
GENBA Lab.の武田です。中小ゼネコンで現場監督歴17年、所長歴11年の経験があります。
建設業界をもっと働きやすい場所にするために現場効率化事業をスタート。発信活動にも力を入れています。
- 建設業のデジタル化
- 生産性を上げる方法
- 部下の育て方
- 先輩や職人との接し方
- 図面の読み方
- 悩みの解決法
などなど、主に、現場監督目線での配信になります。
上司にとっても若手や新人にとっても、役に立つ配信をどんどんしていきます!
現場監督は自分が一番安いと思っている

斫り屋さんには斫りをやってもらう。そして後ろから雑工さんにその片付けをしてもらうことがあります。
これはなぜかと言うと、効率がいいからです。現場監督ならわかると思います。
斫り屋さんに片付けを一緒にやってもらうと片付けをしている間は斫りができません。つまりその分作業が止まってしまいます。
斫り工は、単価が非常に高い専門職です。片付けは低単価な職種に任せるのが現場的には最も効率がいいと考えるからです。
そしてモチはモチ屋というだけあって、誰に頼んでもできなくはないのですが専門職に任せた方が早く正確できれいに終わるという事を知っているからです。
お客さんからいただいたお金を無駄にすることなく現場を運営していく事をうまく考えるのが現場監督です。
時間の価値

常用という形で「1人工」で現場に来てもらう職人さんに対して、同じ1人工を支払うのであればしっかりと計画を練って作業をしてもらう方がコストパフォーマンスが良いと考えます。
ですが「1人工に満たない、ちょっとした作業」が発生した場合こういう気持ちが湧くのも現場監督です。
「自分たちでやろう」もしくは「新人にやらせよう」と。
簡単に言うと、職人さんに来てもらうとお金がかかり現場監督自らがやれば「タダ」だという考え方になっているという事です。
でも、よーく考えてみて下さい。
「それ、本当ですか?」
確かに現場監督は基本的に月給もしくは年俸制であることが多く、働いても働かなくてもコストがかかります。他の人にお金を払ってやってもらうより、自分たちでやった方がコストパフォーマンスが良いと思ってしまうのでしょう。
でもこれは他のどの職人さんよりも現場監督の時間が一番安いと思う考え方に他なりません。
簡単に言うと、職人さん達には目に見えて報酬を払っているのに対し、自分たちの給料は「自然に発生している」と思っている考え方になります。
職人さんには、より専門性の高い仕事を効率よく働いてもらおうとしているにもかかわらず、誰が考えても経験が浅く品質も低い「現場監督」が自分たちだけは違うと思ってしまうのでしょうか。
それは鉄筋屋さんにクロスを貼ってもらっているのと同じじゃないのでしょうか。
きっとそんな状況を見たら、「なんで?」とか「もったいない」と思いませんか?
良く考えてみて下さい。本当にそれが一番安いのでしょうか。
そんなはずはありません。それは時間の価値を理解していない考え方です。
現場監督は、いわば現場の司令塔です。司令塔が作業をするとどうなるのか。
当然そこから指令が出ないことになり、それ以降の仕事は一切進みません。
仮に100人の職人が待っていたとしても、合計で「1人工」という事になります。監督の作業レベルで考えると、0.5人工以下じゃないでしょうか。
その0.5人工を得るために、代償にしたものは何か。100人工分の作業です。
少し極端な例だと思いますが、それが時間の価値だと思います。そのぐらいムダな行動をとっているという事です。
まとめ

次の職種がよりスムーズにいく段取りをしましょう。それが専門です。
今よりも良い納まりになるように頭を使いましょう。それが専門です。
より少人数で同じパフォーマンスが出る工法を考えましょう。それが専門です。
そうやって頭を使い現場をスムーズに進めることによって、確実にミスが減っていきます。職人さんが働きやすい現場だと思い押しどころで人が集まってくれやすくなります。工期が圧縮できればコストもかかりません。
今日頼んだ1人工の雑工さんなんかより、次の職種が気持ちよく仕事のできる土俵を整えることにつかう1時間の方が圧倒的に安く上がるという事になぜ気付かないのでしょうか。
現場監督の仕事は頭を使う事です。そこに100%の労力を傾けるのです。職人さんが100%の力を出してくれる場所を作るのが仕事なのです。
そんなことは分かってはいると思いますが、今一度自分の働き方を見直すきっかけになって欲しいと思います。
それが建設業の本来の形だから。