
GENBA Lab.の武田です。中小ゼネコンで現場監督歴17年、所長歴11年の経験があります。
建設業界をもっと働きやすい場所にするために現場効率化事業をスタート。発信活動にも力を入れています。
- 建設業のデジタル化
- 生産性を上げる方法
- 部下の育て方
- 先輩や職人との接し方
- 図面の読み方
- 悩みの解決法
などなど、主に、現場監督目線での配信になります。
上司にとっても若手や新人にとっても、役に立つ配信をどんどんしていきます!
大きな仕事は、小さな仕事でできている

現場監督には、「建物を建てる」「道路をつくる」というような、明確なゴールがあります。
これらはめちゃくちゃインパクトもあり、しっかりと形にも残ります。だから誰にでも非常にわかりやすい「やりがい」であり、素晴らしいと感じます。。
もちろん僕も現場監督の端くれとして、これは実感しています。
ところが、このとてもスケールが大きくわかりやすいゴールが、若者を惑わせていることもあるようです。
「大きな建物を自分で建てたい!」と憧れ、現場監督になるべくゼネコンに入社する。
しかしやっていく仕事はというと、建物を建てているという実感の湧くものではなく、地味そのもの。
「あれ?こんな感じ?」
「全然面白くなくない?」
現実にやっている仕事と、思い描いてきたやりがいとのギャップがあまりに大きく感じ、いつしか嫌になって辞めていく。これは事実として存在しているわけです。
仕事というのは、その目的が大きければ大きい程、今自分のやっていることとのギャップができてしまうもの。目に入る物が余りにまぶしいから、手元が見えなくなっているのでしょう。
あたかも無意味な事をやらされている、無価値な仕事をやっている気になってくるのだと感じます。
ただ結局、人間のやれることなんて決まっているというのも事実。
歴史に残る様な偉人さんも、ユーチューバーも、日々やっていることは地味そのものであることがほとんどです。宇宙飛行士だって、やってる事は日々の筋トレだったりするわけで。
現場監督も同じ。動かしているものは大きく、形に残る物も印象に残るものが多いのは事実です。
でも結局、1人の人間ができることなんてたかが知れています。多くの人間が小さな仕事を積み上げていく事によって、「結果として」大きな結果が残るというだけの話。
多くの人間が現場で働くためには、その舞台の準備やルール作り、仕事をしていく順番の整理整頓が重要なわけで、そこ裏方の仕事こそが現場監督の仕事と言えるのです。
「大きな建物を建てるために、コピーをとっています!」
「巨大なトンネルを完成させるために、コーヒーを買ってきます!」
これは、至って普通の話だという事です。
要するに、大きな相手と闘うだとか、大勢の相手と戦うという気持ちを持つことは自由です。ただし、どんな大きな仕事でも、どんな巨大なものを相手にしていても、結局一人がやれることは限られているのです。
だから、大きな仕事をやるために、自分の役割は何なのかをしっかりと見極め、それがどんなに小さなものだったとしても一生懸命に立ち向かうこと。これが重要だという事です。
逆に言うと、どんなに小さな仕事だったとしても、目指す先は大きな仕事であることが建設業の良さなのかもしれないですね。
もし現場のゴミを拾っただけだったとしても。
もし職人さんのお弁当を買ってきただけだとしても。
「この建物は、俺が建てた!」
そう胸を張って言えるということ。それが建設業の良さだと思います。