【建設業/現場監督の育て方】リーダーシップの基本【褒めてはいけない理由】

多くの人が勘違いをしていると感じることの中に、「リーダーの基本は、相手の悪い部分を是正していくことだ」という考えがあります。これは、全く的外れだと考えています。

結論から言うと、リーダーの基本は「相手の良いところを見抜くこと」です。あらかじめ言っておきますが、これは「良いところを伝えること」とも違います。

この記事を書いた人
腕組みをする運営者

武田祐樹(たけだひろき)

総合建設業に17年在職し、官民問わず数多くの実績を積む。

現在はオンラインを中心に活動し、中小企業デジタル化応援隊事業(中小企業庁)のIT専門家としても活動。YOUTUBEや音声配信、インスタグラムなどで情報発信を行い、電子書籍出版やオンライン講師、オンラインセミナー活動も積極的に行う。

保有資格

  • 1級建築士
  • 1級建築施工管理技士
  • 1級土木施工管理技士

建設現場生産性向上サポート
HT RaisePLAN 代表 

目次

リーダーシップの基本

まず、相手の悪いところを「それはダメだぞ!」と指摘してしまう人はいます。それをやっても、基本的には何も変わりません。なぜなら、その指摘した部分というのは、あまりに具体的だからです。

人は生きているだけでたくさんの意見を持ち、たくさんの行動をします。当然ですよね。

その中で、「ダメだぞ」と指摘できていることは、たくさんある事象の中で、ピンポイントの出来事を是正しているにすぎないからです。

それを抑制したところで、根本にある考え方が変わるわけでなければ、同じことを必ず繰り返します。

グーで殴る事を指摘したら、パーで殴るのはOKだと考えるからです。これは屁理屈ではなく、仕事に置き換えれば思い当たる部分はあるのではないでしょうか。

また、その行動を起こすにあたって考えてきたプロセスや悩んだことを全てすっ飛ばし、その出来事だけを指摘する事は、相手を全く見ていないという事にもなります。殴る事だけを指摘し、誰かを守ろうとしたというプロセスを無視した結果だった可能性もあるという事です。

これで、悪い部分を是正する事では何も解決しないということが分かりましたね。

良いところを「見抜く」力

「良い部分を伝える」のはなぜダメなのでしょうか。一見良さそうに感じますよね。

一般的に、褒めてあげることは大切だと言われます。

良い行動をしたり、良い結果を出したとき、「素晴らしい行動だ」とか「ここは良かったよ」と明確に指摘するのは、即効性はあるかもしれません。気分は上がりますよね。

でも、褒められることに慣れてしまうと、必ずまた欲しがってしまいます。つまり、自分の意見を持つのではなく、「褒められたい」という目的で行動を決めてしまう事になるのです。これをやると「褒められ探し」をする人間になってしまいます。

褒められるという行動は、相手が自分よりも上だと認めることと同じ。つまり、相手に即した正解を探す事になり、「指示待ち君」が誕生してしまうのです。ゆえに明確に褒めることは、あたかも良いことのように感じますが、基本的に良いことではないと考えています。

じゃあどうすれば良いのか。

ここで登場するのが「良いところを見抜く」という考え方。これがリーダーが根本的に理解しなければいけない事なのです。

良い行いや、良い結果を見た時、それを伝える必要はありません。「この行いができるのは、いつも○○だからだな」「この結果を出せたのは、陰で頑張ってきたからだな」と“見抜く”のです。

そうすると、直接的に相手に影響を与えることはできませんが、圧倒的に変わるものがあります。

それは【自分の態度】です。

悪い事ばかりを見ていちいち指摘しても意味がなく、良い事をほめても、褒められ探しを始めると言いました。これでは、いつまでたっても上司がいないと何もできない「ダメ社員」を量産してしまいます。だからこそ、悪いところではなく、良いところの一つ手前の部分を「見抜く」のが重要なのです。

人には「ちゃんと見てくれている」という安心感が必要です。

結果だけを見る人が相手なら、結果だけ帳尻を合わせるようになります。でも、その過程をしっかりと見極めていけば、結果にとらわれずにいろいろなチャレンジをできるようになるものです。どんな結果になろうと、「責任は俺がとるから、どんどん失敗しろ!」と言われたら、頑張っちゃいませんか?

ダメなところが目についてしまっていたとしても、相手の良い部分を見抜いていれば「なぜこの子はこういう行動をとったのだろう」という考えが自然とできるようになります。

これがリーダーシップの根源になければいけない考え方です。

まとめ

腕の悪い職人さんを見た時にも、そこじゃなく何気なくゴミを拾っている様がわかっていれば、なぜ腕が悪いままなのかを見抜くことができますよね。

これは怒られるからやらないようにしよう。これは褒められることだからやろう。

そう考えてしまう人は、自分の行動にいつも制限がかかっています。つまり、自分の意見なんて持たない方が良いという結論に、気付かぬうちになってしまうのです。これで、ロボットの様な兵隊の出来上がりです。

自分がバリバリと一線で働けるうちは、そういう兵隊を増やすのもいいかもしれません。でも、それは長期的には無意味ですよね。だって、人は年を取るから。

自分の意思を持って、決定していける人間が育たなかった場合、自分がいなくなるとその会社は衰退していく事になってしまいます。だって、全員が指示待ち君になるわけですから。

もちろん人の道を外すとか、犯罪を犯すという場合はしっかりとガードしてあげなければいけませんが、それ以外の所に関しては指摘することで相手を強制的に変えようとしてもダメです。

良い部分をしっかりと見抜くことによって、相手ではなく自分を変えていく事。ベクトルを相手ではなく自分に向けるという事が何よりも重要な事だと思います。

そうやってみんなの働く環境の雰囲気がよくなっていけば、働く気力もわきます。仕事が楽しくなります。そして、その雰囲気を作っている人のために、頑張ろうと思ってもらえる空気感を作ることができると考えます。

リーダーシップとは、強い拘束によって強制的にレールに乗せることではありません。自分の姿勢によって、全員が100%の力を発揮するフィールドを整えることです。

明確な次の行動を教えることより、あいまいなやる気。

これを引き出すことが、継続的に頑張れる人間を生み出す事だと考えます。

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