「部下に仕事を教えているのに、なかなか成長しない…」
「毎回細かく指示を出さないと、結局自分の負担が増える…」
こんな悩みを抱えていませんか?
実は、部下が成長しない理由の多くは、「教え方」にあります。
特に、「教える」と「使う」の違いを意識できていないことが原因で、部下が指示待ちになり、自ら考えて動けない状態に陥っているケースが多いのです。
本記事では、 「教える」と「使う」の違いを理解し、部下が自分で考えて行動できる人材に育つ指導法 を5つのポイントに分けて解説します。
この記事を読むことで、以下のことが学べます。
- 部下が「考える力」をつける指導法
- 指示待ち人間を卒業させるための質問の仕方
- 「答えを教えずに考えさせる」具体的な方法
- 「ミスを学びに変える」失敗の活かし方
- 成長を促すための「任せ方」と「フィードバックの仕方」
指示を出すだけではなく、部下の「考える力」を引き出し、上司の負担を減らしながら、チームの生産性を上げる方法 を学びましょう!
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株式会社 RaisePLAN 代表取締役
武田 祐樹(たけだ ひろき)
【保持資格】
- 一級建築士
- ー級建築施工管理技士
- 一級土木施工管理技士
【これまでの活動】
- 総合建設業で施工管理として17年勤務後、独立起業。
- 建設現場の生産性向上と施工管理の教育支援を展開。
- 中小企業庁「デジタル化応援隊事業」のIT専門家。
- YouTubeチャンネル『建設業を持ち上げるTV』を運営し、登録者1.2万人を獲得。教育特化長尺動画が8万回再生を突破。
- Instagramや音声配信など多メディアで情報発信。
- 電子書籍出版やオンラインセミナーを精力的に実施。
- 2023年3月、AbemaPrime出演で現場効率化施策が注目。
記事の監修

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武田 祐樹(たけだ ひろき)
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- 2023年3月、AbemaPrime出演で現場効率化施策が注目。
「答え」ではなく「考え方」を伝える

部下が質問をしてきたときに、すぐに答えを教えてしまうと、その場では解決できても、次回また同じような問題に直面したときに自分で考える力が身につきません。大切なのは、「答え」を教えるのではなく、「考え方」を伝えることです。
例えば、工事写真の撮影について指導する場面を考えてみましょう。ただ「200ピッチで撮影しろ」と指示を出すのではなく、以下のような問いかけをしてみます。
「200ピッチという基準は、どこで決まっているか知っているか?」
「写真を撮るときに、どんなポイントを確認する必要があると思う?」
「もし200ピッチで撮影しなかった場合、どんな問題が起こる可能性がある?」
このように質問を投げかけることで、部下は「なぜそのルールがあるのか」「そのルールを守ることで何が防げるのか」を考える機会を持てます。そうすることで、次に同じような場面に直面したときも、自分で根拠をもとに判断し、適切な行動が取れるようになるのです。
「言われたからやる」のではなく、「なぜそうするのか」を理解した上で行動できるようになることが、成長につながります。そのためにも、指導する側は単に正解を伝えるのではなく、考え方を引き出す質問を意識することが重要なのです。
ポイントまとめ
✅ すぐに答えを教えず、考えさせる → 自分で判断する力を養う
✅ 質問を活用し、思考を促す → 「なぜ?」「どうして?」を問いかける
✅ 理由を理解させ、行動に結びつける → 指示待ちではなく応用力をつける
✅ 指導者は正解を教えるのではなく、考え方を引き出す → 長期的な成長につながる
「使う」と「教える」を意識的に分ける

仕事を任せるときに、「やり方だけを伝えて実行させるべき場面」と、「考え方を伝えて成長を促すべき場面」を意識的に分けることが重要です。すべてを丁寧に教えようとすると時間がかかりすぎてしまいますし、逆に全てを単なる指示として与えるだけでは、部下は成長しません。そこで、「使う」と「教える」を適切に区別して指導することが求められます。
例えば、「この書類を作成しておいて」と指示する場面を考えてみましょう。
この場合、書類の作成自体が急務であり、細かい背景を説明する時間がないときは、「このフォーマットを使って、ここに必要事項を記入すればいい」と、やり方だけを伝えるべきです。これは「使う」にあたります。つまり、部下に迷わせる余地を与えず、すぐに実行させることが優先される場面です。
一方で、もう少し時間があるときや、今後も同じような業務を担当する可能性がある場合は、「この書類は何のために必要なのか」「記入する情報はどこを確認すれば正しいのか」「どんなミスが起こりやすいのか」といった視点で説明することが重要になります。これが「教える」にあたります。単に作業をこなすのではなく、部下が自分で判断できる力をつけるための指導です。
また、安全管理のように「決められたルールを正確に守らなければならない業務」については、考え方を学ぶよりも、まずは厳密な手順を理解し、確実に実行できるようにすることが優先されます。例えば、「安全帯は必ずここにかける」「ヘルメットはこのタイミングで着用する」といったことは、迷う余地なく「使う」として指示すべき内容です。
一方で、工程管理や職人とのコミュニケーションといった「状況に応じて判断が必要な業務」については、「なぜそうするのか」「どのように考えれば適切な判断ができるのか」といった視点で伝えることが大切です。これが「教える」に該当します。
このように、状況に応じて「使う(やり方だけを伝える)」と「教える(考え方を伝える)」を適切に使い分けることで、効率的に業務を進めながら、部下の成長を促すことができるのです。
ポイントまとめ
✅ 「使う」と「教える」を意識的に分ける → 全てを教えるのではなく、状況に応じた指導をする
✅ 「使う」=やり方だけを伝えて即実行させる場面 → 緊急性の高い業務やルールが明確な作業
✅ 「教える」=考え方を伝えて成長を促す場面 → 応用力や判断力が求められる業務
✅ 適切に使い分けることで、業務の効率化と部下の成長を両立できる
「ミスをする機会」を意図的に作る

