【建設業/施工管理の主任教育】若手育成の第3フェーズ〜現場を管理せよ!〜

現場監督になり、3~10年程で現場を自分で動かすことを学んでいきます。習得するまでの時間に幅があるのは、もちろん個人の能力差もありますが、配属される現場の規模によっても変わるからです。

3カ月で終わる現場を何度も繰り返し経験するのと、2年もあるような現場を経験するのとでは学習スピードには差が出てきます。よく言う「〇〇年目にもなって、なんでこんなこともわからないんだ!」という言葉は、これが原因であることが多かったりします。

完全に現場を数値やデータ的に管理することまではできなくても、工程や計画は立てることができます。これは職人の動きや次工程の進め順などが、経験的に先読みできるようになるからです。

でも自分で進めている実感は得られやすく、仕事の楽しさを感じることができるようになるため、「現場を動かす」ことが先になるのです。

任せておいても現場をスムーズに手配して動かすことができるようになれば、フェーズ③【現場を管理する】の段階です。

この記事を書いた人

武田祐樹(たけだひろき)

総合建設業に17年在職し、官民問わず数多くの実績を積む。

現在はオンラインを中心に活動し、中小企業デジタル化応援隊事業(中小企業庁)のIT専門家としても活動。YOUTUBEや音声配信、インスタグラムなどで情報発信を行い、電子書籍出版やオンライン講師、オンラインセミナー活動も積極的に行う。

保有資格

  • 1級建築士
  • 1級建築施工管理技士
  • 1級土木施工管理技士

建設現場生産性向上サポート
HT RaisePLAN 代表 

目次

教育フェーズ③:現場を管理する

ここをクリアすれば、基本的には所長を張ることができるようになる段階。

最も大切なことは、誰もが安心して業務に取り掛かれる環境を整えることです。誰もがというのは、施主・監理・職員・業者・職人など、現場にかかわるすべての人のことです。

施主はどういう風に打ち合わせが進んでいくのかということが不安であり、監理はしっかりと計画をして実施していくのかが不安。また職員は現場の方向性が不安であり、業者や職人は段取りの正確性や望み、手戻りを嫌います。

すべてに共通して言えるスキルは「先読みとチェック」です。

まずは今だけのことではなく、工事が完了するまでの道筋を示すことが大切。そして、実施されたことが正解なのかどうかを確認していくことが大切です。

成長できる環境を整える

例えば窓の設置工事の場合、発注されてから納品になるまで2カ月かかることがあります。この場合、まだ現場では土を掘っている段階なのにもかかわらず、窓を発注しなければいけません。

そのためには、設計図と整合や変更はないのかを判別し、かつ色も決まっていなければいけません。とはいえ、いきなり「窓はこれでいいですか?」と聞いても施主はピンときませんので、イメージできるような資料を準備し、さらに決定には時間も必要です。それを予見した上で不安にならないように手立てを打っておかなければいけないのです。

窓だけじゃなく、これは一つ一つの工事や資材すべてにおいて言えることであり、関連する全員が不安にならない準備をするのが仕事。つまりフェーズ③は、自分の業務ということではなく「現場のため」のフェーズと言えます。

まずは図面を把握し、現地との整合を図ること。その上で工程を組み、そのための資材や人員をしっかりと確保していくことも重要です。そこに、最終確認をするための時間をとってあげなければいけないのです。

そこには、図面に書いてあることだけじゃなく、生きてきた経験や感覚、仕事上の見識をすべて注ぎ、自分の意志で方向性を決めていかなければいけないのです。だからこそ、必要なものは自信であり、その自信は経験と知識に裏打ちされる必要があるということなのです。

何が良くて何が悪いのか。正解のない生き物のような現場において、常に「最適解」を見極めていくスキルを積み上げていかなければいけません。

建築は分野が広く、それぞれに物と人が存在します。もちろんあなたも含めて。だからこそ、個々の性格や配属された現場によってかなりのレベル差を生じてしまうのです。

1年や2年で習得させることも困難だということはお判りいただけたでしょうか。

上司としては、現場を円滑に運営することだけに集中できる環境を作り、自信をもって意志決定していける土壌を整えてあげることが必要だということです。

次回は最終フェーズ④、「会社と連携する」について解説します。

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