新人は何かと不安が付きまとうもの。使えないと思われてはいないか。ダメな社員になってはいないか。うまく溶け込めているか。新しい環境でいつでも不安に思っています。
今回は、そんな新人たちへのエールを送ろうと思います。まず結論から言うと、新人は「できてはいけない」。これが鉄則であり、ここを外すととてつもなく苦しい道のりになり、挫折してしまいます。では順番に説明してみましょう。
デキないと思われたくない感情はわかりますが、デキると思われてはいけません。
「もしも」の話をすれば理解できるかと思います。
理由①:仕事ができると自分が困る
もしも新人の段階で「こいつデキるな」と思わせることに成功したとしましょう。いつも多忙な先輩たちは、よだれを垂らして待っている状況です。少しでも仕事ができると踏んだのであれば、もう一つ上のランクの仕事をさせようとします。なぜなら、デキると思っているから。
仮にそれをクリアしたとしても、上には上があります。できなくなるギリギリまで難易度を上げてきます。だって先輩は忙しいから。それをサポートしてくれる人を渇望しているのです。
新人は一度できると思われてしまいました。ですが、それはきっと部分的な話。短期間で仕事の全容がわかるはずもなく、基礎を学ぶには時間がなさすぎます。でもデキると思われてしまった。そしてその期待値を下げたくない気持ちが生まれます。
結果として、一度貼られてしまった「デキる」のレッテルを守るために必死になります。それを必死でクリアして劇的な成長を遂げる人も中にはいますが、極めて稀。多くの場合は、知ったかぶりをし、嘘をつかざるを得なくなり、自分を守るために職人のせいにしたりします。
実は基礎が乏しく、応用が利かないにもかかわらず、それを認めることができない。そんな逃げ道のない状況に追い込まれてしまうのです。そんな毎日楽しいでしょうか?僕なら辞めたくなります・・・。
まずはこの理由により新人は出来てはいけないということです。
理由②:仕事ができると先輩が困る
先輩が先輩になるために、後輩は絶対に必要だからという理由もあります。会社組織の最大の責務は何か。それは組織を存続させることです。いつまでも続くことができる仕組みを作り、働く人の生活を守る責務があるのです。だからこそ安心して働けるわけですから。
そうなると、定期的に新人を採用しなければならず、教わる立場から教える側に回らなければなりません。そうやって技術は伝承されるからです。つまり「教えるスキル」は少なからず磨かれなければいけません。先輩は後輩がいない限り、絶対に先輩になれないのです。
新人がデキてしまうと、「こんな感じで教えればいいんだ」と思ってしまいます。そして次の年、同じ教え方をしてこう感じます。「この新人はダメだ」。教え方が悪いにもかかわらず、相手が悪いということになってしまうことになるのです。
以上2つの理由により、新人は出来る必要がないと言えるのです。そもそも学生から上がってきたばかりの新人に対して、デキるデキないを求めること自体、不自然なのかもしれません。
新人は出来る必要がないというよりは、新人は出来てはいけないわけです。
だったら、この新人でいられる間に、ガンガン質問をしましょう。相談をしましょう。それによって先輩は成長していきます。新人も同じです。
だから、新人のあなたへ。不安に思う必要はありません。期待されていると、プレッシャーに思う必要もありません。うまくいくかなと思う意味はないのです。
だってできないことが新人のポジション。
不安に思うことなく、まずは自分の歩幅で一生懸命に努力をすること。それしかできないのですから。
そして、笑顔と素直さを忘れずにいられればそれで充分。焦らず一つずつ積み上げていってほしいと思います。