施工管理の仕事で大切なことは段取りです。
段取り八部という風に言われるほど、施工管理という職業にとって段取りは重要です。
つまり段取りさえ、きちんとしてしまえば8割仕事は終わったようなものだということになります。
しかし、この段取りをすることを難しいと感じる方もみえるでしょう。
本記事では、段取りが上手になるためのメモの取り方をお伝えしたいと思います。
若手や新人の方にとっては、これからの施工管理人生ですごく使える技ですので、ぜひ最後までお読みください。
株式会社 RaisePLAN 代表取締役
武田 祐樹(たけだ ひろき)
【これまでの活動】
- 総合建設業に17年在職後、独立起業。
- 建設現場の生産性向上支援や施工管理の教育支援を展開。
- 中小企業デジタル化応援隊事業(中小企業庁)のIT専門家。
- YouTubeや音声配信、Instagramなどで情報発信を行い、電子書籍の出版やオンライン講師、オンラインセミナー活動に積極的に取り組む。
- 建設業の現場効率化の仕掛け人としてAbemaPrimeに出演(2023年3月)。
メモを取ることはだめ?
「メモを取りなさい。」こんなことを言われた経験はありませんか?
施工管理に限らず、どんな職種でも、新しいことを学ぶ際にはメモを取ることをすすめることはよくあるのではないでしょうか。
例外なく、私にもそのような経験があり、野帳や手帳に教えてもらったことをメモしていた記憶があります。
現在では、デジタル化が進み、スマホのメモ帳機能を使ったり、音声で録音したりとメモの取り方も進化してきていますね。
さあ、メモを取ることは簡単なのですが、大切なのはその後だと思います。
メモを取っても、それを活用しなければ意味がありません。
実際に私も、見返す習慣がつかないどころか、メモを取ったことすら忘れていることもありました。
何年もそんなことを繰り返しているうちに、だめだと気づきました。
メモを取ることがダメなのではなく、メモを取る事に必死になってしまって、メモを取りっぱなしにしているという状況がダメなのです。
新しいメモの方法を伝授
メモを取っても上手く活用できていない皆さんにご提案したいのは『段取りメモ』です。
『段取りメモ』とは?
段取りメモとは、ただメモをしているだけのはずが、気づいたら段取りが出来ているという優れものです。
必要なことを、とりあえず記録しておくメモと違って、段取りメモは工程表と並べて必要なことを記載します。
『段取りメモ』の取り方
①工程表を上部(横軸)に書く
いつからいつまでどのような作業をするのかを手書きで数週間分かきこむ
②工程表の下段に表をつくる(縦軸)
表は空白にしておいて、いつでもかきこめるような状況をつくっておく
③空白の表にやらなければならないことを書き込む
『段取りメモ』実例
掘削の段取りをしておくことを頼まれた場合の段取りメモの使い方
- 工程表を見て掘削の日程を確認する
- 掘削に向けて準備しておかなければならないことを考える
- 掘削をするためにやらなければならにことを工程表下段の表へ書き込む
メモであれば『掘削の段取りをする』と書いてしまうところ、段取りメモの場合は掘削の段取りに必要なものを全て記入します。
例えば、法面の養生のために必要なブルーシート、鉄筋、土嚢袋、砂利など、ひと言に段取りと言っても必要なものは沢山あります。
これらの物がいつまでに必要なのかを考え、手配しなければいけない日程の下段に『ブルーシート手配』、『鉄筋手配』などと書き込みます。
また、手配する前にはそれらの数量を数えなければならないはずなので、『ブルーシートの数量を数える』と、『鉄筋の数量を数える』などと手配日の前日部分に書いておきます。
自然と段取り上手になる方法
段取りメモには、頼まれたことだけではなく、頼まれたことに対して必要なことは何なのか、またそれはいつまでにやらなければならないかを遡って考え、やらなければいけない日の表にメモをします。
何か指示を受けた時、それを実現させるために必要なことを、常に遡って考えましょう。
自分が今日何をしなければならないのかを一目瞭然にすることで、おのずと次の段取りを準備していることになるんです。
日付ごとの表になっているので、遡って段取りメモをする際に、この日はやることが多いから、こっちの日にやっておこうと自然と調整もできます。
当然、その日にやらなければいけない仕事が出てくることもあるでしょう。
そんな時は今日の部分の表に書き込みをし、終わったものから線を引いて消していきます。
その日やるべきことを明確にしてどんどんクリアすることを繰り返すだけで段取りが上手くできるようになってくるのです。
メモをすることも大事ですが、そのメモしたことを行動に移せるかどうかが鍵だと思います。
いつまでにやらなければいけないという書き方ではなく、遡っていつにやるというメモをすることで、取りこぼしなく進めることができるでしょう。
これであなたも段取り上手!
『段取りメモ』がいろんな意味で役立つものだとおわかりいただけたでしょうか。
段取りメモを活用することで、必ず遡るという癖がつくようになります。
やらなければならないことに対して、遡って必要なことを考える癖がつくことで、おのずと段取りが頭の中ですらすらと組み立てられるようになっていきます。
1年くらい続けることで、自分の特性も分かってくると思うので、その時は忘れそうなものだけメモすると減らしていくのもよいでしょう。
ぜひ、『段取りメモ』を活用して、段取り上手に成長していただきたいなと思います。