家の隅に黒いカビを見つけて「どうしてここだけ…?」と思ったことはないでしょうか。クローゼットの衣類が湿気でカビてしまうなど、日常の住まいでよく起こる問題ですが、実はこれらの多くは建築の計画・施工・管理を正しく行えば防げるものです。
施工管理者にとってカビの基礎知識は、建物品質にも施主満足度にも直結する重要分野です。今回は、カビの「発生条件」と「防止策」を建築の視点から整理し、今日から現場で実践できる具体的なチェックポイントとしてまとめます。
株式会社 RaisePLAN 代表取締役
武田 祐樹(たけだ ひろき)
【保持資格】
- 一級建築士
- ー級建築施工管理技士
- 一級土木施工管理技士
【これまでの活動】
- 総合建設業で施工管理として17年勤務後、独立起業。
- 建設現場の生産性向上と施工管理の教育支援を展開。
- 中小企業庁「デジタル化応援隊事業」のIT専門家。
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- Instagramや音声配信など多メディアで情報発信。
- 電子書籍出版やオンラインセミナーを精力的に実施。
- 2023年3月、AbemaPrime出演で現場効率化施策が注目。
記事の監修

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カビが発生する3条件とは?施工管理者が現場で見るべきポイント
カビは「湿度」「温度」「空気の滞留」の3つが揃ったときに発生します。
湿度は相対湿度60%を超えると胞子が発芽しやすく、特に冬期の内部結露や断熱・気密の不良施工により壁内に湿気が溜まるケースは、初心者が最も見落としやすいポイントです。例えば、気密シートのタッカー留め忘れ、コンセントボックス周りの隙間、断熱材の押し込み不足などは“施工あるある”ですが、これらは壁内結露を招き、内部の構造材にカビを発生させてしまいます。
温度に関してはカビが20〜30℃を好むため、居住空間では常時リスクがあり、特に暖房運転中の冬は温かく湿った室内空気が冷たい壁やアルミサッシに触れて結露が起こります。そのため、北側の壁・基礎断熱の弱い部分・躯体の欠損部などは重点的に確認すべきポイントです。
空気の滞留は家具裏・押入れ内部・洗面台の下などで起きやすく、これらの位置は施工時の換気計画やコンセント配置によって空気の流れを塞いでしまうことがあります。現場では「この家具の配置だと空気が動かない」「この収納は奥行きが深すぎて湿気が抜けにくい」といった視点を持つことが重要です。
さらに、ホコリ・皮脂・石けんカスといった栄養源が加わるとカビの増殖速度は一気に上がるため、清掃しにくい隅部の形状や設計の工夫にも注意が必要です。
なぜカビは増える?施工図・現場で初心者が見落とす“栄養源”の罠
カビは湿気と温度だけでは繁殖せず、そこにホコリ・皮脂・石けんカス・木材の微粉といった“栄養源”が加わることで一気に広がります。例えば、木造住宅の床合板を切った際の切り粉が掃除されず残っていたり、ユニットバスの接続部に石けんカスがこびりついていたり、洗面台下の配管周りにホコリが溜まっていたりする状況は、いずれもカビが非常に繁殖しやすい環境です。
施工管理の初心者が現場でやりがちな失敗として「完了前清掃を後回しにしてしまう」ケースがありますが、清掃が不十分だとカビの栄養源がそのまま残り、発生リスクが急激に高まります。また、収納内部が風の入らない構造になっているとホコリが溜まりやすく、湿気も逃げにくくなるため、カビが好む条件がすべて揃ってしまいます。
そのため、図面チェックの段階から「収納にガラリを付けるべきか」「背面に点検口を設ければ湿気が抜けるか」などの視点を持つことが大切です。こうした小さな判断を積み重ねることが、長期的な建物品質の維持につながります。
建築・設備でできるカビ対策
カビを防ぐためには、発生条件である「湿度・温度・空気の滞留」のうち、どれか一つでも崩すことが効果的ですが、施工管理者が現場で最も扱いやすいのは“空気の動きを作ること”です。家具や収納を壁から3〜5cm離して配置するだけで自然対流が生まれ、湿気が滞留しにくくなります。押入れやクローゼットの内部に小窓やガラリ戸を採用すると、閉ざされた空間にわずかな空気の流れが生まれ、カビの発生しにくい環境を整えられます。
また、24時間換気の正しい使い方を施主に説明することも重要です。浴室であれば入浴後2〜3時間は換気扇を回し続けること、トイレや脱衣室は窓を開けたままでは期待通りに換気されないため、窓を閉じた状態で換気扇を運転させることなど、運用次第でカビの発生を大きく抑えることができます。
室内の温湿度を均一にするために、扇風機やサーキュレーターを併用する方法も効果的です。さらに、断熱材の欠損を防ぐために施工中にサーモカメラで温度ムラを確認する作業は、初心者でも取り入れやすい実践的なチェックのひとつです。
細かな現場管理もカビ対策には欠かせません。コンセント裏の気流止めが確実に行われているか、梁周りの断熱が途切れていないか、ユニットバスの架台下に通気が確保されているかといった点を丁寧に確認することで、結露面を大きく減らすことができ、結果としてカビの発生リスクを大幅に下げられます。
まとめ:カビ対策は「湿気を動かす設計」を徹底すること
カビは「湿度」「温度」「空気の滞留」という3条件が揃うと瞬時に発生しますが、どれか1つでも崩すだけでリスクを大きく下げられます。特に“空気の動き”は、施工者・設計者・施主の三者が最もコントロールしやすい要素で、家具配置・換気設計・断熱施工などあらゆる場面で効果を発揮します。
施工管理者がこの考え方を身につけることで、図面段階で通気経路を確保し、現場では断熱・気密の欠損を見逃さず、引き渡し時には施主へ運用方法を的確に説明できるようになります。カビ対策とは、単なる掃除や換気ではなく「湿気を動かすための設計と施工管理」を行うこと。これを理解するだけで、あなたの現場品質は確実にワンランク上がります。
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