【実践レポート】コアエンジニアモデルを実際にやってみた ― リモートで現場管理は可能か?

こんにちは、ライズプランの武田です。

前回の記事では、「中堅社員が現場に常駐しなくても、複数現場を横断して技術支援できる」という新しい働き方「コアエンジニアモデル」についてご紹介しました。

とはいえ、読んでくださった方の中には、こんな疑問を持たれた方も多いと思います。

「理屈は分かるけど、それって本当に現場で通用するの?」
「人手が足りない今、そんな余裕あるわけないじゃん」

そう思うのも無理はありません。実は私自身、最初はまったく同じ気持ちでした。だからこそ、思い切ってやってみたんです。構想だけで終わらせずに、自分が現場で試してみる。しかも本物の工事現場で。

今回の記事では、私が3年前に実際の建設現場で“リモート現場監督”として、コアエンジニアモデルを導入・実践してみたリアルな記録をお届けします。

「まずは一歩だけ、現場の外に机を出してみる」
そんな小さな一歩が、思っていた以上に大きな変化をもたらしました。

もしあなたの会社でも「中堅が育たない」「現場が回らない」「教える余裕がない」と感じているなら、きっとこの実例がヒントになるはずです。どうぞ最後までご覧ください。

株式会社 RaisePLAN 代表取締役
武田 祐樹(たけだ ひろき)

【保持資格】

  • 一級建築士
  • ー級建築施工管理技士
  • 一級土木施工管理技士

【これまでの活動】

  • 総合建設業で施工管理として17年勤務後、独立起業。
  • 建設現場の生産性向上施工管理の教育支援を展開。
  • 中小企業庁「デジタル化応援隊事業」のIT専門家
  • YouTubeチャンネル建設業を持ち上げるTV』を運営し、登録者1.2万人を獲得。教育特化長尺動画が8万回再生を突破。
  • Instagramや音声配信など多メディアで情報発信
  • 電子書籍出版オンラインセミナーを精力的に実施。
  • 2023年3月、AbemaPrime出演で現場効率化施策が注目。

記事の監修

腕組みをする運営者

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武田 祐樹(たけだ ひろき)

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【これまでの活動】

  • 総合建設業で施工管理として17年勤務後、独立起業。
  • 建設現場の生産性向上施工管理の教育支援を展開。
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目次

「現場に行かない現場監督」は成立するのか?

「少人数でも、多くの現場を効率よく回すにはどうすればいいか?」

そんな問いから生まれたのがコアエンジニアモデルです。これは、現場監督の業務を“核となる部分”と“支援可能な部分”に切り分け、後者をリモートやバックオフィスに分担することで、生産性を高める働き方の仕組みです。

頭ではその仕組みが機能することは理解していても、「本当に現場で通用するのか?」「現場に行かずに指揮を取れるのか?」という不安が拭えなかったのも事実でした。

だったら、自分で試してみよう。

そう決意したのが、今から3年前のことです。私自身が“リモート現場監督”として、コアエンジニアモデルを実地で検証することにしたのです。対象となったのは、RC造4階建て・7億円規模の建設現場。決して小さなプロジェクトではありませんでしたが、だからこそ挑戦する意味があると感じていました。

実際にやったこと

コアエンジニアモデルの中核は、「中堅社員が現場に常駐しない」こと。つまり、現場の外から“技術支援”に専念する仕組みです。

僕が実際にやったのは、現場の事務机をそのまま自宅に持ってきたような働き方でした。場所こそ違えど、業務の中身はまったく同じです。

自宅で担当した業務(例)

  • 施工図の修正・整合チェック
    設計図を元に、施工現場に合わせた実行図をCADで作成。図面に不備があれば設計事務所や業者に確認を依頼し、整合性を保ちました。
  • 工程表の作成と進捗の見直し
    現場の作業手順・日程を日単位で組み立て、Zoomで所長や職長と調整。雨天や工程ズレに対応するため、週次で更新して共有しました。
  • 安全関係の書類チェック
    KY活動記録、作業手順書、機械搬入届などを事前にチェックし、不備があればクラウド経由でフィードバック。
  • 納まりの判断や施工方法の助言
    複雑な躯体納まりや仕様の確認は、写真+ライブカメラ+所長からの口頭報告をもとに検討し、メールやZoomで指示。
  • 業者・元請との打ち合わせ対応
    必要に応じてオンラインで打ち合わせに参加。日中に3時の職人打ち合わせへZoom参加したこともあります。

現場側での体制(所長+若手)

