施工管理の教育は、昔から 「背中を見て学べ」 という現場主義が主流でした。
しかし、最近では 体系的な研修の重要性 が見直され、教育のあり方が変わりつつあります。
今回は、 「つなぐたすける土木」代表の松岡さん をゲストに迎え、施工管理の育成方法や教育の未来について深掘りしていきます。大手と中小企業での違いや、今後求められる教育の形について、リアルな現場経験をもとに徹底討論!
討論の内容
- 大手と中小の研修の違いについて
- 座学で基礎を固めるべきか?現場で経験を積むべきか?
- これからの施工管理教育はどう進化するのか?
20年後の施工管理教育はどうなっているのか?
未来の可能性も探りながら、一緒に考えていきましょう!

つなぐたすける土木株式会社 代表取締役
松岡 由高(まつおか よしたか)
国内外で設計・施工の実務経験を重ね、NEXCOや国交省案件などのインフラ事業に多数携わる。アジア2カ国での海外赴任を通じ、異なる環境での現場管理やプロジェクト推進のノウハウも蓄積。
現在は、中小建設会社の働き方改革や業務効率化の支援に注力。建設業界の生産性向上を目指し、ITツールの導入支援や現場のデジタル化を推進中。
【これまでの活動】
- 1987年生まれ 愛知県在住
- 平成23年 名古屋大学大学院卒業後、大成建設(株)に入社
- 平成30年 1級土木施工管理技士を取得
- 令和3年 ショーボンド建設(株)に転職
- 令和6年 起業・独立
株式会社 RaisePLAN 代表取締役
武田 祐樹(たけだ ひろき)
【保持資格】
- 一級建築士
- ー級建築施工管理技士
- 一級土木施工管理技士
【これまでの活動】
- 総合建設業で施工管理として17年勤務後、独立起業。
- 建設現場の生産性向上と施工管理の教育支援を展開。
- 中小企業庁「デジタル化応援隊事業」のIT専門家。
- YouTubeチャンネル『建設業を持ち上げるTV』を運営し、登録者1.2万人を獲得。教育特化長尺動画が8万回再生を突破。
- Instagramや音声配信など多メディアで情報発信。
- 電子書籍出版やオンラインセミナーを精力的に実施。
- 2023年3月、AbemaPrime出演で現場効率化施策が注目。
記事の監修

株式会社 RaisePLAN 代表取締役
武田 祐樹(たけだ ひろき)
【保持資格】
- 一級建築士
- ー級建築施工管理技士
- 一級土木施工管理技士
記事の監修

【これまでの活動】
- 総合建設業で施工管理として17年勤務後、独立起業。
- 建設現場の生産性向上と施工管理の教育支援を展開。
- 中小企業庁「デジタル化応援隊事業」のIT専門家。
- YouTubeチャンネル『建設業を持ち上げるTV』を運営し、登録者1.2万人を獲得。教育特化長尺動画が8万回再生を突破。
- Instagramや音声配信など多メディアで情報発信。
- 電子書籍出版やオンラインセミナーを精力的に実施。
- 2023年3月、AbemaPrime出演で現場効率化施策が注目。
新人スキルアップ研修
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施工管理の教育、 大手と中小の違いを比較!

かつて土木業界の教育といえば、「背中を見て学べ!」が当たり前でした。
しかし、今の時代はどうでしょう?
- 「それじゃ育たないよね」
- 「体系的に学ぶ仕組みが必要だよね」
こうした考え方が広まり、教育のスタイルは大きく変わりつつあります。
では、実際の施工管理の教育はどのようなものだったのか?
松岡さんの経験をもとに、大手と中小での違いを見ていきましょう。
大手ゼネコンの研修はどうだった?~松岡さんの場合~
「私が最初に入ったのは大手ゼネコンだったので、研修はしっかりありましたね。」
研修期間は 合計5ヶ月。
- 全社員研修(2週間):基本的な業務や会社のルールを学ぶ
- 土木部門研修(2ヶ月):測量研修、座学、設計の基礎など
特に印象的だったのは、新人が 「橋を1本設計する」 実習。しかも、 すべて手計算で!
1ヶ月半かけて設計し、最終的には 設計部の幹部の前でプレゼン するという本格的な内容でした。
「死に物狂いでやりましたよ(笑)」と松岡さん。
でも、この経験が 設計の基本を深く理解するきっかけ になったそうです。
中小企業の研修はどうだった? ~武田の場合~
一方、私が最初に入社したのは 中小のゼネコン でした。
そこでの研修は、大手とはまったく違うものでした。
- 入社前に山で合宿研修(精神論が中心)
- 入社式の翌日から即現場配属
- 座学や技術研修はほぼなし
入った瞬間から、『見て覚えろ!』の世界でした。
たまに「名刺の渡し方研修」などはありましたが、「施工管理とは?」といった基礎教育は一切なし!
大手と中小、研修のギャップは歴然!
こうして比べると、大手と中小では教育の仕組みがまったく違うことがわかります。
- 大手は体系的に学ぶ環境がある
- 中小は即戦力として現場に放り込まれる
どちらが良いかは人それぞれですが、
「学ぶ機会があるかどうか」 でスタートラインに大きな差が生まれるのは確かです。
これから施工管理を目指す人は、 「どんな教育環境があるのか?」 も、会社選びのポイントにするといいかもしれませんね!

