日本の建設業界は、慢性的な人手不足と長時間労働の問題に直面しています。特に中小ゼネコンでは、施工管理者の不足により一人ひとりの負担が増大し、高齢化による技術継承の停滞、若手の育成遅れといった課題が顕在化しています。このままでは、業界全体の持続可能性が危ぶまれる状況です。
しかし、これらの問題は従来の「現場常駐型」の施工管理のあり方を見直すことで、大きく改善できると考えています。そこで提唱したいのが「コア・エンジニアモデル」です。
このモデルでは、施工管理業務を「現場業務」と「遠隔業務」に明確に分業し、1人のコア・エンジニアが複数の現場を統括する仕組みを採用します。これにより、中核社員の負担を削減しながら、より少ない人員で効率的に現場を運営できるようになります。
すでに実証実験では、累計2100時間の労働時間削減という成果を上げており、次のような具体的な改善が見られています。
- 施工管理者の移動時間を大幅に削減し、業務の効率化を実現
- デジタルツールを活用した遠隔管理により、オフィス業務の時間を短縮
- 現場の施工管理者が「現場管理」に専念できるようになり、トラブル対応の迅速化を実現
「人手不足だから仕方がない」「長時間労働が当たり前」 そうした固定観念を捨て、新しい仕組みを積極的に導入することが、業界の未来を拓く鍵となります。
本記事では、「コア・エンジニアモデル」の具体的な仕組みと導入のメリット、そして実際にどのように導入すべきかについて詳しく解説します。
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株式会社 RaisePLAN 代表取締役
武田 祐樹(たけだ ひろき)
【保持資格】
- 一級建築士
- ー級建築施工管理技士
- 一級土木施工管理技士
【これまでの活動】
- 総合建設業で施工管理として17年勤務後、独立起業。
- 建設現場の生産性向上と施工管理の教育支援を展開。
- 中小企業庁「デジタル化応援隊事業」のIT専門家。
- YouTubeチャンネル『建設業を持ち上げるTV』を運営し、登録者1.2万人を獲得。教育特化長尺動画が8万回再生を突破。
- Instagramや音声配信など多メディアで情報発信。
- 電子書籍出版やオンラインセミナーを精力的に実施。
- 2023年3月、AbemaPrime出演で現場効率化施策が注目。
記事の監修

株式会社 RaisePLAN 代表取締役
武田 祐樹(たけだ ひろき)
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- 建設現場の生産性向上と施工管理の教育支援を展開。
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- 2023年3月、AbemaPrime出演で現場効率化施策が注目。
建設業界の課題

建設業界では、長年にわたり人材不足や長時間労働、若手の育成不足といった問題が続いています。特に中小ゼネコンでは、現場の施工管理者の数が絶対的に不足しており、一人ひとりの負担が過剰になっています。
その結果、労働環境が悪化し、人材の定着率が低下、さらに受注を増やしたくても対応できないという負のスパイラルに陥っている企業も少なくありません。
ここでは、建設業界が直面している4つの主要な課題について整理します。
課題1:技術者の高齢化
建設業界では、「砂時計型」と呼ばれる極端な人材構成が大きな課題となっています。これは、50代・60代のベテラン技術者が多くを占める一方で、若手の数が極端に少ないという状況を指します。本来、ベテランから若手へ技術を継承しながら、中堅層が業務の中核を担うのが理想ですが、建設業界ではこのバランスが崩れ、業務負担の偏りが深刻化しています。
なぜ「砂時計型」になっているのか?
1. 1990年代以降の採用停滞による若手不足
日本の建設業界では、1990年代のバブル崩壊後、深刻な建設不況が訪れ、新規採用が大幅に抑制されました。その後の2000年代においても、景気変動の影響を受け、企業は採用を慎重に進める傾向が強まり、長期間にわたり若手の雇用が不安定な状態が続きました。
その結果、現在の40代の中堅技術者の層が極端に薄くなり、技術継承の担い手が不足する状況が生まれています。本来であれば、ベテランの知識や経験を学び、次世代の施工管理者へと成長していくべき中堅層が存在しないため、若手の育成が思うように進まず、業界全体の技術力低下が懸念される状況です。
2. 若者の建設業離れ
近年、建設業は若者から敬遠される業界の一つとなっています。その主な理由は、長時間労働・休日の少なさ・厳しい職場環境といった労働環境の過酷さにあります。これらの要因が、新卒の入職希望者を減少させる大きな要因となっています。
さらに、ITやサービス業の発展により、若者の就職先の選択肢が多様化しました。特に、デジタル技術を活用した業界が拡大する中で、体力的な負担が少なく、柔軟な働き方が可能な職業へと流れる傾向が強まっています。
加えて、建設業界には未だに「3K(きつい・汚い・危険)」という古いイメージが根強く残っており、特に優秀な人材ほど他業界へ流出する傾向が顕著です。この結果、若手人材の確保がますます難しくなり、業界全体の新陳代謝が進まないという悪循環が生まれています。
3. ベテラン技術者の大量定年退職
建設業界では、現在50代・60代の技術者が業界の中核を担っている状況ですが、彼らの定年退職が本格化するにつれて、業界全体の技術力が一気に低下するリスクが高まっています。
ベテラン技術者は、長年の経験を活かし、施工管理の細部にわたる判断を行っています。しかし、そのノウハウが適切に若手へ継承されないまま彼らが退職すると、現場の知見が失われ、施工の質が低下する可能性があります。
また、現場の経験値を持つ技術者が不足すると、施工計画の適切な立案が難しくなり、工程管理の精度が低下します。その結果、工期の遅延やコストの増大といったリスクが増大し、企業経営にも大きな影響を与える可能性があるのです。
この課題が引き起こす具体的な問題
建設業界の人材バランスの崩れは、日々の業務負担の偏りや技術継承の遅れを引き起こし、最終的には企業経営や業界全体の競争力低下にまで影響を及ぼしています。ここでは、その具体的な問題を整理します。
1. ベテラン技術者の業務負担が限界に
