GENBA LAb.の武田です。中小ゼネコンで現場監督歴17年、所長歴11年の経験があります。
「建設業は伸び悩んでいる」と思い、2020年8月に会社を辞めて独立起業しました。建設業界全体の後方支援をしていきます。
- 建設業のデジタル化
- 生産性を上げる方法
- 部下の育て方
- 先輩や職人との接し方
- 図面の読み方
- 悩みの解決法
などなど、主に、現場監督目線での配信になります。 上司にとっても若手や新人にとっても、役に立つ配信をどんどんしていきます!
知る必要のない仕組み

今回は努力と根性時代というのはもう終わりましたという話をさせていただきたいと思います。
皆さんは自動販売機を使ったことがありますか?使ったことはありますよね?
その自動販売機に対して100円・120円160円とお金を入れてボタンを押すとジュースが出てきますよね。
その中の仕組みわかっていますか?わからないですよね?
ボタンを押したらジュースが出てくるということはわかっていても、それがどういう仕組みでジュースが出てくるに至るのかというところまで分かっている人はほぼいないと思います。その理由として、分かる必要がないからなのです。
なぜならお金を入れてボタンを押すとジュースが出てくるということをみんな知っているし、それを押しさえすればほしいジュースが手に入るからなのです。当たり前に根付いているという事なのです。
自動販売機の中の仕組みというのはおそらくエンジニア以外は知り得ないと思います。知る必要がないというところなのです。この辺から分かってくる建設業の今の状態、なぜ努力と根性がもう終了の時代に来てしまったのかお話を関連付けて進めていきたいと思います。
ブラックボックス=進化

自動販売機がボタンを押したら自動的にジュースが出てくるこの仕組みは誰にも分かり得ないところです。ボタンを押せばジュースが出てくるという中身の部分は見えるようで見えない、この部分のことを一般的に“ブラックボックス”という言い方をしたりします。
このブラックボックスというのは、知る必要がない部分を機械に閉じ込めてしまいコンピューターに管理させる考え方のことなのです。そしてこのブラックボックスの部分をどんどんと大きくしていくことがいわゆる進化と呼ばれるわけです。
畑で例えると、、、
昔畑を手で耕していました。
それから耕運機というものが生まれて、手で引っ張ると歯車が回転をして畑を耕すという仕組みを手に入れたことになります。
でも手で引っ張ると畑が自動的に耕されるということをわかっていても、その歯車がどういう仕組みで回っているのかというところを深くまでわかっている人はほとんどいません。
でも引っ張ると耕されるということはわかっていた。これがいわゆるブラックボックスという状態なのです。
そして時代が流れ、トラクターというものが生まれ、さらにブラックボックスの領域が広がりました。何故なら操作をすることで凄まじいスピードで耕すことができるからです。
一つ一つの部品の仕組みが分からなくても、操作方法さえわかれば同じ品質、むしろもっともっと高い品質のものを簡単に作り出すことができる、量産することができると進化してきたわけです。
人間の進化は止まらない!

ここから少しだけ人間の進化についてのお話になります。
人間の進化は何を起点にし、何があったから進化というものが生まれてきたのか、何が起きたから進歩することができたのかを紐解くと、その根本的な部分にあるのは記憶が記録に変わった時。この時に進化というものが起きます。
人間はもともと言葉を持ちませんでした。本能に従って生きていたのです。
だからこそ自分が思った行動し生活をしていたわけです。
そこから進化することによって言葉というものが生み出されました。言葉を生み出すことによって自分の記憶だけではなく言葉として発する。そうすると仲間たちが同調して同じことを一斉にやることができるという一段階進化したのです。
そして今度は文字に起こすということができるようになりました。文字に起こすことができるとそれを見た人が理解できるようになったのです。こういう風にして自分の言葉だけで自分の子供にしか伝えられなかったようなことが一般的に文字さえ読めれば誰もがその情報に触れて一段階進化できたのです。
そして今度は紙というものが出てきて、文字というものがより一層爆発的に広がりを見せたのです。情報の幅は広がってどんどんと同じ技術をいろんな人が手にすることができるようになりました。
記録というものがどんどん広がることによって、今最先端の英知というものを誰もが手にし、一番上の一番美味しい所だけを摘んでそこからスタートできる進化というものを生み出すことができるようになってきたということなのです。
そして時代は進んでいき文字をデジタル化しCD1枚に閉じ込める技術、さらに進化しオンラインで情報を世界中がシェアできるようになったのです。そして現在、リアルタイムで思ったことを発信すると世界中の人が受け取ることができるSNSというものが生まれることによって情報を取ろうと思えばいつでも取れる状況になったことになるのです。
それが進化のプロセスっていうものになるのです。
このプロセスというものを押さえた上で今現在の建設業をちょっと振り返ってみましょう。
いまがその時期です!

