現代の職場で多くの企業が直面している一大課題、それは残業時間の削減です。
しかし、多くの経営者や上司が実施している単純な解決策、例えばパソコンを定時にシャットダウンするといった方法は、実は問題の表面をなぞるだけで、根本的な解決には至りません。
この記事では、そうした一般的なアプローチの問題点を解明し、より実効性のある代替策を探求します。残業がなぜ発生するのか、その理由を深く掘り下げ、実際に業務の効率化を達成するための具体的な戦略を提案します。
強制的な残業削減策の問題点
一般的な例として、残業時間を強制的に削減するために、定時にパソコンが自動的にシャットダウンするよう設定する方法があります。このアプローチは、表面的な問題解決に過ぎず、実際には業務の効率化や従業員の生産性向上にはつながりません。このような方法は、短期的な解決策に過ぎず、長期的なビジネスの成果には貢献しません。
残業時間を真に削減するためには、会社側が根本的な問題に取り組む必要があります。多くの場合、残業が発生する主な理由は、従業員に与えられる仕事量が過多であることにあります。この問題を解決するためには、業務プロセスの見直しや効率化が必要です。
残業時間を減らす具体策
残業時間を減らすための具体的なアプローチについて詳しく説明します。
まず、新規入場者教育を自動化することを例に取り上げます。通常、この教育には1日に平均して約30分を費やしています。これを動画などの自動化された手段に置き換えることで、その時間を削減できます。この自動化された教育を導入することで、日々の業務から30分の時間が削減されます。
この30分の時間削減は、4人が稼働している場合、実質的には1日10分の時間削減になります。つまり、従業員一人あたりの労働時間が1日10分減ることになります。この変更をトップダウンで導入した後、従業員が毎日10分早く帰るように指示することができます。
次に、例えば施工図の作成を外注化することを考えます。これにより、1週間かかっていた作業が1日で完了するようになれば、1日8時間の労働時間が削減されます。このような効率化によって、さらに労働時間が減り、従業員がより早く帰ることが可能になります。
これらの施策を導入した後、会社は従業員に対して、具体的な命令や指示を出すべきです。例えば、「10分の時間削減があるため、毎日6時50分には帰るようにしてください」といった具体的な指示です。もし従業員がこれに従わなければ、適切な罰則を設けることも考慮に入れるべきです。
このようにして、残業時間を削減するためには、具体的な施策を実施し、それに基づいた命令や指示を従業員に与える必要があります。単にパソコンを自動的にシャットダウンするような方法ではなく、実際に労働時間を減らすための現実的なアプローチが必要です。これにより、残業時間の削減が実現でき、従業員のワークライフバランスの改善にもつながります。
効果的な残業時間削減戦略とは
残業時間の削減には、単にパソコンを自動シャットダウンするような表面的な方法では不十分です。実際に労働時間を短縮する現実的なアプローチが必要で、これによって残業時間が減り、従業員のワークライフバランスが改善されます。企業は従業員の具体的な業務内容を詳細に分析し、時間を多く占める業務を特定することが重要です。その上で、業務の効率化を図るための具体的な施策を検討し、実施します。例えば、特定の業務を外注化することにより、従業員の負担が軽減され、全体の労働時間が削減される可能性があります。
また、企業は業務プロセスの改善に加え、従業員の働き方にも注目すべきです。フレキシブルな勤務体系の導入や、仕事とプライベートのバランスを考慮した業務計画を立てることで、従業員がより効率的に働ける環境を整備します。これにより従業員のモチベーションが向上し、業務効率も高まるでしょう。
最終的には、企業は残業時間を削減するために、従業員一人ひとりの業務負担を正確に把握し、個々のニーズに応じた対策を講じる必要があります。単なるパソコンの自動シャットダウンではなく、根本的な業務改善に取り組むことで、従業員の満足度が向上し、企業全体としても生産性が高まることが期待されます。
この記事を書いた人
株式会社 RaisePLAN 代表取締役
武田 祐樹(たけだ ひろき)
【これまでの活動】
- 総合建設業に17年在職後、独立起業。
- 建設現場の生産性向上支援や施工管理の教育支援を展開。
- 中小企業デジタル化応援隊事業(中小企業庁)のIT専門家。
- YouTubeや音声配信、Instagram・メールマガジンなどで情報発信を行い、電子書籍の出版やオンライン講師、オンラインセミナー活動に積極的に取り組む。
- 建設業の現場効率化の仕掛け人としてAbemaPrimeに出演(2023年3月)。