現在の建設業界では、50代・60代のベテラン技術者が、管理職でありながら現場業務まで兼任するケースが増加しています。本来であれば、彼らはマネジメント業務に集中し、若手や中堅の技術者に業務を引き継いでいくべき立場です。しかし、慢性的な人手不足と中堅層の欠如により、施工管理の実務までこなさざるを得ない状況が続いています。
この結果、過重労働による体力的な負担が大きくなり、健康リスクの上昇が懸念されています。特に、高齢化が進む中での現場業務は、事故や労働災害のリスクも高める要因になっています。
また、現場対応が優先されることで、若手の指導に割く時間が確保できず、技術継承が進まないという問題も発生しています。経験豊富な技術者が現場での実務に追われてしまうことで、若手へのノウハウ共有や育成が後回しになり、技術が次世代に受け継がれないという悪循環が生じています。
2. 若手の育成が進まず、定着率も低迷
施工管理の現場では、若手技術者を育成する時間を確保することが難しくなっています。多くの施工管理者が日々の業務に追われ、OJT(現場での実地指導)の時間がほとんど取れないという状況が常態化しています。
さらに、研修制度の充実が遅れている企業では、若手が基本的なスキルを習得する機会が少ないため、現場での経験不足が直接的なストレスになり、短期間で離職してしまうケースが後を絶ちません。
このような環境の中で働く若手社員は、「このままでは成長できない」と感じ、他業界への転職を選択する傾向が強まっています。特に、入社3年以内の離職率が高止まりしているのは、成長の実感を得られず、キャリア形成の見通しが立たないことが大きな要因となっています。
結果として、貴重な若手人材が定着せず、企業は常に新たな人材確保に追われるという悪循環に陥っています。
3. ベテランの引退後、企業の施工管理能力が急激に低下
現在、業界の中核を担っている50代・60代の技術者が一斉に定年退職を迎え始めており、技術の継承が不十分なまま現場を離れるケースが増えています。これにより、企業の施工管理能力が急激に低下し、建設プロジェクトの品質や効率に深刻な影響を及ぼしています。
例えば、経験豊富な技術者が不在になることで、施工計画の精度が下がり、現場のトラブル対応が遅れることが増えています。小さなミスが積み重なり、工期の遅延や予算超過といった問題が発生しやすくなっているのが現状です。
さらに、企業の施工管理能力が低下することで、クライアントからの信頼を失い、受注機会を逃すリスクも高まっています。特に、公共工事や大規模プロジェクトでは、施工管理の品質や過去の実績が評価の重要なポイントとなるため、一度競争力を失うと、長期的に受注数が減少する可能性があります。
課題2:人手不足と長時間労働
施工管理者の不足は、多くの中小ゼネコンに共通する大きな課題です。特に、慢性的な人手不足と長時間労働の常態化が、施工管理の現場における大きな負担となっています。この問題が解決されない限り、業界全体の生産性向上や働き方改革は進まず、ますます人材確保が難しくなる悪循環に陥っています。
なぜ人手不足が起きているのか?
1. 建設業の仕事はハードで長時間労働が多いため、若者が敬遠
建設業は肉体的にも精神的にもハードな業務が多く、長時間労働が常態化しているため、若者からの人気が低い業界となっています。特に、新卒の就職活動においては、「ワークライフバランスを重視したい」「残業の少ない職場で働きたい」という意識が強まっており、建設業界は敬遠されがちです。
また、休日が少なく、勤務時間が不規則になりがちなことも、若手人材の確保を難しくしている要因です。特に、繁忙期には休日返上で働くことが求められる現場も多く、「プライベートの時間が確保できない」という理由で早期に離職するケースが後を絶ちません。
2. 新規採用を増やしても、数年で離職するケースが多い
せっかく新卒や若手の採用を増やしても、現場での負担が大きく、数年以内に離職するケースが多いのが実情です。特に、以下のような理由が離職につながっています。
- 研修制度が不十分で、業務を覚える前に現場に投入され、強いストレスを感じる
- OJTの時間が確保されず、知識・技術の習得が進まないまま業務を任される
- 残業や休日出勤が続き、体力的・精神的に限界を迎える
これらの問題により、せっかく採用した若手が短期間で辞めてしまい、企業は再び新規採用に力を入れざるを得ない状況に陥るという悪循環が続いています。
3. 施工管理者1人あたりの業務負担が大きくなり、さらに離職が進む悪循環
人手不足の中で、1人の施工管理者が担う業務量が増大しています。特に、中小ゼネコンでは、1つの現場に1人の施工管理者を配置できないことも多く、1人で複数の現場を担当するケースが増加しています。
この結果、労働時間が長くなり、精神的・肉体的な負担がさらに増大し、離職を考える施工管理者が増えてしまいます。これにより、人材流出が進み、さらに人手不足が深刻化するという負のスパイラルが続いてしまうのです。
長時間労働の現状
施工管理者の業務は、現場管理にとどまらず、多岐にわたる業務をこなさなければなりません。
- 現場管理 → 施工の進捗確認、安全管理、品質管理
- 工程管理 → 各工種のスケジュール調整、資材の手配
- 書類作成 → 役所への申請書類、施工報告書の作成
- 職人や協力会社との調整 → 職人の配置調整、作業内容の説明
これらの業務を、施工管理者1人がほぼすべて担当するケースが多く、膨大な業務量に追われることになります。
また、1人で複数の現場を掛け持ちするケースも増えており、移動時間の負担が大きくなっています。現場間の移動には時間を取られますが、その間にも工程管理や職人との打ち合わせ、書類作成などの業務は進めなければならず、仕事の終わる時間がどんどん遅くなってしまうのです。
その結果、朝早くから夜遅くまで働くことが当たり前の環境になり、疲労が蓄積し、さらなる離職の要因となるという悪循環が発生しています。
課題3:若手の育成が進まない
建設業界では、施工管理者の業務負担が増大している結果、若手社員を育成する余裕がないという深刻な問題が生まれています。特に、経験豊富な中堅社員が現場業務に忙殺され、若手指導の時間を確保できないことが、業界全体の技術継承を妨げる大きな要因となっています。
なぜ若手の育成が進まないのか?