  • 現場の安全パトロール/是正指示
  • 職人との朝礼・作業段取り調整
  • 品質検査・納品立ち会い・近隣対応
  • 現場用写真の撮影・共有

彼らは基本的にその場で動くことに集中。そして私は「動かずに考えること」に専念。この役割分担を明確にしたことで、現場では“判断待ちのストップ”が減り、私の側でも“電話対応や移動での中断”がゼロになりました。

結果、両者ともに集中力が高まり、業務スピードも精度も飛躍的に上がったのです。

現場との連携方法:オンラインとアナログの融合

リモートで現場監督を担うにあたり、最も重要なのはいかに現場と密に連携を取るかという点です。ただ映像を眺めるだけでは不十分で、現地と同じように情報を受け取り、判断し、指示ができる体制を整える必要があります。

そのために、私は以下のような仕組みを構築しました。

ライブカメラの常設

現場内に複数のライブカメラを設置し、進捗状況や作業の様子をリアルタイムで確認できる体制を整備しました。これにより、現場に行かなくても、その日の動きや課題の兆候を把握できます。

毎日のZoom定例ミーティング

現場スタッフとの情報共有のために、毎日1回、定時でオンラインミーティングを実施。作業内容の確認、進捗報告、トラブルの共有などを通じて、現場の意図と管理側の認識のズレを防ぎました。

チャットツールでの即時連絡

図面の修正や注意事項、急な変更点などはチャットツールを活用して即時に共有。これにより、現場とリアルタイムでの意思疎通が可能になり、伝達ミスやタイムラグによる手戻りを大幅に削減できました。

職人会議へのオンライン参加

毎日15時に行われる現場の職人会議にも、Zoomを通じて参加しました。現場の職人さんたちの生の声を聞きながら、作業工程や注意点をその場で共有することで、より的確な判断と段取りが可能となりました。

このような連携体制を通じて、現場の動きを把握しながら図面の不備や段取りミスを事前に察知・是正することができました。現場にいなくても、正確な情報とタイムリーな連携があれば、品質と効率は両立できるという確信を得たのです。

効果:想像以上の業務効率と時間削減

実際に体験してみて最も驚いたのは、集中できる環境があるだけで、仕事が劇的に早く終わるという事実です。

事例:図面チェックで「半日完了」の衝撃

対象はRC造4階建て・7億円規模の現場。通常、施工図のチェックには「3日程度はかかる」と見積もっていました。実際の現場では打ち合わせや電話対応、現場の中断が多く、実質作業できる時間は半日弱、というケースも数多くあります。

しかし自宅で集中して取り組んだ結果、わずか4〜5時間で図面チェックが終わったのです。話しかけられない、電話が鳴らない、移動もない。初日は半日で終わり、2日目には次の図面に着手できるほどでした。

時間削減の見える化

この形を1年間続けた結果、以下の時間削減効果が出ました。

  • 通勤+現場移動の短縮:往復2時間 × 月20日 × 12か月=約480時間
  • 中断対応の削減:書類・電話・打ち合わせの中断を約1日分削減
  • 集中時間の増加:複数回に分散していた作業を一気に完了できるように

これらをすべて合算すると、年間で2,117時間もの労働時間を節約できました。これはフルタイムの現場監督1人分に相当します。

なぜ、ここまで変わるのか?

リモートでの現場監督という新しい働き方は、単なる「場所」の問題ではありません。実際に試してみたことで見えてきたのは、「働く環境」が変われば、思考の質や判断のスピード、そして仕事の成果そのものが大きく変わるということでした。

ここでは、現場を離れて働くことによって得られた具体的な変化を整理してご紹介します。

移動がなく、集中が継続する

従来、現場監督は「片道1時間の移動」「急な電話による中断」を伴う作業が常態化していました。しかし現場から離れ、リモートに切り替えることで、そうした中断要素が完全に消失。その結果、計画的に仕事を進められるようになり、図面チェックや工程表の作成といった中核業務に集中できる環境が生まれました。

遮断された静寂が生む作業効率

自宅という現場から切り離された環境は、集中力を高めるための驚くほど有効な要素です。現場事務所の喧騒や職人同士のやり取りに邪魔されずに作業することで、普段なら3日かかる図面チェックが半日で完了するなど、驚くべき効率アップが実現しました。

