前回までの内容は、工程表を書くためのコツをお話ししました。

今回の内容は、僕の工程表マジックをお伝えします。施工管理以外は見ないでくださいね。。。
現場を自在に操る工程表
やりやすい現場。なんかやりずらい現場。
職人さんであれば特に感じたことがあると思います。その原因は、もちろん現場監督の能力や経験値による、段取り不備もあると思います。
A工区が終わったら、次はB工区ヘ。その次はC工区ヘ。そうやって順番に作業が流れればうまくいくのに、詰まってみたり空き時間ができてみたり。
だからこそ、現場監督がうまく段取りや調整をして潤滑油になっていかなければいけません。生き物のように変化し続ける現場を、コントロールしていかなければいざこざが絶えなくなってしまいます。
でも、よく考えてください。
その現場の動きを決めているものはなにかお分かりですか?それは、工程表なのです。
工程表の中で、作業の始まりがA工区だと書いてあったからこそ、そこから作業が始まったはず。そして終わったらB工区に進むと書いてあったのではありませんか?
もしもあなたの作業がA→B→Cと進むのに、違う業種がB→A→Cと進んでいくと、現場はパンクしたのではないでしょうか。
「現場は生き物だ」なんて言葉がよく言われたりしますが、それを作り出しているのは、実は工程表なのです。つまり、実質的に現場を動かしているのは工程表だと言うことなのです。
だからこそ、どの工種をとってもうまく流れていくようになっていなければいけません。どこかで詰まれば、そこをほぐしてあげなければいけません。
余裕を見すぎると飛び飛びに職人さんが入ってくることになり、現場も間延びしていきます。とはいえ、キツキツすぎると少しのイレギュラーで全てがパンクします。少しキツめに、でも少し余裕を見て。
その絶妙なバランスの中で芸術的に成り立っていくのが工程表なのです。
工程表作成は立派な職人技
工種の特性やクセを見極め、職人の顔を思い浮かべる。歩掛りや繁忙期なども加味する。悪天候だって考慮していく。そうやって何度も実験を繰り返し、失敗し、文句を言われながら経験を重ねていくのです。そしてほんの少しずつ精度を上げていくことが欠かせないのです。
地道なトライ&エラーを繰り返して精度を高めた工程表は、深く読み込んでみるほどに鳥肌が立ちます。
キツそうに見えて余裕を見込んでいたり、ばれないように休みを確保してみたり。ゆるい性格の担当者には厳しく見える工程を見せつけ、ビシッとした番頭さんにはピッタリの日程をぶつける。
現場の動きだけではなく、読み手の感情すらコントロールする力を、工程表は持つのです。そして監督職員に優しさを見せることすらできます。
誰もがきつそうだけど無理とは言えない絶妙なところを突いて、結果職人全員が全力を発揮できるフィールドを提供し続けることができるのです。
もちろん、次工程のために現場では気合い入れていくこともあります。早く進みすぎるとコーヒーなんか出しちゃったりします。そうやって、なんだかわからないけどうまく行っちゃう工程表マジック。机に向かって一本一本線を引いては用語を書き入れていくという地道な作業の上で出来上がっているのです。
現場監督の仕事ですが、これは立派な職人技。そして芸術的な作品を生み出し続けるアーティストとも言えるのではないでしょうか。
「美しい」と感じる工程表に出会ったのなら、深く読み込んで味わい、そしてその作者の人生を根掘り葉掘り聞いてみるのも面白いかもしれません。