1. 中堅社員が現場業務に忙殺され、指導の時間が取れない
施工管理の現場では、中堅社員が施工管理の中核を担うことが一般的ですが、現在の建設業界では人手不足が慢性化し、中堅社員が現場業務に追われているのが実情です。
- 1人で複数の現場を担当し、日々の業務に余裕がない
- 職人や協力会社との調整、安全管理、工程管理など多岐にわたる業務を抱えている
- 新人教育の時間を確保することが難しく、実質的に「見て覚える」形になっている
このような状況では、若手が疑問を持っても十分に指導を受けることができず、必要な知識や技術が身につかないまま現場に出されてしまうという問題が発生します。
2. 若手の成長機会が限られ、モチベーションが低下
若手が成長するためには、適切な指導と実践の機会が不可欠です。しかし、現在の施工管理現場では、「とにかく現場を回すこと」が優先され、若手の成長に焦点を当てる余裕がない状況が続いています。
- 経験を積む前に責任の重い業務を任され、プレッシャーを感じる
- 業務が多忙すぎて、フィードバックを受ける機会が少ない
- 「自分は成長できているのか分からない」と不安を感じる
結果として、モチベーションが低下し、「この仕事を続けても将来が見えない」と感じてしまう若手が増えてしまいます。
3. 十分なスキルを習得する前に離職するケースが増加
若手が適切な指導を受けられないまま現場に放り込まれると、業務の難しさに直面し、自信を失ってしまうことが多くなります。
- 適切なフォローがないため、ミスをしても成長につながらない
- 「自分は向いていない」と感じ、早期離職につながる
- 3年以内の離職率が高止まりし、若手の定着率が向上しない
特に、施工管理の仕事は覚えるべきことが多いため、一定の期間しっかりと学ぶ機会がなければ、スキルが身につかず、結果として業界を去る選択をしてしまうケースが増えています。
若手が育たないことによる影響
1. 技術継承の遅れにより、現場のスムーズな運営が困難に
施工管理の業務には、現場での経験に基づく知識や判断力が不可欠です。しかし、若手の育成が進まないことで、このノウハウが継承されず、現場の運営がスムーズに行えなくなるという問題が発生します。
- 施工の段取りが分からず、現場の進行が滞る
- 不測のトラブルが発生した際に、適切な対応ができない
- 経験豊富な技術者が退職すると、現場の管理能力が大幅に低下
2. 若手の成長が遅れ、企業の施工管理能力が低下
若手が育たないことで、企業全体の施工管理能力が低下してしまいます。
- 若手が中堅に成長しないため、長期的な人材不足が解消されない
- 現場を任せられる人材が不足し、新規受注を増やすことが難しくなる
- 施工ミスや品質低下が発生し、企業の信用に悪影響を及ぼす
この結果、企業の競争力が低下し、長期的な成長が難しくなるという課題が浮き彫りになります。
3. 新しいテクノロジーの活用が進みにくく、業界全体の変革が遅れる
建設業界では、ICT(情報通信技術)やBIM(Building Information Modeling)などの最新技術の導入が進んでいます。しかし、若手が育たないことで、こうした新技術の活用が進みにくくなり、業界全体の変革が遅れるという問題が発生します。
- デジタルツールの導入を推進する人材が不足
- 若手が成長しないため、最新技術を現場で活かせる人材がいない
- 結果として、業界全体の生産性向上が進まず、旧来の手法に頼らざるを得ない
このように、若手の育成不足は、単に人材確保の問題だけでなく、業界全体の未来を左右する大きな課題になっています。
課題4:受注を増やせない負のスパイラル
建設業界では、施工管理者の確保が難しいため、新規受注を増やすことができないという問題に直面している企業が数多くあります。事業を拡大し、売上を伸ばすには、より多くの工事案件を受注する必要がありますが、施工管理者が不足しているために、新しい案件を受けたくても受けられないというジレンマに陥っています。
この状況が続くことで、企業の成長が停滞し、利益向上のチャンスを逃すだけでなく、施工管理者の負担増加や人材の離職を加速させる「負のスパイラル」が発生してしまいます。
なぜ受注を増やせないのか?
1. 施工管理者の数が足りないため、新規案件を受けられない
建設業界では、工事を円滑に進めるために1つの現場につき最低1人以上の施工管理者を配置するのが基本です。しかし、施工管理者の人材確保が難しく、既存の人員だけでは新規案件の対応ができない企業が増えています。
- 現在の施工管理者で手一杯のため、新規案件の引き受けが困難
- 新しい現場を増やしても、適切に管理できる人材が不足している
- 案件を断らざるを得ず、売上の機会を逃してしまう
2. 無理に受注を増やすと、現場の負担が増え、長時間労働やミスの増加につながる
施工管理者が不足している状況の中で、無理に受注を増やしてしまうと、既存の施工管理者の業務負担が一気に増加します。その結果、以下のような問題が発生します。
- 1人の施工管理者が複数の現場を掛け持ちしなければならず、業務が過密化
- 現場間の移動時間が増え、長時間労働がさらに悪化
- 業務負担の増大により、施工ミスや安全管理の不備が発生しやすくなる
施工管理業務は、工程管理・安全管理・品質管理・職人との調整・書類作成など、多岐にわたる業務を担当する必要があります。そのため、一人当たりの負担が増えると、結果として施工品質が低下し、現場でのトラブルや事故のリスクが高まることになります。
3. 結果として、企業の成長が鈍化し、利益向上のチャンスを逃す
施工管理者の不足により、新規案件を受注できない状態が続くと、企業の成長が停滞し、売上や利益を伸ばすことが難しくなります。
- 受注量が増えないため、会社の売上が伸び悩む
- 新規事業や投資に回せる資金が確保できず、競争力が低下
- 中小ゼネコンは大手ゼネコンとの競争で不利な立場に追い込まれる
こうした状況が続くと、資金不足から新しい人材を採用する余裕もなくなり、さらに人手不足が悪化するという悪循環に陥ってしまいます。
この課題が引き起こす問題
1. 会社の売上が伸びず、利益率も低下
施工管理者の不足によって新規受注が難しくなると、売上が伸び悩み、利益率も低下してしまいます。特に、固定費(人件費・設備投資費)がかかる中で、受注が増えないと、経営の安定性が損なわれることになります。
- 受注できる案件の上限が決まってしまい、売上の伸びが頭打ちに
- 利益を生み出せず、資金繰りが厳しくなる
- 新しい技術導入や設備投資ができず、競争力が低下
2. 施工管理者の負担が増え、人材の離職が進む
人手不足のまま受注を増やせば、施工管理者一人当たりの負担が増大し、長時間労働が慢性化します。その結果、心身の負担が限界に達し、離職者が続出するという事態に陥ります。
- 長時間労働が続き、施工管理者が疲弊
- 「これ以上続けられない」と感じ、業界を去る人が増加
- 離職が進むことで、さらに施工管理者が不足し、負のスパイラルが続く
3. 業界全体で働き方改革が進まず、さらに若手の応募が減少
施工管理者の長時間労働が続くことで、業界全体のイメージが悪化し、若手の応募がさらに減少するという問題も発生します。
- 「建設業界は長時間労働が当たり前」とのイメージが定着
- 若手が他業界に流れ、新卒採用が難しくなる
- 業界全体で人手不足が深刻化し、持続可能な成長が困難になる
このように、施工管理者の不足が、新規受注の停滞・労働環境の悪化・人材流出という負の連鎖を生んでいるのです。
建設業界の4つの課題まとめ
