昨今、建設業に限らずどの業界でも、働き方改革を進めております。
キーワードは「生産性の向上」、つまり業務の効率化です。
今までのやり方では時間がかかりすぎる。人員が多く必要。だから残業が減らない。休みが取れない。そんな状況を打開しようという取り組みこそが、働き方改革の本丸なのです。
にもかかわらず、実際には「残業しているヤツは誰だ」という犯人捜しをしている状況が垣間見えます。これでは前に進みません。おそらく改革の仕方、アイデアの出し方がわからないのだと思います。
そこで、今までのやり方を変えるための考え方をお伝えしたいと思います。そんな僕は、現在現場の効率的な運用を取り組んでいます。10か月工期の現場において、16の変革アイデアを創出しました。そしておよそ2300時間の業務削減に成功しています。
その考え方はどんな方法なのか。それを簡単にお伝えします。ぜひ「改革の教科書」としてお役立てください。
働き方改革の教科書
手順は簡単。
①業務の「核」を見つけ出す
②その「核」を達成する方法を探す
③行動し1カ月継続してみる
たったこれだけの話なのです。では具体例を出してみましょう。
例えば「朝礼の自動化」という取り組みを例に解説していましょう。
まずはターゲットを「朝礼」に絞ります。①の手順で言った通り、まずはその核になる部分を見つける作業を行っていくのです。
朝礼の核は何かというと、各作業内容を職人に周知する事、注意すべき安全事項を伝えることでしょう。体をほぐすという部分が核になるかどうかは微妙です。僕は、実際やっている人とそうではない人がいて、それでも現場が成り立っているなら、「任意」で良いと判断しました。
これで朝礼の核が抽出できました。改めて列記します。
・各作業内容を職人に周知する事
・注意すべき安全事項を伝えること
これがわかれば、次に手順②に進みます。これら2つの核のみを達成するための方法を模索するのです。要するに作業が周知出来て、安全事項が伝わればいいのですから。
そこで僕が考えたのは、朝礼を動画にしてモニターに表示するという方法。
前日の定時打合せの段階で、次の日の作業は決まります。それを考慮して安全事項を見出し、それを動画に撮るのです。今までは前に出て話していた内容を、動画に撮るのです。それをモニターで一定時間ループ再生するのです。
そして③。行動に移し継続してみると、徐々にメリットとデメリットが見えてきます。
◇メリット
- 朝礼時の混雑や忙しさが緩和
- 元請けも含め各社それぞれのタイミングで出勤
- 伝え漏れが少ない
- 声が届かない人がいない
- 大規模現場ではモニターの増設で対応できる
◆デメリット
- 撮影に慣れていないので照れる
- 動画を見ない人がいる
- 顔ぶれや職人総量が見えずらい
- 知らない人が紛れても判別しずらい
良い面もあれば悪い面もあるのは当然。今までの朝礼だって同じです。大切なのは、やってみて、その結果を検証し改善していく事です。
動画を見ない人がいるなら、どうやったら見てくれるかを考える。顔ぶれがわからない・知らない人が紛れる可能性があるのは、よく考えればいつもの事かもしれない。そうやって少しずつ色んな人の意見を聞きながら改善を重ねて、正式な形を作っていくのです。
まずはあらゆる業務において核を見つけてみましょう。
現場出勤は「現場じゃなきゃできない事」が核なら、部分的にリモートを検討。災防協は「次月の安全の方針を決める」が核なら、Zoom開催を検討。安全書類は「証拠づくり」が核なら、ペーパーレスを検討。
そうやって核を見つけ、それを達成するためだけのアイデアを探す。今は様々なツールが出てきています。それらを駆使し、行動し、検証し、改善する。そうやって一歩ずつ働き方を改革していきましょう。