられる、生産性向上の方法はこのくらいでしょうか。その中から、今回は「1.ロボット化する」について、有効な方法なのかどうかを検証していきたいと思います。

ロボット化は可能なのか

建設現場において、2020年時点でロボット化は現在どこまで進んでいるのかをざっくりとみてみましょう。

・ フランスでは、ドローンを使ってレンガを正確に積み上げるシステムを研究している。
・ アメリカでは、完全自動化されたAIを搭載した重機が無人で掘削、堆積を行う。
・ 日本の大手建設会社は、左官屋さんに代わり、遠隔操作で床コテ仕上げを行う機械を開発。
・ 各地でロボットアームと呼ばれる重量物運搬のロボットが研究を進めている。
・ アラブのドバイで3Dプリンタ技術を用いてオフィス(H6.0m、W37.0m)を4日間で完成させた。
・ 日本で、3Dプリンタで鋼材を生成する技術を開発。

・・・まだまだありますが、現在建設業のロボット化はかなりの規模で研究がおこなわれております。ただし、まだまだ日本では建築基準法のクリアできる技術としては、すべての建築物に対応は不可能です。

今後の流れとしては、まず研究開発が進み、実証実験を終え、次に法律の解決を行い、運用実験をし、改良を加え、大きい現場から少しずつ採用され始めて・・・というように、進んでいきます。

15年くらい後には、部分的にロボットに置き換わる場面が出てくるでしょう。
30年くらい後には、大規模建築物の大部分がロボット化していくでしょうか。
50年後くらいには、そろそろ職人は必要とされるところだけに限定されていくでしょうか。
80年後くらいにはもしかしたらロボット建築が主流になっているかもしれません。

量子コンピュータが普及してくれば、AI技術の向上は驚くほど加速していきます。それと共に、計算能力があがり、研究スピードも、生産能力も飛躍的に向上していくことになります。

なので、実際はどういうスピードで時代が進んでいくことになるのかはわかりませんが、少なくとも完全に職人が必要とされなくなる時代がいずれくるかもしれません。

ですが、まずはロボットにバトンタッチする時代が来ることまでに、今のままでは職人さんの方が先にいなくなる未来の方が先に来てしまいそうな気もします。

つまりここまでを要約すると、現在の職人さんの生産性を向上させる材料として、ロボット技術に期待するのは現実的ではないという事になります。

少なくとも、来年、再来年でもないでしょう。根本を改変する画期的な技術ではありながら、普及はもう少し先になりそうです。

・・・ということで、生産性を向上させるプランとして、「ロボット化する」というプランは、すぐに期待できる技術ではなさそうです。

少なくとも大きな規模の会社、建物のための技術であり、中小企業に浸透するまでにはしばらくかかることになるため、採用は厳しいと考えるほかありません。

まとめ

今回は、建設業の実態を踏まえたうえで、生産性を向上する作戦「ロボット化する」について考えてみました。そして結果としては、今すぐに変化するということに関して、現実的ではないということがわかりました。

いろんな視点から検証し、失敗し、改善し、成功させる。そうやって技術は進歩してきました。

例えばそのプロセスなしに、すっとばして急速な改革が起きたとしても、地固めができていなければ何が起きるかわかりません。そういう観点からも、あまりに急速にロボット化が進むことはなさそうです。

次回、「2 画期的な工法」について検証してみたいと思います。どんなことでも、必ず解決の糸口はあります。時代に合わせ、今を生きながらも、次に備えるのが大切だと思います。

大丈夫。建設業の未来は明るい!

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