最近の施工管理育成は変わってきた?

ここ数年で、中小企業でも 施工管理の研修を取り入れる会社が増えてきています。
特に、新人の早期離職を防ぐため、 最低限の基礎を学べる環境を整えよう という動きが広がっています。
具体的な取り組み
松岡さんが関わる企業でも、以下のような研修を導入する会社が増えているそうです。
- 1〜2週間の研修を実施
基本的な施工管理の流れや、安全管理、図面の見方などの基礎を学ぶ。 - 最初の2ヶ月は現場を見学させる
いきなり配属するのではなく、複数の現場を回りながら業務の流れを理解する。 - 先輩社員がOJTで指導する仕組みを整備
いきなり「見て覚えろ」ではなく、フォロー体制を強化する。
こうした変化が生まれた背景には、若手の離職率の高さ があります。
「何をすればいいかわからないまま現場に放り込まれ、ついていけずに辞めてしまう」ケースが多いため、新人が安心して学べる環境を作る必要性 が高まっているのです。
しかし、まだまだ研修がない会社も多い
一方で、研修を全く行わず、従来の「現場で覚えろ」スタイルを続けている会社も少なくない のが現実です。
「だからこそ、施工管理の教育の仕組みを作ることが大切なんです!」と松岡さん。
個々の成長スピードや学び方に合わせた研修制度を整えられるかどうかが、企業の未来を左右する といっても過言ではありません。施工管理の仕事に必要な知識やスキルを 計画的に習得できる環境 が、今後ますます求められていくでしょう。
研修はどれくらい必要?半年間の座学が必要な理由

「現場で経験を積むのが一番!」という意見は根強いですが、松岡さんは 「半年くらいは座学で基礎をしっかり学ぶのが理想」 だと考えています。
1. 土木の基礎知識をしっかり身につけられる
施工管理は、ただ指示を出す仕事ではなく、構造や材料、施工方法の理解が不可欠です。
座学でしっかり学んでおけば、現場で何が起こっているのかを 理論的に理解できる ようになります。
2. ルールブック(道路橋示方書など)の読み方を学べる
土木工事には 国が定めた基準 があります。
例えば、「道路橋示方書」「コンクリート標準示方書」 など、施工管理者として知っておくべき規格やルールが多く存在します。
しかし、これらの専門書は 独学ではなかなか理解しづらい のが現実。
座学でしっかり学ぶことで、「基準に沿った施工とは何か?」 を理解し、現場での判断力を高めることができます。
3. 現場に入っても「何がわからないか」がわかるようになる
知識がないまま現場に出ると、そもそも 「自分が何を理解できていないのか」 がわからず、ただ先輩の指示をこなすだけになりがちです。座学で基本を学んでおけば、現場でわからないことが出てきても、「これはどこを調べれば解決できるか?」 という思考ができるようになります。
確かに、現場での経験は重要 ですが、「その現場のやり方」しか知らない施工管理者 になってしまう危険もあります。異なる現場に移ったときに柔軟に対応できるよう、広い知識を持った施工管理者になるには、座学と現場のバランスが大事 なのです。
これからの施工管理教育はどう変わる?