今現在の建設業は基本的には団塊の世代と言われる人たちが培ってきた努力と根性血と涙というものによって、技術力・ノウハウというものは積み上げられてきたのです。それを後輩たちに教える、代々つなげることによって会社独自の技術、建設業全体の技術性能が培われてきたわけです。
努力と根性があるからこそ、長い時間残業しながらでもこなすことが出来ますしそういうふうにして先輩たちはいろんな技術を頭に詰め込んで発揮してきたのだと思います。
ただし今の人間の進化を考えてみると記憶というものを記録に置き換えて、その記録を一番おいしいところだけを後輩に渡し、そこから始まるさらなる高みという風にどんどん高いところへ進んで行かなければいけない状況です。
ここまで世界が進歩して、IT業界が、AIが、デジタル化がどんどん推進している中だからこそ今このタイミングでやらなければいけない事は努力と根性によって生み出された土台・技術力・ノウハウというものをブラックボックスの中に閉じ込める時期が来たのではないですかというのが僕からのメッセージなのです。
つまり今までやってきた大変だった作業というものをブラックボックスに閉じ込める、つまりはデジタル化、データ化するということ、さらに解析するためのAIを放り込む、それは素晴らしい進歩だと思いませんか?
ひとつひとつブラックボックスに閉じ込めるという時期がそろそろ来ているのではないでしょうか?
だからこそ努力と根性っていうものはそろそろ終わりにしませんかっていうことなのです。
そこに閉じ込めることができればプロセスっていうものは特に知らなくていいのです。
確かに本質を理解してそのプロセスが分かっていないと生まれないものはあると思います。
そうではなく、いきなり頂点の一番おいしいとこだけを掴んだ人が新たに発想して出てくるものが皆さんでは考えつかない所の可能性があるわけです。もっともっと楽にこなせる方法、もっともっと簡単に同じ結果が手に入れられる方法というのを考えていく、そのぐらいの能力がもう皆さんにはついてきているはずなのです。
今ある既得権益を必死で守るのではなく“今いる若者がやる気がないんだよな”とか“根性がねえんだよな”と思うのではなく、根性がなくても、やる気がなくてもボタンひとつで現場管理ができるような仕組みを作ってあげればやる気なんてそもそもなくてもいいわけです。
誰もが現場管理ができる、現場を進めることができるブラックボックスを作ってあげることこそが先輩である皆さん、上司である皆さんが作っていかなくてはいけないシステムそのものではないのかと僕は思います。
まとめ

ここから先は皆さんの技術力をどういう風にデジタル化し、どういう風にガラパゴスから脱出してどういう風にブラックボックスを大きくしていくのか、そのプロセスはどういう風になっていたらいいのか、皆さんが努力と根性で手に入れたその英知から生まれる何かというのを考え、それを後輩たちに預けるという時期に差し掛かってると思います。
このコロナ化によってデジタル化がめまぐるしく成長しています。
建設業の中でも中小企業はガラパゴス化が進んでいる、要はデジタル化が導入されないという域に入ってきておりますので、せめて少しでもデジタル化が取り入れられるように別の領域はないかというところをチャレンジしてみていただければなと思います。
努力と根性が駄目だと言っているわけではなく、もう少しそれを踏まえた上でみなさんの英知を固めたブラックボックスというものの領域を広げられるように知恵を傾けていただければなと思っております。