部下がミスをしないように細かく指示を出しすぎると、自分で考える習慣が身につかず、いつまでも指示待ちの状態になってしまいます。成長を促すためには、あえてミスをする機会を作り、そこから学ばせることが重要です。もちろん、重大な事故や大きなトラブルにつながるミスは避けるべきですが、影響が軽微な範囲であれば、意図的に失敗を経験させることが成長の近道になります。
例えば、配筋検査の写真を撮る場面を考えてみましょう。
最初から「ここからこの角度で撮るんだ」「この部分が見えるように撮れ」と細かく指示を出してしまうと、部下は言われた通りに写真を撮るだけで、何が重要なのかを理解しようとしません。そこで、まずは「配筋検査の写真を撮ってみて」と任せてみます。
写真を撮り終わった後に、「この写真で大丈夫だと思う?」と問いかけ、部下自身に確認させます。その際、明らかにミスがある場合でもすぐに指摘せず、「この写真を使って、後から鉄筋のピッチや径が確認できるかな?」と考えさせるのがポイントです。自分で間違いに気づくことで、次からは意識して正しい写真を撮るようになります。
さらに、「なぜこの写真では不十分なのか」「どう撮ればより分かりやすくなるのか」を一緒に考え、「次回はどうすれば改善できる?」と話し合わせることで、ミスを単なる失敗で終わらせず、学びの機会に変えることができます。
また、書類作成や段取りの場面でも同様に、「まず自分でやってみて」と任せることが大切です。例えば、翌日の作業段取りを組ませる際に、細かく指示を出さず、「明日の作業予定を考えてみて」と一度やらせてみます。そして、「この段取りで職人さんはスムーズに作業できるかな?」と問いかけ、改善点を自分で考えさせます。
ミスを指摘するだけではなく、「なぜそのミスが起きたのか」「どうすれば次回は防げるか」を一緒に考えさせることで、単なる「失敗」ではなく「成長の機会」に変えることができます。意図的にミスを経験させ、そこから学ばせることで、最終的には自分で考えて動ける人材へと成長させることができるのです。
ポイントまとめ
✅ 細かく指示しすぎると、部下は考える力を失う → あえてミスの機会を作り、学ばせることが大切
✅ 軽微なミスは許容し、自分で気づかせる → すぐに正解を教えず、「この写真で問題ない?」と問いかける
✅ ミスの原因と改善策を考えさせる → 「なぜ間違えた?次はどうすればいい?」と振り返らせる
✅ 失敗を「成長の機会」に変えることで、主体的に動ける人材を育てる
「学ぶ場所」を与える

仕事の中で学ぶだけでなく、知識を深める機会を用意することも大切です。
その現場での経験を通じて学ぶことも重要ですが、それだけでは知識が偏ったり、自己流になってしまったりすることがあります。仕事をしながらも知識を深める機会を意図的に用意し、「学ぶ場所」を与えることが、成長を促すポイントになります。具体的には、以下のような方法があります。
1. 施工基準や規則を確認する習慣をつけさせる
「とりあえず先輩に聞けばいい」という姿勢のままだと、部下は自分で調べる力が身につきません。まずは、自分で情報を探す習慣をつけさせることが大切です。
例えば、新人に「この鉄筋のピッチってどう決まるか知ってる?」と質問したとします。
そこで「いや、わかりません」と答えた場合、すぐに教えてしまうのではなく、「じゃあ、施工基準書の該当ページを探してみて」と促します。
実際に自分で基準書を開いて該当する項目を探すことで、「鉄筋のピッチは施工基準によって決まっている」ということを理解するだけでなく、「分からないことがあったら、まず基準書を確認する」という習慣が身につきます。
また、「この工事の管理基準はどこに書いてある?」といった質問を定期的に投げかけることで、自然と施工基準やルールに目を向けるようになります。
2. 研修や勉強会を活用する
現場経験だけでは学びきれない理論的な知識を身につけるために、研修や勉強会に参加させることも効果的です。
例えば、「この資料を読んで、気づいたことを発表してみて」といった形で、自分の考えを言語化させると、単なる知識のインプットだけでなく、アウトプットの力も養われます。
また、社内で簡単な勉強会を開き、「施工管理の基本」「安全管理のポイント」「トラブル時の対応」といったテーマでディスカッションをさせるのも良い方法です。こうすることで、「なんとなく知っている」知識を、実際の業務で使える知識へと定着させることができます。
3. 先輩や他の現場の人と話す機会を作る
社内の知識だけでなく、他の現場や経験豊富な人の意見を聞くことで、新しい視点を得ることができます。
例えば、部下に「他の現場ではどうやってるか聞いてみて」と指示し、違う現場の施工管理や職人と話をさせることで、「自分の現場のやり方が絶対ではない」ということを実感できます。
また、社内に経験豊富なベテランがいる場合は、「〇〇さんに聞いてみるといいよ」と促し、技術的な話を直接聞く機会を作るのも良い方法です。知識だけでなく、仕事の進め方や考え方も学ぶことができます。
このように、「ただ仕事をこなす」だけでなく、「知識を深める場を意識的に作る」ことで、部下は自ら学ぶ姿勢を身につけるようになります。学びの機会を与えることが、長期的な成長につながるのです。
ポイントまとめ
✅ 「学ぶ場所」を意図的に用意する → 現場経験だけではなく、知識を深める機会を作る
✅ 自分で調べる習慣をつけさせる → 施工基準や規則を確認させ、知識の蓄積を促す
✅ 研修や勉強会を活用する → 知識のインプットだけでなく、アウトプットの場を設ける
✅ 先輩や他の現場の人と交流させる → 新しい視点や実践的なノウハウを学ばせる
✅ 知識を深める場を作ることで、主体的に学ぶ姿勢を育てる
「自分で決める経験」を積ませる

