施工管理会社が新人研修を導入すべき理由とは？教育負担を減らす育成の考え方

今回は、施工管理会社の皆さまに向けて「新人研修を受けさせるという選択肢」についてお話ししたいと思います。本記事では、私が取り組んでいる施工管理向け研修事業について、その背景や考え方を含めてご紹介します。

施工管理の新人・若手を育てる研修は数多くありますが、「なぜこの研修を続けているのか」「どんな課題を解決したいのか」については、これまであまり詳しくお話ししてきませんでした。

今回は、研修内容そのものよりも、この研修事業を立ち上げた理由や、施工管理会社にとってどんな意味があるのかをお伝えしたいと考えています。

研修事業を行っている理由

私が提供している研修は、新人スキルアップ研修、若手基礎力アップ研修、主任クラス向けの実践力アップ研修など、主に施工管理の若手・新人を対象としたオンライン研修です。この研修事業を行っている理由は、大きく分けて2つあります。

人を育てること自体が、仕事として好きだから

1つ目の理由は、非常にシンプルです。私は「教えること」が好きです。自分が伝えたことを相手が理解し、「なるほど」と表情が変わる瞬間に、大きなやりがいを感じます。

現場で一緒に働いていた後輩たちが、少しずつできることを増やし、気がつけば一人で現場を任されるようになっていく。その姿を見るたびに、「教育は人を確実に成長させる力がある」と実感してきました。こうした経験から、人に教えること、成長を支えることそのものが、自分の原動力になっています。

教育を「効率化」しなければ、現場は回らない

もう1つの理由は、教育の効率化に強い課題意識を持っているからです。施工管理の現場は慢性的に忙しく、先輩社員は「教えたい気持ちはあるが、教える時間がない」という状況に置かれがちです。

建設業界をより良い業界にしていくためには、時間的・精神的な余裕が欠かせません。しかし、余裕がない状態では新人教育も場当たり的になり、結果として先輩の負担が増え続けてしまいます。若手が育てば先輩の負担は減りますが、その「育つまで」の時間をどう乗り切るかが、多くの会社の課題ではないでしょうか。

「教え代わり」がいるだけで、現場は楽になる

例えば、新人が「図面の読み方が分からない」と質問してきたとします。その都度、先輩が手を止めて説明するのは、決して悪いことではありません。ただ、それが毎日・何人分も続くと、現場は回らなくなります。

もし新人が、図面の基本を事前に理解した状態で現場に立てるとしたらどうでしょうか。先輩は「次のステップ」の話ができるようになり、教育の質も上がります。私はこの「教え代わり」を仕組みとして用意することが、施工管理会社にとって非常に重要だと考えています。

オンライン研修という形を選んだ理由

私の研修は、6ヶ月という比較的長い期間で行います。施工管理の仕事は、現場に出て初めて疑問や悩みが出てくるものです。だからこそ、基礎だけを一気に教えて終わりではなく、日々の現場で出てきた疑問を持ち寄れる仕組みが必要だと考えました。

オンライン研修であれば、距離に関係なく同じ場に集まり、気軽に質問ができます。対面よりも心理的なハードルが下がり、「こんなこと聞いていいのかな」という初歩的な質問もしやすくなります。結果として、先輩に直接聞く回数が減り、現場の負担軽減にもつながります。

研修の本当の目的は「先輩を楽にすること」

この研修は、新人を成長させることが目的であると同時に、先輩社員の負担を減らすことを強く意識しています。新人が基礎を身につけ、自分で考え、質問の質が上がるだけで、現場全体の空気は大きく変わります。

教育を外に任せることは、「手を抜くこと」ではありません。限られた時間と人員の中で、会社全体の生産性を上げるための選択肢の一つです。

まとめ｜新人研修は「コスト」ではなく「現場への投資」

教育は短期的に見ると負担に感じられますが、長期的に見れば確実に会社を支える力になります。基礎力を上げることで成長スピードは加速し、結果として先輩の負担が減り、現場が回りやすくなります。

私は人に教えることを楽しみながら、その仕組みを会社や現場の助けになる形にできないかと考え、この研修事業を続けています。一般的な研修に物足りなさを感じている施工管理会社の方、これから教育の仕組みを整えたいと考えている会社の方にとって、一つの選択肢になれば幸いです。

少人数の会社でも、研修未経験の会社でも問題ありません。複数社が集まり、同じ立場の若手同士が学ぶことで、社外の刺激を受けながら成長できる環境を提供しています。