「仕事を辞めるべきか、それとも踏みとどまるべきか」。
この問いは、多くの人が一度は直面するものです。特に、仕事が辛いと感じる時や職場の人間関係にストレスを抱えた時、「このまま続けるべきなのだろうか」と悩むのは自然なことです。しかし、安易に辞めてしまうと、後悔につながる可能性があります。一方で、本当にやばい環境に居続けることもまた、自分の成長や健康を損なう結果になるかもしれません。
この記事では、「辞めるべきかどうか」を判断するための具体的な判断基準をお伝えします。
結論から言うと、焦点を当てるのは「職場環境」です。どんなに辛くても、乗り越えれば得られる成長ややりがいもあります。一方で、改善の余地がない職場環境であれば、いくら努力をしても報われない場合があります。この違いを理解し、冷静な判断ができるようになることがこの記事の目的です。
この記事を読むメリット
- 仕事を辞めるべきタイミングと続けるべき理由を明確に理解できる
- 短期的な感情に流されず長期的な視点で判断する力を養える
- 職場環境の「やばさ」を見極める具体的なポイントを知ることができる
- 現在の職場が自分にとって適しているか、新しい環境に進むべきかを判断する助けになる
- 後悔のない選択をするための指針を見つけられる
この記事を通じて、後悔のない選択をするための指針を見つけていただければ幸いです。
株式会社 RaisePLAN 代表取締役
武田 祐樹(たけだ ひろき)
【これまでの活動】
- 総合建設業で施工管理として17年勤務後、独立起業。
- 建設現場の生産性向上と施工管理の教育支援を展開。
- 中小企業庁「デジタル化応援隊事業」のIT専門家。
- YouTubeチャンネル『建設業を持ち上げるTV』を運営し、登録者1.2万人を獲得。教育特化長尺動画が8万回再生を突破。
- Instagramや音声配信など多メディアで情報発信。
- 電子書籍出版やオンラインセミナーを精力的に実施。
- 2023年3月、AbemaPrime出演で現場効率化施策が注目。
記事の監修
楽しくない、辛いという理由で辞めるべきではない
仕事が楽しくない、辛いと感じることは誰にでもあることです。特に入社して1年目や2年目は、言われたことをこなすだけの時期であり、自分のペースで動くことができず、先輩や上司に振り回されることが多いでしょう。この時期はまだ自分の裁量もなく、仕事の楽しさを見出すことは難しいのです。現場監督の仕事は範囲が広く、すぐに一人前になれるわけでもありません。
もし、この「楽しくない、辛い」という理由で辞めてしまうと、次の職場でも同じスタート地点から始めることになります。つまり、また「楽しくない」「辛い」と感じる同じループに陥る可能性が高いのです。そのため、「辛い」という理由を辞める判断基準にするのは避けるべきです。
職場環境がやばい場合は要注意
辞めるべきかどうかを判断する上で重要な基準となるのが「職場環境」です。「職場環境がやばい」とはどのような状況を指すのでしょうか?
具体例を挙げながら、その問題点を整理してみましょう。この基準を明確にすることで、現在の職場がどの程度問題を抱えているのか、またそれが改善可能かどうかを見極める手助けになるはずです。
もし職場環境がやばい状態に該当する場合、どれだけ仕事自体を楽しめるようになっても、環境が足を引っ張り続けるため、最終的には成長ややりがいを見出すのが難しくなります。
暴力的な人間や暴言を吐く人間がいる職場
たとえば、上司や先輩が暴力的であったり、罵声を浴びせるような環境は、まず最初に「やばい職場」として挙げられるべき典型的な例です。それだけでなく、そういった行為を見て見ぬ振りをする同僚や他の上司がいる場合、その職場全体に問題があります。
このような環境では、暴力や暴言が当たり前のこととして「常態化」してしまい、これを是正しようという動きが生まれにくいのです。
例えば、職場で上司が部下を怒鳴りつけ、他の人たちはそれを「またやってるよ」といった態度で無視するような状況があるならば、それは非常に危険なサインです。このような文化は、あなたの精神的・肉体的な健康に悪影響を与える可能性が非常に高いため、早めに対処すべきだと言えるでしょう。
陰口や悪口が日常的に行われている職場
悪口や陰口が当たり前のように飛び交っている職場も注意が必要です。
