打合せをしていくうえで、とにかくできない理由を探す人はいます。
「それは無理です」「そんな工程ではできないです」「そんな状況ではできません」などなど。きっぱりと断る人はいます。僕ら現場監督側と、協力業者さんとの打合せにおいて多く発生する場面です。
現場のスケジュールや状況から、確かに厳しい条件下での施工になることはあります。どこかの業者のミスに対し、リカバリーするためにやむを得ずやらなければいけない作業もあるでしょう。そもそも一般的な工期ではない短期決戦ということもあります。
当然施工会社側の段取りが悪いということもありますし、もともと過酷な条件での工事ということもあるわけです。いずれにせよ同じ現場なんて物は存在しません。そのタイミング、その環境に合わせて、知恵を出し合って工事を進めていかなければいけません。
そんな中、「それは無理です。」と言い切られてしまった場合、それ以上進むことは不可能になります。もちろん、到底受け入れられないような条件なのかもしれません。でも、無意味にその条件を突き付けていることではありません。今後の余裕を作りたいのか、失敗を取り戻したいのか、そもそも不可能な条件ではないのか。
仮にそれが施主さんだったり、設計事務所だったりの場合もあるでしょう。番頭さんのことも職人さんであることもあるでしょう。どんな状況化であれ、そういう場面になったとき。有利に進めることのできるテクニックをお伝えします。
現場を有利に進めるための条件
例えば職人さんと打ち合わせをしていて、「無理だ」と言われたとします。この時点では、単にやりたくないのか、そもそも無理なのかはわかりません。ですが、他の現場でできていることなのであれば、「無理だ」の後に続く言葉がきっとあるはず。
つまり現時では見えていない、条件を引き出すことが最も重要なテクニックなのです。
「無理だ」の後に続く言葉を引き出してみましょう。そうすると、「まだ墨出しが終わっていないだろ」なのかもしれません。「こんなに汚い現場だったら進められないだろ」なのかもしれません。「こんな人数では」なのかもしれませんし、「運搬に人がとられるから」なのかもしれません。
守るべき対象が「工期」なのであれば、それ以外の条件を模索しなければいけません。現場を有利に進めるための条件は、必ず職人さんの言い分の中にあるのです。そこを注意深く受け取ってみましょう。
「こんな狭い場所に人がいっぱいいたら、進まねーだろ!帰るわ!」と怒鳴っている職人さんがいたとして。冷静に分析するとその無理である理由は、「人がいすぎる」ことです。ということは、言い換えると「人さえいなかったら、ちゃんと進められるんだよ!」と怒鳴っていることにもなりませんか?・・・と捉えるのです。
威勢よく言っているその言葉も、よくよく聞くと職人さんの叫びなのです。そこにしっかりと耳を傾けることができるのなら、それを実現すれば良いだけの話。自分で勝手に、あーでもないこーでもないと考えて出した答えよりも、より具体的で現実的な主張なのです。
これは何も職人さんだけの話ではなく、どんな相手でも同じです。相手が施主でも、設計でも、社長でも、家族でも。怒りに聞こえたり、言い訳に聞こえる言葉があれば、それが相手の主張なのです。「それが原因で、僕らは歩みを止めてしまっているのだ」と教えてくれていると捉えましょう。そしてそれに真摯に対応するだけです。
「無理だ」「できない」と言っている人で困っているのであれば、勢いにやられてしまうのではなく、こう聞いてみてください。
「じゃあ、何があれば可能になりますか?」と。
きっと何かしらのヒントをもらえるはずです。僕はそうやって切り抜けてきました。ぜひ参考にしてみてください。