建設業界では、人材不足や長時間労働、技術継承の問題が長年にわたり深刻化しています。特に中小ゼネコンでは、施工管理者の負担が過剰になり、働き方の改善や業務の効率化が急務となっています。
建設業界が直面する4つの課題
- 技術者の高齢化
中堅層の不足により、技術継承が困難。ベテラン技術者の退職後、施工管理能力の急激な低下が懸念される。 - 人手不足と長時間労働
施工管理者の絶対数が不足し、一人あたりの業務負担が過剰に。長時間労働が慢性化し、若手の定着率も低迷。 - 若手の育成不足
指導の時間が確保できず、スキルが身につかないまま離職するケースが増加。結果として、企業全体の施工管理能力が低下。 - 受注を増やせない負のスパイラル
施工管理者が不足しているため、新規案件を受けたくても対応できない。無理な受注拡大は業務過多と品質低下を招き、さらに人材流出が加速。
これらの課題を解決し、業界の持続可能な成長を実現するためには、従来の施工管理体制を見直し、より効率的なモデルを導入する必要があります。その答えが、「コア・エンジニアモデル」 です。
従来の現場運営モデルの問題点

現在、多くの建設会社では「1つの現場に1人以上の施工管理者を配置する」という従来の運営方式が採用されています。この方法は長年業界で標準とされてきましたが、近年の人手不足や働き方改革の流れに対応しきれていないという問題があります。
ここでは、従来の現場運営モデルが抱える4つの主要な課題を整理します。
問題点1:現場ごとに中核社員(中堅施工管理者)が必要となり、人材不足が加速
建設業界では、「各現場に1人以上の施工管理者を配置する」のが基本とされており、新たな現場を増やすには、施工管理者の追加確保が必須となります。
しかし、現在の施工管理者の不足は深刻で、新規採用のハードルも高いため、人材確保が追いつかない状況が続いています。その結果、受注を増やしたくても施工管理者の数が足りず、事業拡大が困難になるという問題が発生しています。
この問題が引き起こす課題
この問題が引き起こす課題は以下の通りです。
①新規案件の受注ができない
施工管理者の数が限られているため、現場の増加に対応できず、新しい案件を断らざるを得ない状況が続いています。これにより、売上の伸び悩みや事業成長の停滞を招いています。
②採用・育成が追いつかない
現場の増加に合わせて施工管理者を増員する必要がありますが、即戦力となる人材の確保が難しく、育成にも時間がかかるため、結果的に人手不足が解消されないままとなります。
③中核社員の負担が増加し、長時間労働が常態化
施工管理者が足りない分、既存の中核社員に業務が集中し、長時間労働が常態化。結果として、離職率が上昇し、さらに人材不足が深刻化する悪循環に陥っています。
最終的なリスク
このような状況が続くと、人材確保の難航・事業拡大の停滞・既存社員の負担増加が重なり、現場運営そのものが立ち行かなくなるリスクが高まります。
特に、中小ゼネコンでは新規受注を増やせないまま固定費がかさみ、経営の安定性が損なわれる恐れもあります。
この課題を解決するには、施工管理の配置方法を抜本的に見直し、より少ない人員で効率的な運営が可能な仕組みを導入する必要があります。
問題点2:中核社員が施工管理業務のすべてを担うため、業務過多・長時間労働が発生
現在、多くの施工管理者は、膨大な業務を1人でこなさなければならない状況にあります。
施工管理者が担う業務には、以下のような多岐にわたる業務が含まれます。
- 工程管理(スケジュール調整・進捗管理)
- 施工図面のチェック・修正
- 安全管理・品質管理(現場のリスク管理、作業指示)
- 職人や協力会社との打ち合わせ・調整
- 役所への申請業務・各種書類作成
これらすべてを1人の施工管理者が担当するケースが一般的であり、結果として業務過多・長時間労働が発生しています。
この問題が引き起こす課題
この問題が引き起こす課題は以下の通りです。
① 1人あたりの負担が大きすぎて、業務効率が低下
→ 多くの業務を並行して進める必要があり、優先順位をつけにくくなる
→ 業務の属人化が進み、チーム全体の生産性が低下
② 過労により、施工ミスや事故が発生しやすくなる
→ 疲労の蓄積により、施工管理の細部に目が行き届かなくなる
→ 安全管理が徹底できず、現場でのトラブルや事故のリスクが上昇
③長時間労働が常態化し、離職率が上昇
→ 休日返上・残業続きの勤務体系により、働き手のモチベーションが低下
→ 体力的・精神的に限界を迎え、業界を離れる人が増える
最終的なリスク
施工管理者の負担が減らない限り、業界全体の人材流出が止まらず、慢性的な人手不足が続くことになります。特に、若手が成長する前に離職するケースが多く、技術継承の遅れも深刻な問題です。
この状況を打破するには、施工管理業務の負担を分散し、より効率的な業務フローを構築する必要があります。
問題点3:現場を掛け持ちするにも、移動時間が大きな障害となる
施工管理者の不足を補うために、「1人の施工管理者が複数の現場を担当する」という方法を取る企業もあります。理論上は、限られた人材で多くの現場を管理できるため、人手不足の解消策として考えられます。しかし、実際には移動時間の増加が大きなボトルネックとなり、業務の効率を著しく低下させています。
施工管理の業務は、現場での指示・確認が必要なものが多いため、頻繁な移動が発生します。1つの現場に集中できないことにより、作業の抜け漏れやトラブル対応の遅れが発生し、結果的に業務効率が悪化してしまうのです。
移動時間の問題
施工管理者が複数の現場を掛け持ちする場合、移動時間が業務の大部分を占めることになります。特に都市部では渋滞や公共交通機関の遅延、地方では長距離移動が必要となるため、1日で対応できる現場数に限界が生じます。
① 1日に何度も現場を往復する必要がある
→ 各現場での進捗確認や打ち合わせのため、頻繁に移動が発生し、管理者が現場に滞在できる時間が削られる。
②現場間の移動時間が長くなると、実作業の時間が減少
→ 施工管理者が現場で対応できる時間が短くなり、チェックすべき項目が後回しになる、または現場作業員に指示を出す時間が不足する。
③移動の負担が増えることで、疲労が蓄積しやすくなる
→ 長距離移動の繰り返しにより、体力的・精神的な疲労が蓄積し、集中力が低下する。
この問題が引き起こす課題
移動時間の負担は、施工管理者の業務効率を著しく低下させ、長時間労働を常態化させる要因となります。
①1日の大半が移動時間で消費され、生産性が低下
→ 施工管理者が業務に割ける時間が少なくなり、本来の施工管理業務に集中できない。
→ 必要な管理が行き届かず、品質管理やスケジュール調整の精度が下がる。
②移動の負担が大きく、働き手のモチベーションが低下
→ 物理的な疲労だけでなく、「移動ばかりで仕事が進まない」という精神的なストレスが増加。
→ 仕事のやりがいや達成感を得にくくなり、離職を考える人が増える。
③移動中は施工管理業務ができず、結果的に残業が増加
→ 現場での対応時間が減るため、終業後や休日に書類作成やスケジュール調整をするケースが増加。
→ 効率を上げるつもりが、逆に施工管理者の負担を増やし、長時間労働を助長してしまう。
最終的なリスク
施工管理者の掛け持ち対応は、一時的に人手不足を補う手段として採用されがちですが、実際には**「移動時間の増加」→「業務の遅れ」→「長時間労働の常態化」**という悪循環を生んでしまいます。
この状況を改善するためには、移動を最小限に抑えつつ、複数の現場を効率的に管理できる仕組みを構築する必要があります。
従来の運営モデルの限界を突破するには?
