こんにちは、ライズプランの武田です。
今回は、「自分でやった方が早い」という思考に潜む危険性と、建設業界における“自動化”の本質についてお伝えしたいと思います。
先日、あるTikTokの動画を見ていて、改めて自分の「伝え方」にズレがあったのではないかと感じる出来事がありました。
映っていたのは、鉄筋工の作業現場。縁まわりでは職人さんたちが手作業で鉄筋を「カチャカチャ」と結束し、中央では自動結束ロボットが「ウィーン、ガチン」とゆっくりと作業を進めている様子が映し出されていました。
私はその光景を「すごい」と感じながら見ていたのですが、コメント欄にはこんな声が並んでいたのです。
「こんなん自分でやった方が早いでしょ」
「ロボット遅すぎる、非効率じゃん」
このコメントを見て、ハッとしました。
これまで私は、「効率化」「自動化」といったテーマを「楽になる」「早くなる」という切り口で語ってきました。でも、それだけでは、現場に本当に伝えるべき“本質”が抜け落ちていたのかもしれない。そう強く感じたのです。
株式会社 RaisePLAN 代表取締役
武田 祐樹(たけだ ひろき)
【保持資格】
- 一級建築士
- ー級建築施工管理技士
- 一級土木施工管理技士
【これまでの活動】
- 総合建設業で施工管理として17年勤務後、独立起業。
- 建設現場の生産性向上と施工管理の教育支援を展開。
- 中小企業庁「デジタル化応援隊事業」のIT専門家。
- YouTubeチャンネル『建設業を持ち上げるTV』を運営し、登録者1.2万人を獲得。教育特化長尺動画が8万回再生を突破。
- Instagramや音声配信など多メディアで情報発信。
- 電子書籍出版やオンラインセミナーを精力的に実施。
- 2023年3月、AbemaPrime出演で現場効率化施策が注目。
記事の監修

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自動化=スピードアップじゃない
たしかに、結束ロボットは人間の手作業に比べてスピードは劣ります。1本ずつ交点をセンサーで検知し、「ウィーン…ガチン」と慎重に進めるため、動きはゆっくりです。職人の手際と比べれば、「自分でやった方が早い」と感じるのも無理はありません。
でも、それをもって「非効率」と判断してしまうのは、本質を見誤っているのです。
自動化の目的は、単に早く終わらせることではなく、「人にしかできない作業に集中できる環境をつくること」にあります。
たとえば、あなたが対応すべきなのはこういった部分です。
- 複雑な縁まわりの配筋処理
- 柱やスリーブ周りの細かい手加工
- 寸法精度や仕上がりがシビアな箇所の調整
こうした作業には、判断力・経験・技術力が求められます。一方で、ロボットは平場など誰がやっても同じ結果になるような反復作業をミスなく、休まず進めてくれます。
つまり、人とロボットが役割を分担することで、現場全体の生産性は大きく変わるのです。
「自分でやった方が早い」の落とし穴
「自分でやった方が早いから」と、つい手を動かしてしまうことってありますよね。現場でもオフィスでも、よくある光景だと思います。
でもそれ、本当に“早い”のでしょうか?
たとえば、毎日同じような集計作業をExcelでやっている人がいたとします。マクロを組めばもっと楽になるのに、「設定する時間がもったいない」と思って、今日も明日も手作業で処理している。
この考え方、実はすごく危険です。
一度マクロを組めば、あとはボタンひとつ。余った時間で他の仕事にも手が回るようになります。つまり、「その場しのぎ」ではなく、「先を見越した効率化」を選んだ人が、最終的に時間を味方につけられるんです。
これは現場でも同じ。
たとえば、鉄筋の結束作業。ロボットが黙々と作業している間に、あなたは縁回りの複雑な工程や次工程の準備など、もっと“人間の判断力”が必要な仕事に集中できる。こうやって、「人」と「ロボット」がそれぞれの得意分野を担うことで、1人で“2つの動力”を持っているかのように作業を進められるんです。
つまり、自動化の本質は“スピード”ではなく、役割分担。判断力や応用力が必要な作業は人が、ルール通りの反復作業は機械が。それぞれが力を発揮できる形に持っていくことが、これからの現場で求められている考え方なんです。
「速さ」ではなく「仕組み化」が勝負を分ける
これからの建設現場で求められるのは、作業のスピードではなく任せられる仕組みをつくる視点です。自分がすべてをこなすのではなく、誰か、あるいは何かに任せられる状態を整えることが、生産性と持続可能性を高める鍵になります。
たとえば、結束ロボットを導入すれば、人間が手を動かす必要のある反復作業を機械に任せることができます。その間、現場の人は次のような本質的な業務に集中できます。
- 配筋の確認や修正
- 次工程の段取り
- 新人スタッフのフォロー
- 別エリアでの作業対応
こうして、人が判断力や技術力を必要とする領域に専念できる環境が整えば、「自分が動かなくても現場が進む」状態が実現します。これこそが、構造的に“楽になる”ということの本当の意味です。
特に今、建設業界は「10人でやっていた仕事を6人で回す」ことが求められる時代に突入しています。人も教える時間も不足するなか、「自分がやった方が早い」と何でも抱え込むやり方は、いずれ限界を迎え、現場全体の未来を危うくします。
重要なのは、限られたリソースで最大の成果を生むための仕組みです。
自動化によって、反復作業をロボットに任せることで、若手育成にも好影響が生まれます。無理にすべての作業を教え込む必要がなくなり、本当に学ぶべき技術や判断力に集中できるようになるからです。
つまり、自動化は単なる「省力化」ではなく、「人が減っても現場を回すための戦略」そのもの。一人でもロボット数台と連携すれば、複数人分のアウトプットを実現できる。
この発想と仕組みこそが、これからの建設現場に欠かせない“新しい戦力”なのです。
まとめ:自動化は“味方”につけるもの
「自分でやった方が早い」
そう思ってしまう気持ちは、よくわかります。現場でもオフィスでも、目の前の作業を最短で終わらせることは重要だからです。
しかし、これからの建設現場に本当に求められているのは、“早さ”ではなく“仕組み”です。
自動化とは、「ラクをするため」の手段ではなく、「人にしかできない価値の高い仕事に集中するための構造改革」です。
たとえば、結束ロボットを使えば単純作業は任せられます。その間に人は、配筋の確認や段取り、若手の育成、品質のチェックといった、判断力・応用力が問われる仕事に専念できます。結果として、“自分が動かなくても現場が進む”状態をつくることができるのです。
人手不足が進む中で、ひとりで2人分、3人分の価値を生み出すには、こうした仕組み化が不可欠です。
そしてその第一歩は、「自分でやった方が早い」という思考から抜け出すこと。
これからの時代、自動化を「敵」として見るのではなく、「味方」として使いこなす人や企業こそが、生産性も、人材育成も、競争力も高めていけるはずです。
未来の現場づくりは、あなたのその視点から始まります。
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