部下が指示を待つのではなく、自分で考え、判断できるようになるためには、「自分で決める経験」を積ませることが必要です。小さなことからでも決定を任せていくことで、徐々に判断力が養われ、責任を持って行動できるようになります。
1. 選択肢を提示し、自分で考えさせる
いきなり「自分で考えて決めろ」と言われても、経験の浅い部下にとっては難しいことがあります。そこで、「AとB、どちらがいいと思う?」と選択肢を与え、考えやすくするのが効果的です。
例えば、足場の組み方を検討する場面では、
「A案とB案、どっちの方が作業しやすいと思う?」と問いかけてみます。
部下が考えたうえで「A案の方が良いと思います」と答えたら、すぐに正解・不正解を言うのではなく、
「なるほど、それもいいね。でもこういう視点もあるよ」と補足しながら、判断基準を広げていきます。
こうすることで、「どんな基準で判断すればよいのか」を学び、自分で決める力が少しずつ養われていきます。
2. 小さな業務の決定権を与える
最初は大きな判断ではなく、比較的リスクの少ない業務の決定を任せていくことが重要です。
例えば、「この工程の段取り、君が考えてみて」と任せるのも一つの方法です。
もちろん、初めから完璧な段取りができるわけではありませんが、「どんな順番で進めるのがいいか?」「どこで職人の手が空いてしまうか?」などを考えさせることで、徐々に全体の流れを意識できるようになります。
判断に迷ったときは、「何を基準に決めたらいいと思う?」と問いかけ、考える方向性を示してあげると、自分で決める力がつきやすくなります。
3. 判断のプロセスを振り返らせる
決定を任せた後は、「なぜその判断をしたのか?」を振り返らせることが大切です。
例えば、工程を組ませた後に、
「今回の段取りで問題なかった? もっと良くできる点はあった?」と聞いてみます。
もし問題があった場合でも、「ダメだったな」と終わらせるのではなく、
「次に同じことがあったらどうする?」と問いかけ、次につなげる意識を持たせることが重要です。
このように、「自分で決める → 振り返る → 次に活かす」という流れを繰り返すことで、少しずつ自信を持って判断できるようになります。
自分で決める経験を積ませることは、単に業務をこなせるようになるだけでなく、責任感を育てることにもつながります。まずは小さな判断から任せ、徐々にステップアップさせることで、指示を待つのではなく、主体的に動ける人材へと成長させることができるのです。
ポイントまとめ
✅ 選択肢を提示し、考えやすくする → 「AとB、どちらがいい?」と問いかけ、判断基準を広げる
✅ 小さな業務の決定権を与える → 段取りや工程管理を任せ、徐々に判断力を養う
✅ 判断のプロセスを振り返らせる → 「なぜそう判断した?次はどうする?」と問いかけ、成長につなげる
✅ 自分で決める経験を積ませることで、責任感と主体性を育てる
まとめ
部下育成において、「使う」だけではなく「教える」ことを意識すると、部下が自分で考えられるようになります。
そのためには、
- 答えではなく考え方を伝える
- 使う場面と教える場面を明確に分ける
- ミスをする機会を与え、そこから学ばせる
- 自分で調べる・学ぶ場を用意する
- 小さな判断を任せて、経験を積ませる
こうしたポイントを意識することで、指示待ちではなく、自ら考え行動できる人材へと育てていくことができます。部下がなかなか成長しないと感じているのであれば、それは部下の問題ではなく、「教え方」に原因があるのかもしれません。
ぜひ、日々の指導の中で「本当に教えているか?」を振り返りながら、実践してみてください。

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