技術が進化し続ける中で、施工管理の教育も 大きく変わっていく ことが予想されます。
では、20年後の施工管理教育はどのような形になっているのでしょうか?
1. AR(拡張現実)を活用した研修
現在の研修は、座学や現場実習が中心ですが、今後は AR技術 を活用したトレーニングが普及すると考えられます。
例えば、スマートグラスを装着することで、現場にいなくても施工のシミュレーションが可能 に。
新人でも 「実際に現場を歩くような体験」 をしながら、安全管理や施工手順を学ぶことができるでしょう。
2. スマホやタブレットで学べる施工管理アプリ
現在でもe-Learningはありますが、将来的には 施工管理専用の学習アプリ が開発されるかもしれません。
- 施工の基礎知識や法規を ゲーム感覚で学べる
- 過去の施工事例を 動画や3Dモデルで解説
- 現場で 困ったときにすぐ検索できる
こうしたツールが普及すれば、現場に行く前に知識をインプットできる環境 が整います。
3. AIがリアルタイムでアドバイス
施工管理は 経験がモノをいう世界 ですが、AIの進化により リアルタイムで適切なアドバイスを受けられる時代 になるかもしれません。
例えば、
- 図面を撮影すると、AIがミスを指摘し修正案を提示
- 作業計画を入力すると、最適な施工手順や注意点をアドバイス
- 現場の写真を解析し、安全リスクを事前に警告
経験の少ない新人でも、即戦力として活躍できる仕組み が整う可能性があります。
4. 全国統一のオンライン教育プラットフォーム
現在、施工管理の教育は 企業ごとにバラバラ ですが、将来的には 全国統一のオンライン研修プログラム が導入されるかもしれません。
- 「全国の優秀な講師が一斉に新人を育成する」
- 「建設業界全体で知識やスキルの標準化を図る」
- 「個々のレベルに合わせた学習カリキュラムを提供する」
こうした仕組みができれば、教育の質が均一化 され、どの会社に入っても 一定のスキルを持った施工管理者が育成される環境 が整うでしょう。
これからの施工管理の教育はどうするべき?

施工管理の教育は 座学と現場のバランス が重要です。
現場経験は欠かせませんが、それだけでは 「その現場のやり方しか知らない」 状態になりがちです。
基礎知識を座学で学びながら、実際の業務を通じて応用力を身につけることが求められます。
これからの施工管理教育で大切なこと
- 個々のレベルに合わせた育成が必要
一律の研修ではなく、個々の成長スピードや学び方に合わせた指導が求められる。 - 「見て覚えろ」ではなく、考え方を教えることが重要
指示待ちではなく、自ら考えて動ける施工管理者を育てる仕組みが必要。 - テクノロジーを活用した学習環境の整備
ARやAIを活用し、現場に出る前に施工の流れやリスクをシミュレーションできる仕組みを導入する。
特に、今の若手は
- 知識をしっかり学びたい
- 自分の成長を実感したい
という思いを持っている人が多いです。
だからこそ、 学ぶ環境を整えること が、これからの施工管理教育で企業に求められる役割になります。
施工管理教育の未来はテクノロジーと個別最適化へ
今後は ARやAIを活用した研修 が当たり前になり、全国統一の教育プラットフォーム によって、どの企業でも一定水準の教育を受けられるようになるかもしれません。
技術の進化とともに、施工管理の教育も進化する時代。
これからの施工管理者を育てるために、企業も教育の在り方を見直す必要がありそうです。
最後に – 施工管理の教育は常に進化する
施工管理の教育は、企業の規模や文化、そして業界全体の変化に合わせて進化し続けています。
かつての 「背中を見て学べ」 という現場主義から、今では 座学と実践のバランスを取る教育 へとシフトしつつあります。さらに、ARやAI、オンライン学習 などの技術が進化することで、より効果的で効率的な育成方法が確立される未来も見えてきました。
特に、これからの若手は 「知識をしっかり学びたい」「成長を実感したい」 という意識を持っています。
そのため、企業側が 学ぶ環境を整える ことが、これからの施工管理教育の鍵を握るのではないでしょうか?
施工管理の育成に正解はなく、常に最適な形を模索し続けることが大切です。
新人スキルアップ研修
建築・土木施工管理の基礎から実務スキルを学べる6か月間のオンライン新人研修です。基礎力を養いながら現場での即戦力を育成し、教育負担を軽減して自立した人材の成長をサポートします。>>詳細を見る
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