工事現場での写真撮影は、建設業界において重要な作業です。
その写真は、工事の進捗状況や施工箇所の確認、品質管理などに活用されます。しかし、写真を撮った後の整理や管理作業は、手間がかかるものであり、時間と労力を必要とします。
そこで、効率化の方法を探ることは、業務の効率改善につながる重要な課題となっています。
今回は、工事写真の効率化についてお話をしていきます。
武田祐樹(たけだひろき)
総合建設業に17年在職し、官民問わず数多くの実績を積む。
現在はオンラインを中心に活動し、中小企業デジタル化応援隊事業(中小企業庁)のIT専門家としても活動。YouTubeや音声配信、Instagramなどで情報発信を行い、電子書籍出版やオンライン講師、オンラインセミナー活動も積極的に行う。
2023年3月には、建設業の現場効率化の仕掛け人としてAbemaPrimeに出演。
保有資格
- 1級建築士
- 1級建築施工管理技士
- 1級土木施工管理技士
建設現場生産性向上サポート
HT RaisePLAN 代表
工事写真とは
工事写真は、建設現場の進捗状況や作業の過程を記録するために撮影される写真のことです。撮影ルールに基づき、進行状況や作業の過程を記録します。建設業界では、工事の進行状況や品質管理、安全確認などの目的で積極的に活用されています。
工事写真の主な目的は、以下の点です。
進捗管理
工事が予定通り進行しているかどうかを確認するため、作業の段階ごとに写真を撮影します。これにより、工程の遅れや問題が早期に発見され、適切な対策が取られることが可能となります。
品質管理
工事の品質を確保するため、作業の過程や施工箇所の写真を撮影します。後で写真を見返すことで、仕様や基準に適合しているかどうかを確認し、必要な修正や改善を行います。
安全管理
安全な作業環境を確保するため、作業員の安全対策や危険箇所の確認のために写真が活用されます。事故やトラブルが発生した場合にも、写真が証拠として活用されることがあります。
工事写真の重要性
工事写真の重要性について、ペンキ塗装の工程を例に挙げて説明します。
一般の人がペンキを塗るときには、単に塗ればいいと思っているかもしれませんが、実際には複数の工程があります。まず、錆がついた鉄面を研磨し、油分を除去する作業を行います。その後、下地を塗り、乾燥させてから表面を研磨し、平らに仕上げます。次に中塗りを行い、最後に上塗りをして作業を完了させます。
このような工程を踏むことで、ペンキがしっかりと密着し、将来的に剥がれることがないようになります。しかし、外見だけでは工程が適切に行われたかどうかは分かりません。
そこで、工事写真が重要な役割を果たします。工事写真は、施工手順の確認と記録に使用されます。現場監督は、毎日の作業の手順を写真に残し、後で確認するために工事写真を取ります。これにより、後々問題が発生した場合に備え、適切な施工が行われたことを証明することができます。
工事写真の業務効率化
工事写真は黒板を使って撮影されることが一般的でしたが、最近では電子黒板というツールが利用されています。電子黒板はスマホやタブレットに表示され、写真を撮る際に使用されます。これにより、大きな黒板を持ち運ぶ必要がなくなり、効率化が図られます。
電子黒板で写真を撮ることを前提にすると、それはデータとして扱われます。データとして取り込めれば、電子上で写真を撮った場合、自動的に該当する項目(例えば鉄筋工事)に振り分けられ、パソコンやコンピューターがフォルダ分けをしてくれる状況を作ることができます。これにより、写真を撮った後に目視で確認して振り分ける手間が省けます。
さらに、最終的にアルバムの形式で提出する場合は整理が必要ですが、電子データとして写真を撮り、あらかたフォルダ分けがされた状態を作ることができれば、それをクラウドにアップロードする戦略を取ることができます。クラウドにアップロードすれば、自分自身だけでなく他の人も閲覧できるため、クラウドへのアップロードによる利点もあります。このようにクラウドにデータをアップロードすることで、他の人(例えば同じ会社の他の人)が整理を手伝ってくれることも効率化につながるでしょう。また、外部の業者に依頼して写真の整理をしてもらう外注化という選択肢もあります。
自分たちの仕事から少しずつ離れることにより、残業時間の削減や仕事量の軽減などの効果が期待できます。このような選択をする際には、電子データで撮影し、自動的に振り分ける仕組みを整え、データをクラウドにアップロードする準備をする必要があります。
これらの準備が整えば、さまざまなサービスや他の人の手助けを受けることが十分に可能になります。
以上が本日の内容でした。写真は将来的にはなくなる可能性がありますが、その前に大容量の情報を記録できる技術が出てくるまで、写真はしばらく必要とされるでしょう。したがって、この技術を磨くことをお勧めします。