このように、従来の「1現場=1人以上の施工管理者」という運営モデルには、大きな課題があります。
従来の現場運営モデルの課題
- 施工管理者の確保が困難で、新規受注が増やせない
- 業務過多による長時間労働が常態化し、離職率が高まる
- 掛け持ちをしても移動時間が障害となり、労働時間を削減できない
では、この状況を打破するにはどうすればよいのか?
その答えが、「コア・エンジニアモデル」です。
「コア・エンジニアモデル」とは?

これまでの章で説明したように、施工管理者の不足や長時間労働の問題を抱える中小ゼネコンにとって、従来の現場運営モデルには限界があることが分かりました。
そこで、新たな解決策として提案するのが「コア・エンジニアモデル」です。このモデルでは、施工管理業務を「現場業務」と「遠隔業務」に分業し、施工管理者の負担を大幅に軽減する仕組みを構築します。
概要
従来の「1つの現場に1人以上の施工管理者を配置する」方式を見直し、以下のような役割分担を導入します。
① 施工管理業務を「現場業務」と「遠隔業務」に分業
- 現場業務:所長と係員(若手・派遣)が担当し、現場の管理に専念
- 遠隔業務:コア・エンジニアがオフィスや別拠点から複数の現場を管理
② 現場には「所長」と「係員(若手・派遣)」のみを配置
- 施工管理業務の負担が大きい「中核社員(中堅施工管理者)」を現場に張り付けない
- 現場では「職人とのコミュニケーション」や「短期的な工程管理」に集中
③ コア・エンジニアが複数の現場を遠隔管理
- 施工図の作成・チェック、工程管理、職人調整、申請業務、品質管理などを一括で担当
- 1人のコア・エンジニアが複数の現場(例:4現場)を統括することで、施工管理者の数を最適化
この仕組みにより、施工管理の効率を飛躍的に向上させ、労働時間を削減することが可能になります。
具体的な仕組み
「コア・エンジニアモデル」では、現場の施工管理者(所長・係員)と遠隔管理を担うコア・エンジニアが明確に役割分担を行うことが重要です。
① 現場の施工管理者(所長・係員)の役割
「コア・エンジニアモデル」では、現場の施工管理者が「現場業務」に専念できる体制を整えることが重要です。そのため、所長と係員(若手・派遣)が現場管理の中心となり、施工の円滑な進行をサポートします。
従来の施工管理者は、施工図チェックや工程管理、職人調整、申請業務など多岐にわたる業務を担当していましたが、これらを遠隔で対応できる「コア・エンジニア」に移行することで、現場にいるべき施工管理者が本来の役割に集中できる体制を構築します。
■ 所長の役割(現場の統括者)
所長は、現場の責任者として施工の進捗を管理し、安全・品質の確保を最優先に指揮を執ります。特に、職人や協力会社とのコミュニケーションを円滑に進めることが求められます。
①現場全体の運営・指揮
→ 各工事の進捗を把握し、施工計画通りに進めるための指示を出す。
→ トラブル発生時の判断や調整を行い、工期の遅れを防ぐ。
②安全管理・品質管理(現場内でのチェック・指示)
→ 現場の安全対策を徹底し、事故や労災のリスクを最小限に抑える。
→ 施工の品質を確認し、設計通りに工事が進んでいるかをチェック。
③短期的な工程管理(1週間単位)
→ 1週間単位での工程計画を立て、現場作業がスムーズに進むよう管理。
→ 進捗が遅れている場合は、職人や協力会社と調整しながらリカバリー策を講じる。
④職人とのコミュニケーション・調整
→ 現場での指示出しを明確に行い、職人の動きを最適化。
→ 施工中の課題や問題点を早期に把握し、迅速に対策を講じる。
■ 係員(若手・派遣)の役割(現場管理のサポート役)
係員(若手や派遣スタッフ)は、所長の指示のもとで施工管理の補助を担当します。現場の状況を把握し、所長の負担を軽減することが求められます。
①現場の監督補助(作業状況の確認・報告)
→ 職人の作業状況を確認し、所長へ報告。
→ 施工手順の記録や写真撮影など、現場の進捗管理をサポート。
②資材の管理・発注サポート
→ 必要な資材を適切に管理し、在庫状況を確認。
→ 所長の指示のもとで資材発注をサポートし、工事に支障が出ないよう調整。
③職人との調整業務の補助
→ 職人や協力会社との打ち合わせの場に同席し、情報共有をサポート。
→ 現場の細かい調整業務を担当し、施工の円滑な進行を支援。
ポイント: 「現場にいることが必要な業務」に専念
施工管理業務のうち、「現場にいなくても対応できる業務」(施工図チェック、長期工程管理、申請業務など)は「コア・エンジニア」に移行することで、所長や係員は現場業務に集中できる環境を確保します。
この分業により、現場管理の精度が向上し、施工トラブルのリスクが低減すると同時に、施工管理者の負担軽減と労働時間削減が実現します。
② コア・エンジニアの役割
従来の施工管理では、1つの現場に1人以上の施工管理者が常駐し、施工図の確認、工程管理、職人調整、申請業務、品質管理など、あらゆる業務を担当するのが一般的でした。しかし、この方法では施工管理者の負担が増大し、長時間労働が常態化してしまいます。
「コア・エンジニアモデル」では、施工管理業務を「現場業務」と「遠隔業務」に分業し、コア・エンジニアが施工管理業務を遠隔で統括することで、現場の施工管理者の負担を大幅に軽減します。
コア・エンジニアは、現場に常駐せず、デスクワークを中心に施工管理業務を担うポジションです。これにより、現場の施工管理者は「現場にいることが必要な業務」に集中し、施工管理業務の効率化と分業体制の確立が実現します。
■ コア・エンジニアの主な役割
①施工図の作成・チェック
施工図の作成や修正は、現場の施工管理者にとって大きな負担となる業務の一つです。コア・エンジニアが施工図を遠隔で作成・チェックし、クラウドを通じてリアルタイムで現場と共有することで、現場の施工管理者が図面作成に時間を取られることなく、施工管理業務に専念できる環境を整えます。
②工程管理(短期・長期)
施工管理では、工期全体を見据えた長期のスケジュール管理と、日々の進捗に合わせた短期的な調整が必要になります。
- 短期的な工程管理(1週間単位) → 現場の所長が担当
- 長期的なスケジュール管理(1ヶ月〜工期全体) → コア・エンジニアが担当
コア・エンジニアが長期の工程を統括し、進捗に応じた調整を遠隔で行うことで、施工スケジュールの精度を高め、遅延リスクを最小限に抑えます。
