施工管理の現場では、「経験がすべて」と言われることが多いですが、 本当にそうでしょうか?
私自身、現場経験では圧倒的に先輩に劣っていましたが、 データを活用することで先輩を抜き去ることができました。
例えば、ベテランの職人が「この作業は2日で終わる」と言ったとき、私は過去のデータを分析し、
「4人で作業すれば平均1.8日で終わる」 と具体的な根拠を示すことで、より正確な判断を下せるようになったのです。
この記事では、 経験だけに頼らず、データを活かして施工管理のスキルを飛躍的に向上させる方法 を解説します。
データを武器にすれば、あなたも 効率的に成長し、確実に結果を出せる施工管理者 になれます。
株式会社 RaisePLAN 代表取締役
武田 祐樹(たけだ ひろき)
【これまでの活動】
- 総合建設業で施工管理として17年勤務後、独立起業。
- 建設現場の生産性向上と施工管理の教育支援を展開。
- 中小企業庁「デジタル化応援隊事業」のIT専門家。
- YouTubeチャンネル『建設業を持ち上げるTV』を運営し、登録者1.2万人を獲得。教育特化長尺動画が8万回再生を突破。
- Instagramや音声配信など多メディアで情報発信。
- 電子書籍出版やオンラインセミナーを精力的に実施。
- 2023年3月、AbemaPrime出演で現場効率化施策が注目。
記事の監修

若手施工管理が先輩を抜き去ることができた理由

「経験を積めば成長できる」これは間違いではありませんが、成長速度には個人差があります。特に施工管理の世界では、現場経験を積めば積むほどスキルが向上するのは確かですが、それだけでは 先輩との差を埋めるのは難しい のが現実です。
では、どうすれば短期間で先輩に追いつき、さらに追い越すことができるのか?
私が実践したのは、「データ取り」でした。
経験は「記憶」に頼ると限界がある
新入社員として現場に入ると、毎日が学びの連続です。最初の1年、2年は、誰もが同じように失敗と成功を繰り返しながら成長していきます。
しかし、同期が3年、4年と経験を重ねても、成長のスピードにはバラつきが出る ものです。なぜなら、ほとんどの人は 経験したことをその場限りの記憶に頼っている からです。
・「前もこんなトラブルあったけど、どう解決したっけ?」
・「たしかに似た状況だった気がするけど、細かい部分を忘れてる…」
・「先輩がやってた方法を真似したけど、うまくいかなかった」
こうした記憶頼りの学習では、同じような問題に直面しても 確実な解決策を導き出せず、成長にブレーキがかかる のです。
「データ取り」が成長のスピードを加速させる
私はこの問題を克服するために、すべての現場経験をデータとして記録 しました。
例えば、
工程管理
「この工種はどのくらいの時間がかかるのか?」
「天候による影響は?」「職人さんの人数で作業効率はどう変わる?」
トラブル対応
「過去に発生した問題とその解決策は?」
「どの方法がうまくいき、どの方法が失敗したのか?」
職人とのコミュニケーション
「この職人さんはどんな伝え方が効果的だったか?」
「どのタイミングで指示を出すとスムーズに進んだか?」
これらのデータを蓄積し、次に同じような場面に直面したときに 「経験」ではなく「データ」に基づいて最適な判断 をするようにしました。
すると、同じミスを繰り返さなくなり、むしろ事前に対策を講じられるように なったのです。
経験+データで「圧倒的な成長速度」を実現
この「データ取り」を実践することで、私は 経験年数に関係なく、実力を伸ばし続けることができました。
例えば、先輩たちが 「感覚」 で判断していたことを、私は 「過去のデータ」 をもとに理論的に説明できるようになりました。
「この作業は○○時間かかるので、次の工程は△△時から開始できます」
「この工事で雨が降ると、作業効率が◯%落ちるので、晴れの日を狙ったほうがいいです」
「以前、この工種でトラブルが発生した際、▲▲の方法で解決できたので、今回も同様に対処します」
こうした 「理論的な施工管理」 ができるようになり、先輩や上司からの信頼も一気に高まりました。
結果として、私は 入社数年で先輩たちの評価を超え、より重要な現場を任されるようになったのです。
データ取りの重要性