たとえば、会議の後に上司が「あいつ、全然使えないな」などと部下の悪口を同僚と笑いながら話しているような場面を目にしたことがありませんか?あるいは、同僚同士で「あの人、また失敗したみたいだよ」と影で話し合っていることが日常化している場合、それは「やばい職場」の典型的な特徴です。
このような環境では、足を引っ張り合うことが優先され、職場全体での成長や生産性の向上は期待できません。また、悪口が飛び交う職場では「自分も裏で何か言われているのではないか」と不安を抱えるようになり、安心して仕事に取り組むことができなくなります。人間関係のストレスが積み重なることで、最終的には職場全体が機能不全に陥ることも珍しくありません。
頑張ろうとする人を妬み、足を引っ張る職場
「これをやってみたい」「新しいプロジェクトを提案したい」といった前向きな意見を述べた際に、「そんなことやっても意味ないよ」とか「お前だけ頑張っても無駄だ」といった冷ややかな反応を返されることが多い職場も、非常に危険です。
たとえば、新しい資格を取得しようとしている人に対して「そんなのやっても給料上がらないんだから意味ないよ」といったような言葉をかけたり、部署全体での改善を提案した人に対して「余計なことするな」と一蹴する職場があります。
こうした環境では、チャレンジや成長を阻む空気が蔓延しており、自分が努力をしてもそれが評価されないだけでなく、むしろネガティブな印象を持たれる可能性すらあります。結果として、意欲を持っていた人が「どうせ何をやっても無駄だ」と諦めるようになり、職場全体が停滞してしまいます。
大残業が当たり前になっている職場
「みんな残業しているから、自分も残らなければいけない」という暗黙のルールがある職場も要注意です。特に、「早く帰ります」と言った時に「え、もう帰るの?まだやることあるでしょ」と嫌味を言われるような環境は、典型的な「やばい職場」と言えます。
大残業が常態化している職場では、「効率良く働く」ことが軽視され、むしろ長時間働くことが美徳とされる傾向があります。これが続くと、社員は疲労が蓄積し、生産性が低下するだけでなく、心身の健康にも悪影響を及ぼします。
たとえば、「みんな遅くまで頑張っているのに、自分だけ早く帰るなんて申し訳ない」という空気が漂い、早く帰ることに罪悪感を抱いてしまうような環境では、働き方改革が進む現在の時代にはそぐわないでしょう。
長期的な視点で判断しよう
辞めるべきかどうかを判断する際に最も重要なのは、短期的な感情に左右されず、長期的な視点で物事を考えることです。たとえ今、仕事が辛いと感じていても、それは一時的な状況である可能性が高く、スキルを身につけたり、経験を積んだりすることで、やがて楽しさややりがいに変わる場合があります。
しかし一方で、職場環境が悪い場合は、それが既に職場の「当たり前」として常態化しているため、自分一人の努力や工夫では改善できないことがほとんどです。例えば、暴力的な上司がいる、悪口や陰口が飛び交う、頑張る人を妬む文化が根付いている、あるいは大残業が日常的に強いられるような職場では、長く働き続けても環境が改善される可能性は非常に低いでしょう。
したがって、辞める理由を「仕事が辛い」だけに基づくのではなく、「職場環境がやばい」かどうかで判断することが重要です。この基準を明確にすることで、自分自身のキャリアや将来にとって後悔の少ない選択ができる可能性が高まります。環境の見極めができるようになれば、単に感情に流されるのではなく、自分の成長や働きやすさを考慮した賢明な決断ができるはずです。
最後に
仕事を辞めるという決断は、特に若いうちは軽く見られることもありますが、歳を重ねるごとにその影響は大きくなります。そのため、辞める前にしっかりと自分の状況を見つめ直し、将来を見据えた判断をすることが大切です。
また、これは企業や職場の上司、先輩にも伝えたいことですが、職場環境の改善を怠ってはいけません。新人が辞めてしまうのは、その人たちの能力の問題ではなく、環境の問題であることが多いのです。職場環境を整え、自分たちの会社が「良い会社」だと胸を張って言えるよう努力していくことが、優秀な人材を定着させるために必要なことなのです。
仕事における悩みや辛さを抱えている方にとって、今回のお話が少しでも参考になれば幸いです。どんな環境であれ、自分の将来にとって最善の選択をしていけるよう、常に自分自身と向き合っていきましょう。