本記事では、工事が終わりに近づいた際に、どのような点に注意すれば、完成した建物が施主にとって満足度の高いものとなるかについて、具体的にお伝えします。この話は、建物を建てる上での大原則というわけではなく、工事の最終段階で「あと少し」の工夫をどこに加えるか、という細かなコツに焦点を当てたものです。
建設現場で働く方々、特に現場監督や施工管理を担当する皆さんにとって、この時期に押さえておきたい重要なポイントをお話しします。
この記事を書いた人
株式会社 RaisePLAN 代表取締役
武田 祐樹(たけだ ひろき)
【これまでの活動】
- 総合建設業に17年在職後、独立起業。
- 建設現場の生産性向上支援や施工管理の教育支援を展開。
- 中小企業デジタル化応援隊事業(中小企業庁)のIT専門家。
- YouTubeや音声配信、Instagram・メールマガジンなどで情報発信を行い、電子書籍の出版やオンライン講師、オンラインセミナー活動に積極的に取り組む。
- 建設業の現場効率化の仕掛け人としてAbemaPrimeに出演(2023年3月)。
視線の高さに注目
工事が仕上がりに近づくと、建物は外見上完成しているように見えますが、細部にわたる最終チェックや微調整が必要になります。ここで特に重要なのが、「どの高さで物を見るか」、つまり「視線の高さ」に注目することです。普段私たちが何かを見るとき、自然と目が行くのは目の高さ周辺です。この視線の高さにある部分をきれいに保つことが、建物全体の印象を大きく左右します。
最終チェックのポイント
具体的には、建物に入った瞬間、人の目はまず足元、次に目の前の視野にある範囲に注目します。この視線の高さで、汚れや傷がないかをチェックし、可能な限り綺麗にすることが、施主の満足度を高める鍵となります。たとえば、ドアを開けたときに目に入る床の部分や、目の高さにある壁面、カウンターの上などが清潔かつ整然としているかどうかが非常に重要です。
この時期になると、建物のどこをどう見ればいいのか、具体的にどんな点検をすればいいのかというのが、現場管理の人たちにとっての大きな課題になります。しかし、目線の高さにある部分に焦点を当て、そこが清潔で整っていることを確認するだけで、全体の印象は格段に良くなります。これは、大規模な建設プロジェクトだけでなく、個人宅の工事にも同じく適用されるアドバイスです。
例えば、リビングルームの壁に小さな傷があったり、キッチンカウンターに汚れが残っていたりすると、それだけで施主の目には建物全体が不潔に見えてしまうことがあります。反対に、これらの部分が完璧に清掃され、きれいに保たれていれば、建物の印象は大きく向上します。
まとめ
工事の仕上げ段階での「小さな工夫」は、建物の品質そのものを変えるわけではありませんが、施主が建物を見たときの「最初の印象」を大きく良くすることができます。ですので、施工管理の方々は、特に視線の高さにある部分のチェックを徹底し、施主が建物に入った瞬間に「きれいだな」と感じるような配慮を心がけてください。