施工管理の現場では、これまで「勘」や「経験」が重要視されてきましたが、それだけでは成長に限界があります。一方で、データを活用すれば、年次や経験年数に関係なく、客観的な根拠を持った判断ができるようになります。これは、単に知識を増やすという意味ではなく、短期間で成長を加速させ、実力を確実に高めるための手段なのです。
データ取りとは何か? 経験を「数値化」する力
データ取りとは、現場での出来事や作業の流れを記録し、それを蓄積・分析すること です。
例えば、以下のようなデータを収集することで、経験に頼らず合理的な判断ができるようになります。
- 工程管理の記録
作業ごとにどれくらいの時間がかかったのか、職人の人数によってどの程度スピードが変わるのかを数値化する。 - トラブル対応の記録
どのような問題が発生し、どのように解決したかを整理することで、同じトラブルが起きた際に迅速な対応が可能になる。 - 見積もりの根拠を明確にする
資材の使用量やコストを記録し、将来的に正確な見積もりを作成できるようにする。
経験は時間とともに蓄積されますが、記憶には限界があります。しかし、データとして記録すれば、それを何度でも参照し、同じ場面に直面したときに 適切な判断ができるようになる のです。
データ取りの実践方法
データ取りを始める際には、まず 「何を記録するか?」 を明確にすることが大切です。
1. 工程データを収集する
各作業にどれくらいの時間がかかるのか、職人の数や天候によってどのように影響されるのかを記録する。
2. 工事日誌を活用する
先輩や職人が記録している工事日誌を参考にしながら、施工の流れや改善点を整理する。
3. トラブルと解決策を記録する
過去に発生した問題とその対応策を記録し、同じ問題を防ぐための対策を立てる。
4. 歩掛(ぶがかり)を把握する
作業ごとの標準的な所要時間やコストを数値化し、工程表の作成や予算管理に活用する。
データ取りのメリット – 施工管理の実力を飛躍的に向上させる
データを活用することで、以下のような 具体的なメリット が得られます。
- 現場の効率化ができる
過去のデータを基に、無駄な作業を減らし、よりスムーズな進行が可能になる。 - コスト削減につながる
必要な資材量や作業時間を正確に把握し、ムダなコストを抑えられる。 - 経験年数に頼らず、客観的な判断ができる
年次に関係なく、データに基づいた根拠のある判断ができるため、若手でも合理的な判断が可能になる。 - 見積もりや計画の精度が向上する
過去の実績をもとにした正確な計画を立てることができる。
経験に頼るだけでは成長の速度に限界がありますが、データを活用することで、短期間で確実に実力を高めることが可能 になります。
経験 vs. データ – 施工管理の未来を変える新しい考え方

建設業界では、昔から 「経験がすべて」 という考え方が根強く残っています。長年の現場経験を積むことで、職人の勘や知識が蓄積され、より効率的に工事を進められるというのは、これまでの業界の常識でした。しかし、経験だけに頼ることには 限界 があります。
一方、近年注目されているのが 「データを活用した施工管理」 です。データは 個人の記憶や経験に依存せず、誰でも同じ情報を共有できる ため、業務の効率化や現場の改善に大きく貢献します。
経験とデータ、それぞれの強みとは?
「経験」と「データ」の違いを整理すると、以下のような特徴が見えてきます。
項目 | 経験 | データ |
---|---|---|
判断基準 | 感覚や勘に基づく | 数値や過去の実績に基づく |
再現性 | 個人の技量に依存し、属人的 | 誰でも同じ情報を活用可能 |
精度 | 状況によって判断がブレることがある | 一貫した基準で正確な判断が可能 |
活用範囲 | その人の経験の範囲内に限定される | 幅広い現場で応用できる |
改善のしやすさ | 失敗した理由が曖昧になりがち | 数値分析により明確な改善点が見える |
どちらが優れているという話ではなく、施工管理の未来を考えたとき、経験とデータを組み合わせることでより強力な管理が可能になる というのが重要なポイントです。
経験だけでは不十分?データがもたらす新たな可能性
「経験」だけに頼っていると、以下のような課題に直面することがあります。
- 再現性の欠如
ベテランの職人が「この作業は2日で終わる」と言っても、違う職人が担当すれば3日かかることもある。経験のある人には当たり前でも、新人には理解できない部分が多く、再現性が低い。 - 属人化のリスク
経験に頼ると、個人のスキルに依存しやすくなる。その人が異動や退職すれば、そのノウハウは失われてしまう。 - 正確な予測が難しい
感覚で判断していると、無意識のバイアスがかかり、思わぬ時間やコストのロスが発生する可能性がある。
このような課題を解決するのが データの活用 です。
例えば、以下のようなケースを考えてみましょう。
ケース1:作業時間の見積もり
- ベテランの職人:「この作業は2日で終わる」
- データを活用する施工管理者:「過去のデータによると、4人で作業すれば平均1.8日で終わる」
経験に基づく予測では、おおよその目安しかわかりません。しかし、データがあれば、より正確な作業時間を見積もることができ、無駄な人員配置を防げます。
ケース2:トラブル対応
- 経験に頼る管理:「昔の現場で同じ問題があったが、どう対応したかは思い出せない…」
- データを活用する管理:「過去3回同じトラブルが発生しており、最も効果的だった解決策は○○」
経験があっても、すべてを記憶しているわけではありません。一方、データがあれば、過去のトラブル事例をすぐに参照でき、迅速かつ的確な対応が可能になります。
データを活用することで、経験がより活きる
データを活用することで、経験の価値はさらに高まります。
- データを元に判断することで、経験の精度が向上する
- 過去の経験をデータ化すれば、若手もベテランと同じ情報を活用できる
- データの活用により、経験の属人化を防ぎ、チーム全体でノウハウを共有できる
つまり、 「経験+データ」 という組み合わせが、施工管理の未来を変える鍵になるのです。
施工管理の未来 – 経験 × データが鍵になる

これからの施工管理では、 経験だけに頼るのではなく、データを活用できることが重要 になります。
- 経験の積み重ねだけでは、成長に限界がある
- データを活用すれば、短期間でスキルを向上できる
- 「経験 × データ」の両方を使いこなせる人材が求められる
施工管理は 「勘」ではなく、「根拠ある判断」が求められる時代 です。データを活用することで、より正確な計画を立て、効率的に現場を動かすことができます。
先輩の経験に対して、あなたは「データ」という武器を持つことができます。 データを味方につけ、施工管理のスキルを飛躍的に向上させましょう。
