本記事では、施工管理の仕事の進め方について、PDCAサイクルとは異なる新しい視点からお話ししたいと思います。多くの方がPDCAサイクルに精通しているかと思いますが、施工管理の現場では、この従来のサイクルではなく、6つの段階を踏む新しいアプローチを提案したいと思います。これらの段階は、目的設定から始まり、計画、段取り、実行、チェック、そして修正までを含みます。
この記事では、これらの段階を具体的に解説し、施工管理の仕事をいかに効率的に、そして効果的に進めることができるかを掘り下げていきます。また、目的を明確に設定し、計画を立て、適切な段取りを行うことの重要性についても触れます。このアプローチによって、どのように仕事の質を向上させ、目標を達成できるのかを皆さんと共有したいと思います。
株式会社 RaisePLAN 代表取締役
武田 祐樹（たけだ ひろき）
【これまでの活動】
- 総合建設業に17年在職後、独立起業。
- 建設現場の生産性向上支援や施工管理の教育支援を展開。
- 中小企業デジタル化応援隊事業（中小企業庁）のIT専門家。
- YouTubeや音声配信、Instagram・メールマガジンなどで情報発信を行い、電子書籍の出版やオンライン講師、オンラインセミナー活動に積極的に取り組む。
- 建設業の現場効率化の仕掛け人としてAbemaPrimeに出演（2023年3月）。
目的の明確化
目的の明確化は、PDCAサイクルの起点です。ここでは、何を達成するために作業を行うのかを具体的に定義します。施工管理の場合、目的はプロジェクトの要件や顧客の期待に基づいて設定されます。
- プロジェクトの目標と範囲の理解：プロジェクトの全体的な目標と、その範囲を理解する。
- 期限と予算の確認：プロジェクトの期限と予算制限を明確にする。
- リスクの評価：潜在的なリスクや課題を事前に特定し、対策を考える。
計画の策定
目的が明確になったら、それを達成するための計画を策定します。計画段階では、具体的なアクションプランを作成し、それを実行するためのリソースを配分します。
- タスクの特定：プロジェクトを構成する個別のタスクを特定する。
- スケジュールの作成：各タスクの期限を設定し、プロジェクトの全体スケジュールを作成する。
- リソースの割り当て：必要な人材、機材、資材を確保し、各タスクに割り当てる。
段取り
計画が確定したら、実際の作業に取り掛かる前の準備、つまり「段取り」が重要です。ここでは、計画の実行に必要な準備を整えます。
- 人材の配置：作業に必要な人材を確保し、適切な場所に配置する。
- 資材と機材の手配：必要な資材や機材を現場に運び入れ、使用準備を整える。
- 安全対策の確認：安全管理計画を策定し、現場の安全対策を確立する。
施工
準備が整ったら、実際に施工作業を開始します。この段階では、計画通りに作業が進むよう監督し、必要に応じて微調整を行います。
- 作業の監督：作業員の作業進行状況を監視し、計画通りに進むよう指示を出す。
- 品質管理：作業の品質が基準に達しているかを確認し、必要に応じて修正を行う。
- 進捗の追跡：プロジェクトの進捗を追跡し、スケジュール遅延を避ける。
チェック
作業の進行中や完了後には、成果物の品質とプロセスの有効性を評価する「チェック」が必要です。
- 品質の評価：完成した作業の品質を評価し、基準に準じているか確認する。
- フィードバックの収集：プロジェクトチームや顧客からのフィードバックを収集し、問題点を特定する。
- 進捗のレビュー：計画と比較して、プロジェクトの進捗状況をレビューする。
修正
チェックの結果、問題点や改善の必要がある場合は、修正を行います。修正の目的は、品質の向上と将来のプロジェクトでの同様の問題の予防です。
- 問題の特定と対応：発生した問題を特定し、適切な対策を講じる。
- プロセスの改善：発見された問題を解決し、今後のプロジェクトに活かすための改善策を導入する。
- 学びの共有：プロジェクトから得られた教訓をチームメンバーと共有し、組織全体の知識ベースを強化する。
まとめ
このブログでは、プロジェクト管理における効果的なアプローチを紹介しました。プロジェクトの成功は、目的、計画、段取り、実行、チェック、修正という６つのステップによって支えられています。重要なのは、最初に明確な目的を設定し、その目的に基づいて具体的な計画を立てることです。次に、必要なリソースや人員の手配を行い、段取りを整えます。
プロジェクト実行段階では、まず開始10分で現地の状況を確認し、初期の方向性を修正する機会を設けます。中間地点で進捗状況をチェックし、最終段階で完了状況を確認します。このチェックは、プロジェクトの質を保証し、必要に応じて修正を加えるために不可欠です。もし大きなミスが発生した場合は、一旦立ち止まり、目的に立ち返って計画を見直すことが重要です。
このプロセスを通じて、小さなタスクであっても、しっかりとした計画と段取りが必要であることがわかります。PDCAサイクルとは異なりますが、これらのステップによって、どんな仕事もスムーズに進めることができ、予測可能な問題に迅速に対応し、結果的にプロジェクトを成功に導くことができます。新人からベテランまで、このアプローチは誰にとっても有益なものです。
