
GENBA Lab.の武田です。中小ゼネコンで現場監督歴17年、所長歴11年の経験があります。
建設業界をもっと働きやすい場所にするために現場効率化事業をスタート。発信活動にも力を入れています。
- 建設業のデジタル化
- 生産性を上げる方法
- 部下の育て方
- 先輩や職人との接し方
- 図面の読み方
- 悩みの解決法
などなど、主に、現場監督目線での配信になります。
上司にとっても若手や新人にとっても、役に立つ配信をどんどんしていきます!
効果的な新人研修の内容

新人研修を効果的な内容について、迷っている会社のために何を重点的に取り入れればよいのかについてお話ししていきたいと思います。
前回は【1.取り返しのつかないミスの防止】について解説しました。今回はもう一つについて進めていきたいと思います。
2.仕事の全体像の習得

現場に配属される前に、研修で教えるべきことは『仕事の全体的な構造』です。ここでは4つの項目を挙げて解説をしていきます。
①会社の各部署の役割と重要性
施工管理部署は会社の利益の要です。そんな仕事から「自分たちが一番重要だ」「どうして総務・経理がたくさんいるんだ」のような、敵対視する論調になる事があります。
これはそもそも会社組織の事が理解できていないからと言えます。組織に属している以上それぞれの役割を理解し、自分の立ち位置を知っておく必要があります。
社長の役割、経理、総務、営業など。立場によって視点が違うのは当然ですが、ここを理解していないとチームワークは生まれません。研修では、組織である意味や効率を考えることが重要と言えます。
②成長のフェーズ
新社会人にとって、まずは言われたことを素直に受け入れ、実行する事になります。ただ、もしその行動だけをとり続けると、言われた事しかできない「指示待ち君」が育ってしまいます。
施工管理としての一人前は「この現場、頼む」という指示だけで建物や道路などの工事を完遂するという、自分で考え、決めて動ける人間になる事です。
そのために必要なのは、将来どんな人間になっていくのかという『遠くのビジョン』と、今何をするべきかという『近くの目標』が見えないといけません。
自分の成長段階をあらかじめイメージさせることによって、今自分はどの位置にいるのか、それは何の為なのかが分かるようになり、安心して働けるのです。
③現場運営の全体像
この情報化社会を生きてきた学生たちは、良くも悪くも多くの漠然としたイメージを持っています。その解像度を上げておき、その後に現場に配属するのが良いと言えます。
「大きな仕事をしたい」と言うイメージは、多くの場合非現実。施工管理の業務はパソコン業務であり、雑用のような地味そのものから始まります。そんなギャップから負の印象を持ってしまいます。
職人の為にコーヒーを買ってこようと、会議資料をコピーしようと、結局は建物を建てるために行っている業務。「何のために」が理解できれば、やりがいを感じやすくなるのです。
だからこそ、工事現場はどういう順番で進むのかというアウトラインと、施工管理とのつながりをイメージさせることが重要なのです。
④施工管理の存在意義
施工管理の本質は「裏方」。実際に体を動かす職人が主役であり、彼らが全力を出して働いてもらうステージを段取りが本来の業務と言えます。
施主や設計の意図を汲むことも、間違いのない施工図を作ることも、打合せも、面倒な法的な申請手続きも段取りも。その全ては現場を円滑に進める為なのです。
それを理解すれば、関わる全ての人たちに対して感謝の気持ちを忘れない、地に足の着いた現場監督に育つことになるのです。

以上が、新人研修で教えるべきことです。
駆け足で進みましたが、詳しくは「現場持ち上げブログ」の中で詳しく掲載しています。
2回にわたり解説しましたが、自分の頭で考えて意見を言い合う新人研修が理想的。ここまでの内容を考慮した上でカリキュラムを作成しましょう。
学生から社会人になったばかりの彼らは、ついこの間まで学生だったため「教わる」ということに対してまだ抵抗がありません。だからこそ、このタイミングでしっかりと研修を行うことが大切。
「とりあえず」で現場の先輩に投げてしまうのではなく、セットアップをした状態でバトンタッチをすることも、現場の業務効率化につながると考えます。