【現場効率化は“つながり”から始まる】デスク×現場を支えるコアエンジニアの仕事術

こんにちは、ライズプランの武田です。

建設業界では今、人手不足や働き方の見直しが求められています。そんな中で私が実践しているのが、「コアエンジニアモデル」という現場管理の新しいスタイルです。

このモデルは、現場管理の要（コア）となる人材が、現場に常駐せずリモートから図面チェックや書類対応などを担いながら、複数の現場を効率的に支えるという考え方です。中小ゼネコンでも少人数で高品質な現場運営を実現することが目的です。

ただし、このモデルを成功させるために欠かせないのが「現場とどうつながるか」という視点です。リモートでの管理者は、現場にいない分、信頼を築く難しさも伴います。

今回の記事では、私自身がこの仕組みを運用してきた経験をもとに、遠隔でも信頼される管理者であるための具体的な工夫と、その実践例をお伝えします。

• なぜ、リモートでの“つながり”が重要なのか？
• どうすれば現場と信頼関係を築けるのか？

その答えを、これから一緒に見ていきましょう。

コアエンジニアモデルとは？

「コアエンジニアモデル」とは、中堅技術者が現場に常駐せず、リモートで複数の現場を横断的に支援するという新しい現場管理のスタイルです。

ポイントは、「現場でしかできない仕事」と「離れていてもできる仕事」を切り分けること。

たとえば以下の通り。

• 図面チェックや工程表の作成、安全書類の管理といった業務は、現場にいなくても対応可能。
• 一方で、朝礼や職人との段取り、現地確認などは現場スタッフが担う。

この役割分担によって、限られた人材でも複数現場を支えられる仕組みが整い、現場ごとのムダや属人化を防ぐことができます。

私自身、RC造4階建て・7億円のプロジェクトでこのモデルを実践し、年間2,000時間以上の労働時間削減という大きな成果を得ることができました。

このモデルの本質は、「人を減らす」ことではなく、人の力を最大限に活かす働き方を再構築することにあります。

なぜ“繋がり”が最重要なのか

現場に常駐しないリモート型の施工管理者、いわゆる「コアエンジニア」は、物理的に姿が見えない存在です。そのため、現場スタッフの間には次第にこんな不安が生まれてきます。

• 「進捗を確認したいけど、連絡しづらい…」
• 「今、何をしているのか分からない」
• 「もしかして放置されてるのでは…？」

こうした小さな疑念が積み重なると、現場では「気を遣って声をかけにくい」「判断を仰げず作業が止まる」といった“委縮”が起きてしまいます。その結果、伝達ミスや段取りのズレが発生し、現場の流れに支障をきたすことにもなりかねません。

だからこそ、物理的な距離がある分、心理的な「つながり」を意図的につくることが欠かせないのです。リモートであるがゆえに、現場にとって「ちゃんと見てくれている」「任せても大丈夫」と思える信頼の“見える化”が必要です。

完璧に理解される必要はありません。ただ、「この人なら安心して頼れる」と思ってもらうための工夫と発信こそが、リモート施工管理を成功させる鍵になるのです。

いつでも“つながっている”体制をどう作るか

リモートで現場を管理するコアエンジニアにとって、物理的に離れているというハンディキャップを補うためには、「常に連携できている」という安心感を現場側に持ってもらうことが不可欠です。

そのために必要なのが、“いつでもつながっている”と感じてもらえる仕組みを、初期の段階から意図的に構築することです。ここでは、実際に効果があった4つの取り組みをご紹介します。

業務の開始・完了を報告するルールを設定

たとえば、

• 「10時：図面チェックに入ります」
• 「16時：発注書を提出しました」

といったように、チャットツールを使ってその日の業務開始・完了を報告します。
日報ほど堅苦しくなく、リアルタイムで進捗が共有されることで、現場は「ちゃんと進んでいる」と感じられるようになります。

業務の見える化は、安心感を生み、無駄な確認作業を減らす効果もあります。

毎日決まった時間にZoomミーティングを実施

たとえば朝一番と夕方に10〜15分程度の定例ミーティングを設定することで、リモートでも「顔が見える関係」が保たれます。

日々のちょっとしたすり合わせや現場の様子を共有するだけでも、「見守られている」という感覚が生まれ、現場側も相談しやすくなります。
同時に、コアエンジニア側も現場の空気をリアルに把握することができます。