③職人や協力会社との調整(リモート対応)
従来の施工管理では、職人や協力会社との調整のために、施工管理者が現場間を行き来する必要がありました。コア・エンジニアがZoomやTeamsなどのオンライン会議ツールを活用し、遠隔で打ち合わせを実施することで、移動時間を削減しながら円滑なコミュニケーションを実現します。
④申請業務・報告書作成
施工管理者は、現場管理だけでなく、行政への申請業務や施工報告書の作成といったデスクワークにも多くの時間を割かなければなりません。コア・エンジニアがこれらの書類業務を一括して担当することで、現場の施工管理者が本来の「現場管理」に集中できる環境を整えます。
⑤品質・安全管理の遠隔サポート
現場の施工品質や安全管理を徹底するために、コア・エンジニアが遠隔でリアルタイムに監視を行います。現場に設置されたライブカメラを活用し、施工状況を確認しながら適切な指示を出すことで、品質・安全リスクを未然に防ぐことが可能になります。
遠隔管理のためのデジタルツール
「コア・エンジニアモデル」を成功させるためには、遠隔管理を実現するためのデジタルツールの活用が不可欠です。
① クラウドを活用したデータ共有
- 施工図、工程表、各種申請書類などをクラウド上で管理し、現場とリアルタイムで共有
- スマートフォンやタブレットを活用し、現場でも即座にデータにアクセス可能
- 過去の記録や施工履歴を簡単に検索できるため、管理業務がスムーズに
② Zoom/Teamsによるリモート会議
- 現場とコア・エンジニアが定期的に打ち合わせし、最新の進捗を共有
- 現場の施工管理者は、物理的に移動することなく、コア・エンジニアと即座に連携可能
- 職人や協力会社との調整も、リモートで行うことで移動時間を削減
③ 現場のライブ映像配信システム
- 施工現場にライブカメラを設置し、リアルタイムで状況を監視
- コア・エンジニアが映像をチェックし、遠隔から指示を出すことで、現場に行かなくても対応可能
- 録画機能を活用し、後から施工内容を振り返ることも可能
→ これらのデジタルツールを活用することで、施工管理業務の遠隔化が可能になり、業務の効率を最大化!
「コア・エンジニアモデル」まとめ
施工管理の現場では、長時間労働や人手不足が深刻な課題となっています。「コア・エンジニアモデル」を導入することで、施工管理業務を効率化し、現場の負担を軽減できます。ここでは、コア・エンジニア導入による主な効果を整理します。
コア・エンジニアの導入で施工管理の効率化を実現
これまで、施工管理者は現場業務とデスクワークの両方を担っており、業務負担が過大になっていました。コア・エンジニアを導入することで、施工管理業務を遠隔対応に移行し、現場の施工管理者は「現場にいるべき業務」に専念できます。
- コア・エンジニアが遠隔で複数の現場(例:4現場)を統括
- 施工管理業務の分業により、現場の施工管理者の負担を軽減
- 施工管理の効率向上と長時間労働の削減を実現
「1現場=1施工管理者」の常識を覆す新モデル
従来の施工管理では「1つの現場に1人以上の施工管理者を配置する」ことが基本でした。しかし、施工管理者の人材不足が続く中で、この方式では新規受注の拡大が困難になります。「コア・エンジニアモデル」では、遠隔管理を活用することで、少ない人員でより多くの現場を管理できる体制を構築します。
- 施工管理業務の分業体制を確立し、少人数で効率的な現場運営が可能に
- コア・エンジニアの遠隔管理により、施工管理者の負担を軽減しながら受注拡大が可能
施工管理の課題を根本から解決し、持続可能な体制へ
施工管理業務の負担を分散することで、現場の施工管理者の負担を軽減し、持続可能な施工管理体制を確立できます。特に、以下のような課題を解決し、業界の将来を見据えた改革が可能になります。
- 人手不足 → 少ない人員で複数の現場を管理できるため、人材確保の負担を軽減
- 長時間労働 → 遠隔管理による移動時間削減・業務効率化で労働時間を短縮
- 受注制限 → 施工管理者の数に依存せず、より柔軟な受注対応が可能に
「コア・エンジニアモデル」の導入により、中小ゼネコンの施工管理体制が大きく変わり、持続可能な現場運営の実現につながります。
「コア・エンジニアモデル」導入のメリット

「コア・エンジニアモデル」を導入することで、施工管理の効率が向上し、現場の負担を大幅に軽減できるという大きなメリットがあります。特に、人材不足や長時間労働の問題を解決しながら、受注量を増やし、企業の成長につなげることが可能です。
ここでは、具体的にどのようなメリットがあるのかを解説します。
メリット1: 中核社員の負担軽減と効率化
従来の施工管理では、1つの現場に1人以上の中核社員(中堅施工管理者)が必要でした。しかし、「コア・エンジニアモデル」を導入すると、1人のコア・エンジニアが複数の現場(例:4現場)を遠隔管理できるようになります。
具体的なメリット
- 施工管理者の数を減らしながら、同じ業務量をこなせる
- デスクワークに集中することで、施工管理業務の精度が向上
- 人員不足による業務過多を防ぎ、社員の健康を守る
結果として、中核社員の負担を削減しながら、業務のクオリティを維持・向上できる。
メリット2:現場の施工管理者が「現場業務」に専念
「コア・エンジニアモデル」では、現場の施工管理者が「現場管理」に集中できる環境を作ることができます。
従来の課題
- 施工管理者が図面チェックや工程管理まで担当し、業務過多
- 現場業務とデスクワークの両方をこなすため、集中力が分散
導入後のメリット
- 施工図のチェックや長期工程管理はコア・エンジニアが遠隔で実施
- 現場の施工管理者は、現場管理・安全管理・職人対応に特化
- トラブル対応のスピードが向上し、施工の品質が安定
結果として、施工管理者の役割が明確になり、業務効率が大幅に改善されます。
メリット3: 労働時間の大幅削減
施工管理者の長時間労働の原因の一つが、現場間の移動時間です。コア・エンジニアモデルを導入すると、遠隔管理が可能になるため、移動のムダを省くことができます。
具体的なメリット
- 遠隔管理により、移動時間を大幅に削減
- 業務を分業化し、1人あたりの負担を軽減
- デスクワークの業務を効率化し、無駄な残業を削減
