SNSの普及により、私たちの日常生活やビジネスの風景は大きく変化しました。特に建設業界では、SNSを効果的に活用することで採用活動の効率化や社員教育の質を大幅に向上させることが可能です。
SNSの持つ即時性と広範なリーチは、企業にとって強力なツールとなりますが、その利用には情報漏洩や誹謗中傷といったリスクも伴います。本記事では、建設業界におけるSNSの最適な活用方法について、採用活動と社員教育の観点から詳しく解説します。
この記事を書いた人
株式会社 RaisePLAN 代表取締役
武田 祐樹(たけだ ひろき)
【これまでの活動】
- 総合建設業に17年在職後、独立起業。
- 建設現場の生産性向上支援や施工管理の教育支援を展開。
- 中小企業デジタル化応援隊事業(中小企業庁)のIT専門家。
- YouTubeや音声配信、Instagram・メールマガジンなどで情報発信を行い、電子書籍の出版やオンライン講師、オンラインセミナー活動に積極的に取り組む。
- 建設業の現場効率化の仕掛け人としてAbemaPrimeに出演(2023年3月)。
建設業におけるSNSの重要性と危険性
まずは、SNSが建設業にとってどのような影響を与える存在であるかを説明します。
SNSの基本とその影響
SNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)は、インターネットを通じて他者と瞬時に情報を共有できるツールであり、LINEやYouTube、Twitter、Instagramなど、多くのプラットフォームが存在します。その手軽さと情報の伝達スピードにより、SNSは私たちの生活を大きく変えました。たとえば、LINEでは友人や家族とのコミュニケーションが瞬時に行えるため、遠く離れた人とも気軽に連絡を取ることができます。また、YouTubeでは教育コンテンツや趣味の動画を通じて学びや娯楽を楽しむことができます。
しかし、その匿名性から情報の流出や誹謗中傷といったリスクも伴います。匿名性が高いSNSプラットフォームでは、ユーザーが無責任な発言を行いやすく、これが誹謗中傷やデマの拡散に繋がることがあります。また、プライバシーの侵害や個人情報の漏洩といった問題も発生しやすいです 。
情報収集の時代
現代では、SNSの普及により情報の収集と発信が瞬時に行える時代になりました。特に建設業界では、SNSを活用した情報発信が少ないため、若者が業界の最新情報や実態に触れる機会が限られています。この情報の不足が、建設業界の閉鎖的なイメージを固定し、人手不足やブラック化という悪循環を引き起こしています 。
情報発信の重要性
情報は誰かが発信することで初めて他者に伝わり、収集されます。建設業界においても、業界のリアルな姿を積極的に発信することが重要です。例えば、新しいプロジェクトの進捗状況や成功事例、現場での安全対策などをSNSで発信することで、業界の透明性を高めることができます 。透明性の向上は、企業の信頼性を高め、求職者や顧客からの信頼を獲得する上で非常に有効です。
若者の情報リテラシー
若い世代は生まれながらにして情報化社会に慣れ親しんでおり、SNSの活用能力が非常に高いです。彼らはSNSを駆使して情報を発信し、収集する能力を持っています。この世代に対して、SNSの利用を禁止することは逆効果です。むしろ、適切なルールを設けてSNSを活用する方法を教えることが求められます 。例えば、情報の信頼性を見極める方法や、プライバシーを保護するための設定などを教育することで、彼らのリテラシーをさらに高めることができます。
SNSを活用した業界の魅力発信
SNSを利用して建設業界の魅力を発信することは、業界のイメージを刷新し、若者を引きつけるために非常に効果的です。例えば、現場での働きがいや達成感、最新技術の導入事例などを発信することで、建設業のポジティブな側面を強調できます。具体的には、プロジェクトの成功事例や現場での工夫、安全対策の取り組みなどを発信することで、企業の努力や価値を伝えることができます 。
情報交換の促進
情報の発信と収集が一方的になると、情報の交換が生まれず、業界の発展が遅れる原因となります。建設業界でも、SNSを通じた情報交換が活発になることで、新しい技術や知識が共有され、業界全体のレベルアップが期待できます。これにより、業界の閉鎖的なイメージが改善され、人手不足やブラック化の解消につながります。情報交換の活性化は、業界内外の連携を促進し、新たなビジネスチャンスを生み出す可能性も高まります。
採用活動におけるSNSの役割
SNSは採用活動において強力なツールとなり得ます。特に若者が職を探す際にSNSを利用する傾向が強い今、企業が適切にSNSを活用することは非常に効果的です。しかし、その効果を最大限に引き出すためには、採用の目的を明確にすることが不可欠です。採用はただ人数を増やすことではなく、企業文化に合致し、長く貢献してくれる人材を見つけることが真の目的であるべきです。
SNS発信の落とし穴
多くの企業が犯しがちなミスは、魅力的な条件を前面に押し出しすぎることです。「高給与」や「完全週休二日」などの条件を強調することで多くの応募者を引きつけることはできますが、実際の職場環境とのギャップによって新入社員がすぐに辞めてしまうという問題が生じます。これでは、採用コストや教育にかけた時間が無駄になり、企業にとって大きな損失となります。
正直な発信の重要性
SNSでの発信は、正直で透明性があるものである必要があります。たとえ厳しい労働条件であっても、それを隠さずに伝えることで、その条件に合致した人材が応募してくることになります。労働環境が厳しいが、その分責任のある仕事を早期に経験できるという点を強調することで、キャリアアップを望む人材を引きつけることができます。
真の目的の達成
SNSを利用した採用の真の目的は、多くの応募者を集めることではなく、企業文化に合う、長く働いてくれる人材を確保することです。これを実現するには、企業のリアルな姿を伝え、企業理念に共感してもらえる人材を引き寄せることが重要です。このようにして、入社後も長期にわたり貢献してくれる人材を確保することができます。
ルールを決め、SNSを活用しよう!
SNSは生活の一部になっており、見て見ぬふりはできません。確かに危険性はありますが、うまく活用すればPR力も高いのです。「危ない側面があるから使わせない」という発想ではなく、「PRのためにうまく活用してもらう」という考え方が自然です。
そのためには、しっかりとした基礎知識が必要です。何がダメで、何がいいのか。その線引きをしっかりと教育しておく必要があります。
まとめ
SNSを活用した採用活動と社員教育は、建設業界において大きな可能性を秘めています。適切な戦略とルールを設けることで、企業の透明性や魅力を高め、質の高い人材を引きつけることができます。SNSを通じた情報発信は、業界のポジティブな側面を広め、若者にとって魅力的な職場環境をアピールする絶好の機会です。
しかし、SNSの利用には常にリスクが伴うことを忘れてはいけません。情報漏洩や誤解を招く発信を防ぐためには、従業員への教育と適切な管理が不可欠です。企業全体でSNSの正しい使い方を共有し、安全かつ効果的な情報発信を行うことで、企業のブランドイメージを守りつつ、さらなる成長と発展を目指しましょう。
SNSの力を最大限に活用し、建設業界の未来を共に築いていきましょう。