現場監督になりたての新人に教育すべきことは何ですか?
そう聞いても、多くの先輩や上司はうまく答えられません。皆さんはどうでしょうか。今回はそこを明確にしておきたいと思います。
入社してすぐの段階、若手教育フェーズ1は【現場を理解する】ことです。
学生から社会人になったばかりの彼らは、社会人における最低限のルールやマナーなど、全てにおいてわからないことだらけ。ですがついこの間まで学生だったため、「教わる」ということに対してまだ抵抗がありません。
そんなスポンジのような彼らにまず教えるべきことは、『取り返しのつかないミスにつながる部分』です。
例えば法律を犯してしまうことや、顧客に対して不利益を与えるようなことであり、「知りませんでした」で済まないことを指します。
現場を理解する
具体的に例を出してみましょう。
現場に関連する法律といえば、例えば労働安全衛生法があります。手すりの高さや、足場の点検のしかた、安全書類などがあります。「なんとなく安全そうな感じにする」のは、管理とは言えませんよね。
仕事には必ず根拠が必要。その入り口が「法的根拠」になるのです。やってしまった後で「知りませんでした」では済まされないことを、最初にしっかりと教える必要があります。
また、顧客のプライバシーや現場の不都合などをSNSで発信してしまうような事は、会社にとって致命的なダメージになりかねません。そのため、「知らずにやる」ではなく、「理解した上でやる」ことが大切です。
技術面においても同じで、結局は「理解をする」というところが大切。少なくとも、図面を読めば理解できる、仕様書を読めば何が書いてあるのかわかる、施工図が理解できるなど、仕事のアウトラインを最低限わかるように教えていきます。
どこか一点を深掘りするような、専門家を作るための教育ではなく、工事の全体像や会社組織の大きな役割等を把握してもらう必要があります。
つまりフェーズ①の段階では、詳細な納まりや自分の意見などを持つ必要はありません。
全体の流れや大掴みの部分を、バランスよくふわっと経験させ理解させることです。これにより、自分が進めていく仕事の意味や意義の理解が深まり、やりがいを見出しやすくなります。
大切なのは教える側の意識
見たことがない、聞いたことがないことがあれば、そこに軽はずみな行動が生まれてしまいます。結果知らずのうちに会社や施主への大きなダメージを与えてしまうことになるのです。
図面や仕様書が、マンガやYouTubeで見る様な非現実世界ではなく、リアルに「現実のことなんだ」と教えることが重要。社会人としての最低限、技術の大枠を理解させるように教育することこそがフェーズ①であり、まずは学生と社会人とのギャップをしっかりと埋めてあげることが先決です。
もしもあなたがこれを理解して進めていたとして、他の先輩や上司がわかっていなければ意味がありません。
教育を行う上では、教える側の意識が大切なのです。相手の能力をしっかりと見極めて共有し、「どこまで成長することが正解なのか」を全員が把握していきます。
それ以上のことを教えていくことがダメだというつもりはありませんが、それはあくまで「ついで」にしておくべき。最低限教えることをしっかりと把握をし、先輩たちがよってたかって教育していくのです。
そして誰もが「クリアした」と納得したのであれば、速やかに次のフェーズに進めるべきです。仮に同期の子たちが全然育っていないとしても、遅れている人に合わせるのは学校だけで十分です。
伸びる子はどこまでも伸ばせる機会を作ることが、社会では【公平】と言います。
しっかりと見極めて、ガンガン伸ばしましょう。
次回は、教育フェーズ②の話をしていきます。