結果として、施工管理者の労働時間が短縮され、ワークライフバランスが改善されます。
メリット4:若手の育成がしやすくなる
従来の施工管理では、中核社員が多忙すぎて若手を育成する時間が取れないという課題がありました。しかし、「コア・エンジニアモデル」を導入すると、所長が若手の指導に時間を割ける環境が整います。
具体的なメリット
- 所長が若手に指導する時間を確保しやすくなる
- 施工管理業務を段階的に学ぶ環境を整備
- 育成の効率が向上し、若手のスキルアップが加速
結果として、若手の定着率が向上し、技術の継承がスムーズに進みます。
メリット5: 受注量の増加が可能
従来の施工管理では、施工管理者の数がそのまま受注可能な現場数の上限を決めるという構造になっていました。しかし、コア・エンジニアモデルでは、少ない人員で複数の現場を管理できるため、受注量を増やすことが可能になります。
具体的なメリット
- 施工管理者の数に依存せずに、受注可能な現場数を増やせる
- 労働時間を増やさずに、利益向上が可能
- 働き方改革を推進しながら、企業の成長を実現
結果として、企業の競争力が向上し、持続的な成長が可能になる。
導入のメリットまとめ
「コア・エンジニアモデル」は、施工管理の常識を変え、持続可能な働き方を実現する革新的な仕組みです。施工管理業務を「現場業務」と「遠隔業務」に分業し、1人のコア・エンジニアが複数の現場を管理することで、人手不足・長時間労働・受注制限といった業界の課題を根本から解決します。
業務効率化 × 負担軽減 × 働き方改革 を同時に実現!
- 中核社員の負担を軽減:1人のコア・エンジニアが複数現場を統括
- 現場の施工管理者が業務に専念:安全管理・職人対応に集中できる環境を整備
- 労働時間の削減:移動時間ゼロ&業務の最適化で残業を大幅カット
- 若手の育成強化:所長が指導に専念でき、スムーズな技術継承が可能
- 受注量の拡大:施工管理者の数に縛られず、事業成長を加速
従来の「施工管理者=現場常駐」という固定観念を打破し、より柔軟で効率的な現場運営を実現する時代が来ています。
「コア・エンジニアモデル」導入のステップ

「コア・エンジニアモデル」を導入することで、施工管理者の負担を軽減し、現場の効率を飛躍的に向上させることができます。しかし、このモデルを成功させるためには、適切な準備と導入プロセスの確立が必要です。
ここでは、「コア・エンジニアモデル」を導入するための3つのステップを解説します。
ステップ1: 業務の可視化と整理
まずは、現場業務と遠隔業務を明確に区分し、不要な業務を削減することから始めます。
① 現場業務と遠隔業務の明確な区分
従来の施工管理者は、以下のような幅広い業務を担当していました。
業務内容 | 担当者(従来) | 担当者(コア・エンジニアモデル) |
現場管理・安全管理 | 施工管理者 | 所長・係員 |
職人との調整 | 施工管理者 | 所長・係員 |
施工図の作成・チェック | 施工管理者 | コア・エンジニア |
工程管理(短期・長期) | 施工管理者 | コア・エンジニア |
申請業務・報告書作成 | 施工管理者 | コア・エンジニア |
遠隔での品質・安全管理 | 施工管理者 | コア・エンジニア |
このように、現場にいる必要がない業務を「遠隔業務」に移行することで、施工管理者の負担を削減します。
② 不要な業務の削減と業務効率化
業務の整理を進める中で、「不要な業務」が見つかることもあります。例えば、以下のような業務は削減・改善が可能です。
- 紙の書類管理 → クラウドシステムへの移行
- 現場での対面打ち合わせ → Zoom/Teamsを活用したオンライン会議に切り替え
- 移動時間の削減 → 遠隔管理とデジタルツールを活用
→ このステップを経ることで、施工管理の負担を減らしながら、よりスムーズな業務フローを構築できる。
ステップ2:デジタルツールの導入
遠隔業務を効率的に行うためには、デジタルツールの導入が不可欠です。以下の3つのツールを活用し、施工管理業務の効率を最大化します。
① クラウドシステムでデータ共有
- 施工図、工程表、申請書類などをクラウド上で管理し、リアルタイムで共有
- スマートフォンやタブレットを活用し、現場でも即座にデータにアクセス可能
- 施工履歴や過去の資料を簡単に検索できるため、管理業務がスムーズに
② Zoom/Teamsによるリモート会議の実施
- 週1回の定例ミーティングをリモートで実施し、進捗確認や課題解決を行う
- 職人や協力会社との調整も、オンライン会議で対応し、移動時間を削減
- 必要に応じて録画機能を活用し、情報共有の精度を向上
③ 現場のライブ映像配信の導入
- 施工現場にライブカメラを設置し、リアルタイムで状況を監視
- 遠隔地にいるコア・エンジニアが映像を確認し、リアルタイムで指示
- 録画機能を活用し、後から施工内容を振り返ることも可能
→ これらのツールを活用することで、物理的な移動のムダを削減し、施工管理業務を大幅に効率化できる。
ステップ3:社内体制の構築と教育
デジタルツールを導入しただけでは、業務は改善されません。コア・エンジニアモデルをスムーズに運用するための「社内体制の構築」と「社員教育」が重要です。
① コア・エンジニアの役割を明確化
- コア・エンジニアの業務範囲を明確にし、責任の所在を整理
- 現場との情報共有ルールを定め、スムーズな連携を実現
- 緊急時の対応フローを事前に決めておくことで、混乱を防止
② 現場と遠隔管理の連携体制を強化
- 週1回の定例会議を実施し、情報共有を徹底
- クラウドシステムを活用し、現場とコア・エンジニアの間でリアルタイムにデータ共有
- ライブ映像配信を活用し、現場の状況をリアルタイムで把握
③ 社員教育と研修の実施
- デジタルツールの活用研修を実施し、全員がスムーズに使えるようにする
- 遠隔管理のノウハウを共有し、トラブル対応力を向上させる
- 若手社員向けに「コア・エンジニア」へのキャリアパスを設け、成長機会を提供
導入のステップまとめ
「コア・エンジニアモデル」の導入は、施工管理の未来を大きく変える一歩です。 これは単なる効率化ではなく、人材不足の解消・働き方改革・企業成長を同時に実現する革新的な仕組み です。
- 業務の可視化と整理 – 現場と遠隔業務を分業し、施工管理者の負担を大幅に軽減
