職人を救う作戦⑧【職人を「伸ばす」戦略~職人をパワーアップせよ】

皆さん、こんにちは!

GENBA LAb.の武田です。中小ゼネコンで現場監督歴17年、所長歴11年の経験があります。

「建設業は伸び悩んでいる」と思い、2020年8月に会社を辞めて独立起業しました。建設業界全体の後方支援をしていきます。

  • 建設業のデジタル化
  • 生産性を上げる方法
  • 部下の育て方
  • 先輩や職人との接し方
  • 図面の読み方
  • 悩みの解決法

などなど、主に、現場監督目線での配信になります。 上司にとっても若手や新人にとっても、役に立つ配信をどんどんしていきます!

今回は職人を救う作戦シリーズの第8段。

前回、職人を「伸ばす」ための戦略の内、「生産性をあげる3つの方法」より、【画期的な工法】について検証しました。
(参考:職人を救う作戦⑦【職人を「伸ばす」戦略~画期的な工法を検証】

今回は、「生産性をあげる3つの方法」の中の一つ、【職人をパワーアップ】を検証してみたいと思います。

今回で職人を救うシリーズは完結です。ぜひ最後まで読んでみて下さい。

職人をパワーアップさせる意味とは?

まず、職人をパワーアップさせると、一体どんなことが起こるのかを確認しておく必要があります。

説明するために、少し話を誇張した例を出してみます。


1人の職人さんが、8時間で行える作業量のことを、「1人工(にんく)」と呼びます。

中小建設業の皆さまにとって想像しやすくするため、
「請負金額2億円。RC造2階建ての福祉施設の新築」という事例でお話ししていきます。

このクラスの規模の建物を新築すると、概ね3000人工程度が必要となります。ここで働いてくれる職人さん全員を、仮に2倍にパワーアップさせることができたとしましょう。

すると、今まで1人でできる作業が1人工だったのに対し、1人で2人工分の作業ができるようになったということになります。

3000人工が必要なこの建物の場合、3000人工を2人工で割った数字、つまり・・・
  3000 ÷ 2 = 1500
となり、1500人工いれば3000人工分の仕事ができ、建物が完成するという計算になります。

1500人工で、3000人工分の仕事ができる。これはつまり、実質の職人さんの数が、倍になったのと同じことになります。

今後職人さんの人数自体の増加が見込めなかったとしても、仮に生産性が2倍になれば、それはもう職人さんの人数が2倍になったと同じ意味を持つということです。

しかも、1人で2倍の仕事ができるので、利益も2倍になるということです。当然、職人さんの給料も2倍に・・・とはうまくいかないかもしれませんが、ガンガン稼げるようになるというのは間違いありませんね。

ご理解いただけたでしょうか。

職人さんをパワーアップさせる意味は、とても効果が高い方法なのです。まぁこれは職人さんの能力を2倍に上げるという、誇張した例ですので、その意味合いだけ理解していただければ、このパートはOKです。

実は夢の話ではない、生産性2倍。

生産性を2倍にするというのは、実は全然不可能という話ではありません。

以前の記事でお話しした「ロボット化」というものが、もしも実現してくるとどうなるのかわかりますか?一人のエンジニアに対して100台のロボットが稼働しているとすると、生産性は100倍。いわゆる「工場での生産ライン」がまさにこれに該当します。

ロボットを管理する人間1人に対して、100倍、200倍の能力を発揮できている環境が、まさに工場なのです。昔より建築現場に人間の数が少なくなっているのは、工場で生産する能力があがってきた結果でもあるのです。

話が少しそれました。何が言いたかったのかというと、ロボット化すると、生産性は2倍なんていうレベルじゃなく飛躍的に上昇していきます。なので、人間とロボットの中間のようなものが存在するならば、そこそこ現実的に2倍を目指せると思いませんか?

少し見えてきましたか?

職人をパワーアップする技術

近年の技術の発達により、あらゆるものがとてつもない進化を遂げております。ただし、最先端技術を取り入れるには、それなりの金額と、リスクが生じます。先端を行くということは、研究開発に費用がかかり、そして前例がないからです。

前例がないということは、やってみないと成功か失敗かわからない。そんなものを、庶民が使えるわけがありません。技術者の根幹で支えられているものは、安価で安心、そして便利な「中間」なのです。

固定電話で通話する事と、実際に会って話をする事。その中間が「チャット」つまりLINEです。

携帯電話とパソコン。その中間が「スマホ」です。挙げればたくさんありますが、いつも最先端の技術と現在のガラパゴスとの、ちょうど中間が僕らにとっての「使いやすい」ものであったわけです。

では、人間とロボットの中間とはなんだろうか?と考えると、一つ浮かぶものがあります。

それは「パワーアシストスーツ」です。マッスルスーツやパワードスーツなど、色んな名称はありますが、全て同じ物です。

現在様々な分野で活用が始まってきている、まさに「人間」と「ロボット」の中間の技術です。

とはいえ、システム自体はもちろん最新技術の結晶であり、まだまだ伸びしろを残しております。ですが人間の能力を、あくまで「アシスト」する技術であるため、庶民にも十分手が届く価格に収められます。

そして職人の意思に沿って行動できるため、すべてをプログラム化する必要がなく、開発も早いのです。ただしこれは、能力を2倍にして、生産性を2倍にするものではありません。

試してみなければわからないでしょうが、1人の作業員が1.1~1.2人工くらいにはなるでしょうか。想像に域を超えませんが。介護業界では1.5倍も向上したなんて話はあります。

例えば、1.1人工にパワーアップしたとすると、3000人工必要な建物は2727人工で完成します。つまり273人工の減少です。

一人の職人さんは、1年間で約300人工の仕事をします。ですので、職人さんが仮に1人増えたのと同じという計算が成り立ちますね。

このマッスルスーツの良さは、もちろんこれだけではありません。「負担がかかりずらい」というのが真骨頂です。

若い職人にとっては、1.2人工分の働きをすることができるかもしれません。そしてベテラン氏職人にとっては、負担が少ないため長く働くことができるというメリットもあるのです。

長く安全に働けるという事は、つまり本来なら働けなくなっていく世代の人も、現役バリに働き続ける期間が長くなるという事になり、結局は人数を増やす事と同じ意味を持つのです。

お判りいただけたでしょうか?

まとめ

パワーアシストスーツ。

これは、職人を生かすことのできる技術だと確信しています。培ってきた技を殺さずに、ロボットの時代にも共存できる方法だと確信しております。

建設現場での導入実績はまだまだ少ないですが、もう少し建設現場に特化した開発が進めばあっという間に広がるでしょう。改良の余地がたくさんある技術です。

人間に近づければ精巧で複雑な作業を。ロボットに近づければ大掛かりで正確な作業を。どちらも建設業にとっては有用な技術といえます。建設現場に普及していけば、生産性は確実に上がるでしょう。

そして体に大きな負担がかからないので、年を重ねていっても長く職人をやっていけます。そういう意味でも職人を増やすことに一役買っているものといえるのです。

これから、パワーアシストスーツについても調べて解説していきたいと思います。

大丈夫。建設業の未来は明るい!!