教育の現場では、新人や後輩たちの成長を見守りながら、自らも試行錯誤を繰り返してきました。その中で、彼らの中には「この人は伸びていくな」と感じる特徴を持つ人材が存在することに気づきました。実際に、彼らが共通して持っている特徴を見極めることで、将来の成長が見込める人材を発見できることが分かったのです。
この記事では、成長を遂げる人材の特徴として、5つのポイントを紹介します。これらの特徴が備わっている人は、確かな成長を遂げ、組織の礎となってくれることでしょう。
先輩たちの経験を参考にしながら、自身の判断に役立ててみてください。後輩たちにとっては、これらの特徴が当てはまっているなら、あなたは大丈夫です。当てはまっていない場合には、ぜひこの記事を参考にしてみてください。成長へのヒントが見つかるかもしれません。
株式会社 RaisePLAN 代表取締役
武田 祐樹(たけだ ひろき)
【これまでの活動】
- 総合建設業に17年在職後、独立起業。
- 建設現場の生産性向上支援や施工管理の教育支援を展開。
- 中小企業デジタル化応援隊事業(中小企業庁)のIT専門家。
- YouTubeや音声配信、Instagramなどで情報発信を行い、電子書籍の出版やオンライン講師、オンラインセミナー活動に積極的に取り組む。
- 建設業の現場効率化の仕掛け人としてAbemaPrimeに出演(2023年3月)。
ベクトルを自分に向けている人
「自責の人」とは、周囲や環境の問題ではなく、自分自身の不適合に原因を求める考え方のことです。
言葉の中に他人の責任を押し付ける傾向がある人は、成長のために必要な情報や経験を吸収する能力が制限される可能性があります。
一方、自分自身に問題があると認識し、改善すべき点を口にする人は、自己向上の意欲を持っています。例えば、残業が発生している場合、会社の体制に問題があるかもしれませんが、自身にも改善の余地があるかを考えていますか?
自身が環境に対応するために変化する必要があると認識し、前向きな考え方を持つ人は、柔軟に対応し、成長することができると考えられます。自分自身を向上させるために必要な変化を具体的に考え、行動に移すことが重要です。
素直な人・かっこをつけない人
多くの人が先輩からの教えを素直に受け入れることができると思います。しかし、分岐点は後輩からの質問に対して「わからない」と素直に答えられるかどうかではないでしょうか。
新人の場合、この判断は難しいですが、2〜3年経験を積んだ後輩が入社した時に明らかになります。後輩に対して質問を返したり、自身がわからないことから学ぼうとする意欲が強い人が成長していく傾向があると思います。
自身の偏見や固定観念を持ち、柔軟な思考を制約してしまうのではなく、特定の問題に対して最も効果的な解決策を効率的に見つける能力が求められます。
そのため、わからないことがあれば素直に「わからない」と認めることができる人や、自身がミスをした場合に「ごめんね」と謝ることができる人は、多くの知識や経験を吸収できる可能性が高いのです。
素直にわからないことを聞き、自身の意見と相手の意見が異なる場合に衝突するのではなく、異なる視点も存在するのだと考えることができる人は、成長していくと思われます。
思ったことを考えて喋れる人
面接時に自身の思考を考えずに、テンプレートに従って話す人がいます。必要以上に受け答えをこなさなければならないと思い込み、本来言わないべきことまで口に出してしまう瞬間があるのではないでしょうか。
自身の考えや意見を述べているのではなく、言われたことに反射的に答えている人は、成長の余地が減っていくと考えられます。
会話をする際には、相手がどのような人物であり、どのような意見を持っているのかを意識し、質問を行います。これは面接に限らず、一般的な雑談の場でも同様です。
自身の能力を超える仕事に安易に手を挙げることや、自身の評価を過大または過小評価することはせず、ただただ現在の自分の立ち位置を素直に語ることができる人は強いと言えます。
疑問が多い人
頼まれたことを素直に引き受ける人がいます。これは決して悪いことではありません。
一方で、結果的に何をしているのかよくわからないまま終わる人に対して、「それには意味があるのですか?」や「それをやることで何を達成しようとしているのですか?」と自身の行動の意味をしっかりと考えられる人は、学びの割合が高いです。
物事に対して疑問を持つことは、その物事の本質を把握していくことにつながります。何をしなければならないのではなく、何かを達成するためには何をしなければならないのかを理解する人が最も強いのです。
疑問を抱く人は、自身が意味のないことを行うことを嫌います。つまり、本質的な要素に集中した行動を取りたいと思うのです。
根本を押さえることができる人は、無敵のスキルを持っていると言えるでしょう。
悔しい気持ちが強い人
自分よりも年齢や経験が豊富な先輩に対して、戦いを挑もうと考える人は少ないでしょう。しかし、実際に戦いを挑んでいるわけではなくとも、「あの人ができるなら、なぜ自分はできないのだろうか」と悔しさを感じる人が存在します。
この悔しさは、大きな原動力となるのです。
悔しさを原動力にして、さらに学習を進めたり、自分ができるようになるための方法を素直に尋ねることができる人は、強い人だと思います。
ただし、悔しさを大々的に表に出す人は、実は弱いのかもしれません。根本的な気持ちとしては強いかもしれませんが、表に出しすぎると敵を作りやすくなります。その結果、どんなに能力が高くても周囲から認められない状況になるかもしれません。
悔しさを適度に表に出すことは大切ですが、過度に表に出しすぎないように注意する必要があります。しかし、完全に隠してしまうと自分の気持ちは伝わりません。微妙なバランスを保ちながら、表現することが必要です。このさじ加減を間違えないようにすれば、きっと成長していくことができるでしょう。
まとめ
現場監督に向いている人の特徴を5つ挙げました。
- ベクトルが自分に向いている人。
- 素直な人。かっこつけない人。
- 自分の思っていること、考えていることをしっかりと喋れる人。
- “なんでだろう”と疑問をしっかりと持てる人。
- 何かあった時に悔しいと思える感覚を持っている人。
これらの特徴が備わっていれば、後輩や新人は十分に伸びていく可能性があります。私は試行錯誤しながら、その能力を引き上げるためにどう教えるべきかを模索してきました。
現場に行った時、”この子成長してきたな~”と思う瞬間には、感極まって涙が溢れることがあります。後輩や新人の成長を見ることは、喜びに満ちた瞬間です。
ベクトルを自分に向け、この環境に適応して能力を最大限に発揮するためには、どういう人間になるべきか、どういう考え方を持つべきかを素直に考えることが重要です。
成長と自己啓発の旅は終わりがありません。常に学び続け、新たな高みを目指していきましょう。自分自身の成長が後輩や新人の成長をもたらし、良い連鎖を生み出すのです。
最後に、一緒に働く仲間や後輩にも同じような成長の機会を提供し、彼らが輝きを放つことができる環境を整えることも大切です。
成長とともに喜びを分かち合い、次世代のリーダーを育てる旅に、私たちは共に進んでいきましょう。