- デジタルツールの活用 – クラウド管理やリモート会議を導入し、移動のムダを削減
- 社内体制の構築と教育 – コア・エンジニアの役割を明確化し、組織全体での適応を推進
この3ステップを実行することで、施工管理の常識を覆し、生産性向上・働きやすさ・事業拡大を同時に実現できます。 変化を恐れず、新しい施工管理の形を取り入れ、より持続可能な未来を築いていきましょう。
導入の際の注意点

「コア・エンジニアモデル」は、施工管理の常識を大きく変え、業務効率の向上と働き方改革を実現する画期的な仕組みです。しかし、導入には慎重な準備が必要であり、いくつかの注意点を押さえておく必要があります。
注意点1: 導入の流れを慎重に進めることが成功の鍵
このモデルは、従来の施工管理のやり方を大きく変えるものです。そのため、いきなり全社導入するのではなく、段階的に進めることが重要です。
- まずは一部の現場で試験運用を実施し、課題や改善点を明確にする
- 遠隔管理に適した業務を選定し、少しずつ移行していく
- 社員への周知を徹底し、スムーズな移行をサポートする体制を整える
現場の施工管理者が「いきなり仕事のやり方を変えられて戸惑う」ということがないよう、丁寧な説明とトライアル運用を行うことが成功のポイントです。
注意点2: デジタルツールの活用には慣れが必要
「コア・エンジニアモデル」では、クラウドやリモート会議ツール、遠隔監視システムなどを活用します。しかし、これらのデジタルツールに慣れていない施工管理者も多いため、導入前の教育が欠かせません。
- ツールの使い方を事前に研修し、全員がスムーズに活用できる環境を整える
- 「デジタル化は難しい」と感じる現場スタッフの不安を払拭するサポートを行う
- 実際の現場での運用方法を具体的に示し、ツールの活用を促進する
デジタル化がスムーズに進めば、施工管理業務の大幅な効率化につながりますが、そのためには適切な教育とサポートが必要です。
注意点3:部分的には専門家のアドバイスが必要
施工管理の業務フローを変えるには、現場ごとに最適な調整が求められます。特に、工程管理の設計や遠隔業務の範囲の決定は、専門家の知見が不可欠です。
- 遠隔で管理すべき業務と、現場で対応すべき業務を明確に区別する
- 導入に伴う法的な手続きや安全管理のルールを事前に確認する
- 実績のある専門家やコンサルタントのアドバイスを活用する
注意点4:社内での理解と協力を得ることが不可欠
新しい仕組みを導入する際に最も大切なのは、社員全員が納得し、協力して進めることです。特に、現場の施工管理者が「これは自分たちの負担を減らす仕組みだ」と理解することが重要になります。
- 導入の目的やメリットを社内で共有し、協力体制を築く
- 「新しいやり方に慣れるまでのサポート体制」を整え、不安を解消する
- 実際の運用を通じて改善点を見つけ、柔軟に調整していく
特に、現場の施工管理者が「やらされている」と感じるのではなく、「業務が楽になった」と実感できることが成功のポイントになります。
まとめ
建設業界では、人手不足や長時間労働、若手の育成不足といった課題が長年続いてきました。しかし、従来のやり方を続けている限り、これらの問題を根本から解決することは難しいのが現実です。
そこで提案するのが「コア・エンジニアモデル」です。
このモデルは、施工管理業務を「現場業務」と「遠隔業務」に分業することで、施工管理者の負担を大幅に軽減し、より少ない人員で効率的な現場運営を可能にする新しい仕組みです。
- 労働時間の削減 → 長時間労働の解消
- 受注量の増加 → 施工管理者の数に依存しない事業拡大が可能
- 若手の育成促進 → 所長が育成に時間を割ける体制を整備
このように、「コア・エンジニアモデル」は、施工管理者の負担軽減だけでなく、企業の成長と持続可能な経営を実現するカギとなります。
これまでの施工管理の常識では、1つの現場に1人以上の施工管理者を配置することが当たり前でした。しかし、この方法では、人材不足の問題を解決できず、むしろ施工管理者の業務負担が増大してしまうという課題がありました。
そこで、「コア・エンジニアモデル」では、施工管理業務のうち「遠隔で対応できる業務」を切り分け、デスクワークをコア・エンジニアに集約することで、現場の施工管理者が「現場管理」に専念できる環境を作ります。
この変革により、施工管理者の労働環境を改善し、より効率的な働き方を実現できます。
「コア・エンジニアモデル」を成功させるためには、デジタル技術の活用が不可欠です。
- クラウドシステムで施工管理データを共有し、業務の効率化を推進
- Zoom/Teamsなどのオンライン会議ツールを活用し、遠隔での打ち合わせを実施
- 現場のライブ映像配信を導入し、遠隔地からでもリアルタイムで現場管理が可能
これらのツールを活用することで、施工管理業務を遠隔化し、より少ない人数で効率的に業務を遂行することが可能になります。
建設業界は、これまで長い間「現場での経験や勘」を重視してきました。しかし、時代が変わり、デジタル技術や新しい働き方を積極的に取り入れることで、より効率的で持続可能な経営が可能になります。
「今までこうやってきたから」という固定観念にとらわれず、時代に合わせた柔軟な運営体制を整えることが、企業の成長につながります。
「コア・エンジニアモデル」に関心を持たれた方へ
「コア・エンジニアモデル」は、施工管理の効率化・働き方改革・企業の成長を同時に実現する、新しい仕組みです。
- より効率的な施工管理の仕組みを導入したい
- 人手不足の課題を解決し、受注量を増やしたい
- 施工管理者の長時間労働を削減し、働きやすい環境を作りたい
このような課題を抱える企業にとって、「コア・エンジニアモデル」は大きな変革のチャンスとなります。しかし、導入には慎重な準備と適切なサポートが不可欠です。

導入を成功させるためのポイント
- 段階的な導入で、現場の負担を最小限に抑える
- デジタルツールの活用に慣れるための教育を実施
- 専門家のアドバイスを活用し、最適な導入方法を設計
- 社内の理解を得て、スムーズな運用体制を築く
現場ラボでは、「コア・エンジニアモデル」のスムーズな導入をサポートしています。
導入を検討されている企業様は、ぜひ一度ご相談ください!
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