ライブ映像で現場の状況を常に可視化

現場にカメラを設置して、職人の動きや工事の進捗、車両の出入りなどを常時映像で確認できるようにしました。

こうした映像は、「何をしているか」を的確に把握するための判断材料になります。
現場の状況を理解した上でコミュニケーションをとることで、ズレのない連携が実現し、無用な不信感を防ぐことができます。

業務の役割分担を事前にすり合わせて明確に

遠隔で連携をスムーズに進めるためには、担当する業務範囲を事前に明確にしておくことが重要です。

例としては、以下のような分担を行いました。

担当	主な業務内容
デスク側	図面チェック、安全書類の整理、資料作成、長期工程表の作成
現場側	当日の段取り、資材手配、職人との打ち合わせ

「誰が何をやるか」を互いに宣言し、役割を明確にすることで、現場の混乱や「それは誰の担当？」という迷いを防ぎ、自然と信頼関係が育まれます。

成果：安心感と効率、その両方を実現

こうした仕組みを導入した結果、得られた成果は非常に明快でした。単なる業務効率化にとどまらず、現場と管理者の間に確かな信頼と安心感が生まれたのです。

現場の不安を解消

チャットでの進捗共有や定例ミーティング、ライブ映像による「見える化」によって、現場側は常に「見守られている」「分かってくれている」という安心感を得ることができました。
「ちゃんと繋がっている」という感覚は、ちょっとした確認や判断にも迷いを生まず、現場の心理的負荷を大きく軽減しました。

移動や中断が減り、“余白時間”が生まれた

毎日の報告ルールやZoomミーティングにより、わざわざ電話や現場訪問で確認を取る必要がなくなりました。その結果、業務の中断が減り、資料作成や工程管理など“集中すべき業務”にあてられる時間が飛躍的に増加。
時間的にも精神的にも余裕が生まれました。

現場の判断力と裁量を強化

あらかじめ役割分担を明確にしておいたことで、現場スタッフがその場で判断して動ける範囲が広がりました。
小さな判断に逐一指示を仰がなくてもよくなり、管理者側は中長期の工程管理や品質チェックなど“本来注力すべき中核業務”に集中できるように。

信頼関係の深化

「任せる」「報告する」「共有する」という一連のやりとりがルールとして自然に定着することで、現場と管理側の間に“役割に対する責任感”が生まれました。
無理なく、しかし確実に、お互いが信頼し合える関係が構築されていきました。

まとめ：距離があっても、繋がるための仕組みがあればうまくいく

コアエンジニアモデルは、少人数でも現場を円滑に運営できる新しい現場管理のスタイルです。ただ現場から離れて作業をするのではなく、「離れていてもチームとしてつながっている」ことを実感できる環境づくりが、その本質にあります。

現場に姿が見えないからこそ、どうすれば「信頼できる存在」として感じてもらえるか。その答えは、複雑なシステムではなく、日々の小さな工夫と仕組みにありました。

• 今日何をしているのかを伝える
• 決まった時間にコミュニケーションを取る
• 業務の役割をあらかじめ共有しておく

こうした基本の積み重ねが、「安心して任せられる」「任される責任感が芽生える」関係をつくります。

距離があっても、つながりを感じられる仕組みがあれば、遠隔でも現場は十分に機能します。そしてその仕組みこそが、これからの建設業の働き方にとって、欠かせない土台になるのです。

「コアエンジニアモデル」に関心を持たれた方へ

「コアエンジニアモデル」は、施工管理の効率化・働き方改革・企業の成長を同時に実現する、新しい仕組みです。

• より効率的な施工管理の仕組みを導入したい
• 人手不足の課題を解決し、受注量を増やしたい
• 施工管理者の長時間労働を削減し、働きやすい環境を作りたい

このような課題を抱える企業にとって、「コア・エンジニアモデル」は大きな変革のチャンスとなります。しかし、導入には慎重な準備と適切なサポートが不可欠です。

• 段階的な導入で、現場の負担を最小限に抑える
• デジタルツールの活用に慣れるための教育を実施
• 専門家のアドバイスを活用し、最適な導入方法を設計
• 社内の理解を得て、スムーズな運用体制を築く

現場ラボでは、「コアエンジニアモデル」のスムーズな導入をサポートしています。

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