突然ですが質問です。
サイクリングに行こうとしたとき、みんな自転車で集まった中で一人だけ歩きだった場合、どうしますか?
おそらく速度を歩きの人に合わせるか、置いていくのかの2択になるのではないでしょうか。
伝統は守りながら、一歩前に進みませんか?
戦後の日本を見事に復興させ、さらに経済大国にまで伸し上げる礎を作った団塊の世代。その団結の意識こそが、まさに日本の心と言えるでしょう。
そんな気持ちが色濃く残る日本人は、多くの場合「歩きの人に合わせる」ことを選択するそうです。まさに日本人らしい、和を尊しとする選択だと感じます。
建設業界の歴史は古く、その心は深く刻まれており、とかく職人の世界は義理人情を大切にする文化があります。それは技術の伝承やプライドにも表れているように感じます。もちろん、守るべき伝統です。
ただ、その気持ちが進歩を遅らせてしまっているようにも感じます。何か新しい取り組みをおこなおうとすれば、伝統や歴史が枷になり、行動を起こしてもついて来られない誰かに合わせてしまいます。
つまり、新たな進歩が生み出しずらい土壌になってしまったのです。
現場監督の仕事をリモート化へ

現場監督の仕事をリモート化したい!
僕は、以前働いていた会社でこう主張したことがあります。しかし、全く受け入れられませんでした。ほとんどの人は鼻で笑い、聞く耳を持ってくれた数少ない人も、否定する前提で説得してきます。
ちなみに僕の主張はこういうものでした。
①現場監督の業務の半分以上は、現地にいなくても可能
②現地スタッフは基本的に現場業務に専念し、早く帰るよう努力する
③リモートスタッフはデスクワークをメインとし、2現場以上兼務する
現場監督の多岐にわたる業務を、一度細かく洗い出し分割していく事によって、「現場でしかできない作業」以外を分業化してしまうというものです。
◇現場には経験豊富なベテランスタッフと若い係員を基本に、常駐する
◇技術の中核となる主任クラスが、工程表も施工図も書類作成も会社で行う
これにより現場スタッフは、現場作業が終わってからのデスクワークはほぼなくなります。そして主任クラスも、現場への往復や安全点検、現地の管理業務の時間を廃除し、デスクワークに集中することができる状況を作れます。
時間に余裕が生まれた主任クラスは、他の現場の技術ケアを行うこともできます。例えば小規模の現場に少し不安のあるスタッフが投入された場合、図面のチェックなどをやってあげるなどの、技術面のバックアップを行うことが容易になります。
現地では馬力の弱くなってきたベテラン層が未熟な若手職員を、しっかりと教育することができます。また、実力のある主任クラスを一つの現場で消費することなく、たくさんの現場でその技術力を発揮してもらうことができます。
ある程度の規模であれば、現地係員は派遣社員に置き換えても遂行が可能になるため、これが成功することで人手不足、技術力不足をうまく補う事の出来る理想的な状態だと考えたわけです。
ちなみに現在、僕はその会社を辞めました。この提案を別の会社に聞き入れられ、試験的にこの手法を8割程採用する形で現場を運営しております。そして想定通り、現地スタッフはほぼ職人と共に帰ることができています。
主任クラスのポジションに入る僕は、週に2~3日間現場に行きますが、それ以外は自宅でリモートを行っています。もちろん必要な設備や、現地を確認する施策は必要です。
それにはきちんとした段取りとノウハウ、そして設備投資は必要です。ただ、多くの問題を解決する方法だと手ごたえを感じています。
一度、しっかりと若者の主張を聞いてみて下さい。
それが、将来の財産となる「業務改革の糸口」になるかもしれません。