
GENBA Lab.運営の武田です。建設業界の底上げに貢献するための活動や発信をしています。
今回は認識を擦り合わせる簡単な方法をお教えします。
現場で何かを人に伝えるとき、ササっと手書きをすることがあります。情報を伝達する手段としては、口頭や文字、図面や動画など多くの手法がありますが、その場に応じて臨機応変に対応するのが正解だと思います。
その中で、スケッチを描くことも有効な手段の一つと言えます。野帳にササっと。落ちていた段ボールの端に。タブレットを使って。メモ帳に。頭の中にある具体的なイメージを伝える手段としては、わかりやすく良い手法と言えるでしょう。
ですが、ここで少しアドバイス。皆さんの頭の中にあるイメージと、相手のイメージが食い違ってしまうことがあることを頭に入れておいてほしいと考えます。
手書きの図面には人の絵を入れよう

極端な例を出します。例えば、2人の人間が紙に〇を描いたとしましょう。片方は遠い惑星の絵を描いたものであり、もう片方は原子の絵だったとします。
この場合、同じ〇ではありながら、スケール感が全く違います。このように、手書きをするときの注意点として、寸法イメージの食い違いというものが発生してしまうことがあるのです。
どのくらいの大きさのものなのか。どんなスケール感の話をしているのかという、前提条件が食い違ってしまうと、お互いが全く別の想像をしてしまうことがあるのです。これは往々にしてある食い違いであり、情報伝達においては非常に重要な点なのです。
それを起こさないようにするため、寸法を書き入れるという手段もあります。確かにこれも有効だといえますが、実はこれでも少し弱いのです。なぜなら、そもそも数字に慣れていない人には伝わらないからです。
現場監督は寸法に対して身近であり、数字を見たときには、ある程度そのサイズ感はイメージができる人が多いと思います。ですが、実はその能力は万人が持ち合わせているものではありません。
「800」という数字を聞いたときに、それがどのくらいの大きさなのか、高さなのか。パッとイメージできる人というのは、意外に少ないのです。机の高さはどのくらいか、人間の腰高さはどのくらいか。ドアノブの高さはどのくらいか、棚の奥行きはどのくらいなのか。これを大まかでも言える人は少ないと知っておきましょう。
その上で、他人にそれを伝えなければいけないわけです。その情報伝達の手段として「手書き」を選択したのであれば、まずはその前提条件を共通化しておく必要があるのです。
僕が一番多く使う方法として、「人の絵を描きいれる」というものを使います。
多くの人にとって最もなじみの深いスケール感として、自分の大きさが有効だと考えます。自分の身長はどのくらいなのかは、多くの人が言えますよね。子供でも言えることが多いと思います。
だからこそ、何か伝えたいことがありそれを手書きで伝達する際には、その絵に人間の絵を描くことを推奨します。ただの四角を描いたとしても、例えその横に寸法を書き入れたとしても、必ずしもイメージができるとは限らないのです。
でも、そこに身長165cmくらいの人間の絵を、棒人間でもいいので書き入れた時、そのスケッチは一気に現実感を増します。そこから見える景色が手に取るようにわかってしまうのです。
ぜひ一度試してみてください。もちろん、詳細な納まり図などを描いた場合には、人間の絵を描くことは難しいです。ただ、ドアの絵や建物のスケール感を表現する場合には、非常に伝わりやすい手法なのです。
よく何かの写真で大きさを伝える際、横にタバコを置いておくなんてことをしたりしましたよね。これと同じで、写真や手書きなどのスケッチで情報を伝達する際、相手には伝わっていると勝手に認識してはいけません。
特に寸法になじみのない人たちを相手にするときには、ぜひ活用してほしいポイントだと考えます。
ご参考にしてみてください。