小さな判断は現場に任せ、中核業務を優先

現場で発生する軽微なトラブルや簡易対応は、現場スタッフがリアルタイムで処理。これにより、リモート監督は核心的な作業へ集中できるようになります。

連絡が必要な案件は即時オンラインで共有され、判断が必要な案件のみがリモートに上がってきます。その結果、ムダな対応のストップ&ゴーが減り、仕事の質も大幅に改善されました。

成功のポイント:「1つずつ実験して、気づきながら整えていく」

コアエンジニアモデルの導入は、「いきなり完成形」を目指すものではありません。むしろ、「現場で起きるリアルな課題に、1つずつ対処していく」ことで、徐々に最適な形に整っていくのが、このモデルの本質です。

僕自身も最初は不安でした。「現場にいないで、現場を支援できるのか?」と。でも、だからこそ小さな実験から始めました。

たとえば、こんな課題と工夫がありました。

課題①:現場の動きが見えない

最初は「今、現場で何が起きてるのか」がまったく把握できず不安でした。
ライブカメラを導入。主要な作業エリアをモニターで確認できるようにしたことで、現場の状況がリアルタイムでわかるようになり、「現場感覚」が戻ってきました。

課題②:職人との距離が遠い

現場にいないと、職人さんと話せない・雰囲気がつかめない。
朝の段取りミーティングや3時の打ち合わせにZoomで参加。顔を合わせて話すだけで、驚くほど連携がスムーズに。説明もその場ででき、タイムラグによるミスも防げました。

課題③:工程表の理解にズレが出る

進捗の把握が人によって違い、認識にズレが出てきた。
毎夕方、所長が進捗をチャットで送信するルールを運用。その内容を見ながら翌日の段取りや調整を僕が担当するという流れができ、手戻りが激減しました。

課題④:トラブル時の情報共有が遅れる

現場で何かあった時に、連絡が遅れてしまう。
緊急時はチャットより電話、通常連絡はチャットに限定。連絡の“ルール化”でお互いに余計なストレスが減り、判断スピードも上がりました。

こうした実験を繰り返す中で、「これができるなら、あれもいけるかも」「次はここを工夫してみよう」と次々に発見が生まれていきました。

この“試しては気づく”の連続こそが、コアエンジニアモデルを実現可能な仕組みにしていく最大の力だと実感しています。

まとめ:コア人材は、広く活かす戦略へ

今回、実際にコアエンジニアモデルを現場に導入してみて、はっきりと感じたことがあります。それは、「現場は、人の数で解決するのではなく、“仕組み”で変えられる」ということです。

人が足りない。中堅が育たない。若手が辞めてしまう。こうした課題の根本には、“すべてを現場でやろうとする体制”があります。

でも、考える仕事と動く仕事を分けるだけで、現場は見違えるほど回り始めるんです。

たとえば、「施工図のチェック」「工程の設計」「納まりの判断」などは、現場にいなくてもできる。そしてそれらは、集中と判断が求められる“核”の仕事です。そうした仕事を、経験豊富なコア人材に集約し、複数の現場を横断して支援してもらう。この方が、会社としても人的資源の活用効率が格段に高くなります。

実際、私自身が1現場ではなく、2つ、3つと現場を支援する中で見えてきたのは、能力の高い人材ほど、“1現場に閉じ込める”のはもったいないという事実でした。もちろん、誰でもマルチに回せるわけではありません。でも、判断力と経験がある人ほど、情報さえあれば現場の全体像をつかめるし、その場にいなくても、適切な助言ができる。

だからこそ、“コア人材”には、会社の技術レベルを支える“横断的支援役”としての役割を持たせる。それが、若手の育成にも、品質の安定にも、現場の安心感にもつながるのです。

このモデルの導入は、「中堅がいないと現場が回らない」という“常識”をくつがえすものでした。そしてそれは、コアな人材に“背負わせる”のではなく、“広く活かす”という発想の転換でもありました。

まずは小さく始めてみる。1つの机を、現場の外に置いてみる。きっとそこから、現場の未来が大きく変わっていきます。

仕組みで現場を変える。その最初の一歩を、あなたの現場でも、ぜひ踏み出してみてください。

「コアエンジニアモデル」に関心を持たれた方へ

「コアエンジニアモデル」は、施工管理の効率化・働き方改革・企業の成長を同時に実現する、新しい仕組みです。

  • より効率的な施工管理の仕組みを導入したい
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  • 段階的な導入で、現場の負担を最小限に抑える
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  • 専門家のアドバイスを活用し、最適な導入方法を設計
  • 社内の理解を得て、スムーズな運用体制を築く

現場ラボでは、「コアエンジニアモデル」のスムーズな導入をサポートしています。

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