工区分けで工期を短縮する方法|工程を重ねる仕組みと施工管理の注意点を解説

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建築工事では、限られた工期の中で作業を進めなければならない場面が多くあります。その際に大きな効果を発揮するのが、工程を並列化する「工程を重ねる」という手法です。この考え方を正しく理解すると、工事全体を効率化し、工期を大きく短縮することができるようになります。

一方で、工程を重ねることには管理負荷の増加や安全リスクの上昇も伴うため、正しく計画しなければ逆効果になることもあります。本記事では、工区分けを活用した工程短縮の仕組みから注意点までを、現場で使える内容としてわかりやすく整理していきます。

株式会社 RaisePLAN 代表取締役
武田 祐樹(たけだ ひろき)

【保持資格】

  • 一級建築士
  • ー級建築施工管理技士
  • 一級土木施工管理技士

【これまでの活動】

  • 総合建設業で施工管理として17年勤務後、独立起業。
  • 建設現場の生産性向上施工管理の教育支援を展開。
  • 中小企業庁「デジタル化応援隊事業」のIT専門家
  • YouTubeチャンネル建設業を持ち上げるTV』を運営し、登録者1.2万人を獲得。教育特化長尺動画が8万回再生を突破。
  • Instagramや音声配信など多メディアで情報発信
  • 電子書籍出版オンラインセミナーを精力的に実施。
  • 2023年3月、AbemaPrime出演で現場効率化施策が注目。

記事の監修

腕組みをする運営者

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目次

工程を重ねるとは何か

工期短縮の最も基本的な方法が、建物を複数の「工区」に分け、工種ごとに順番に移動しながら作業を進める方法です。

たとえばA・B・Cの3つの工種があり、それぞれ3日ずつ作業が必要な場合、通常はA→B→Cと進むため、合計9日かかります。しかし建物を3つの工区に分けると、作業の進め方を変えることができます。

A工種は1日目に第1工区、2日目に第2工区、3日目に第3工区を終わらせる流れになります。そしてAが抜けた第1工区ではBが作業を開始し、翌日に第2工区、さらに翌日に第3工区と追いかけていきます。同様にC工種も後から追随します。

この結果、A・B・Cの作業が工区ごとに同時進行し、全体の工期は9日から約5日へと大幅に短縮できます。これが工程を重ねる仕組みであり、工区分けを行う最大のメリットです。

工期短縮が可能になる理由

工区分けを活用することで、各工種が建物全体を終えるのを待たず、エリア単位で次の工種が入れる流れ」をつくることができますこれにより、現場がライン作業のように循環し、作業の停滞がなくなります。

また、この方法は複数工種を同時に投入しやすくするため、無駄な待ち時間や段取り替えのロスが減り、現場全体の稼働率が向上します。現場のスピードが求められる場面では非常に有効な方法です。

人数が増えることによる注意点

工程を重ねて工期を短縮する方法は非常に有効ですが、その裏側では現場に入る作業員の数が大幅に増えるという特徴があります。これは工程管理において最も重要なリスク要因のひとつです。

たとえばA・B・Cの3つの工種があり、それぞれ10人ずつのチームで作業するとします。
通常の順番で作業を行う場合、
・1日目:Aのみ(10人)
・2日目:Aのみ(10人)
・3日目:Aのみ(10人)
というように、常に10人程度の規模で現場が動きます。

しかし、工区を分けて工程を重ねる進め方に切り替えると状況は大きく変化します。
・1日目:Aのみ → 10人
・2日目:A+B → 20人
・3日目:A+B+C → 30人
というように、最大で本来の3倍もの人数が同時に現場で作業する状態になります。

この「人数の増加」が何を意味するかというと、
・トラブル発生率の増加
・安全リスクの上昇
・現場管理の難易度アップ

といった複数の問題が連動して起こるということです。

具体的には以下のような状況が発生しやすくなります。

  • 作業動線が干渉しやすくなる
    複数の工種が同じ工区内に入り込み、移動の導線が重なります。
    互いにスペースを奪い合い、作業の邪魔になったり、工具や材料に足を引っかける原因にもなります。
  • 材料・工具の置き場が不足する
    人数が増えれば、持ち込まれる資材・工具の量も増えます。
    本来の置き場がすぐにいっぱいになり、仮置きスペースが散乱し、管理が行き届かなくなるリスクがあります。
  • 確認不足・伝達不足が起こりやすい
    別の工種と作業エリアが近くなることで、どこまで仕上がっているのか、どこに危険箇所があるのかの確認が難しくなります。
    その結果、施工ミスや手戻りが発生し、かえって工程に影響が出る場合もあります。
  • 騒音・粉じんなどの環境変化で注意力が散漫になる
    人数が増えると作業音が重なり、コミュニケーションも取りづらくなります。
    これにより事故のリスクが増し、作業者の集中力も削がれやすくなります。

このように、工程を重ねることで工期短縮は実現できますが、同時に人数が増えることで複合的なリスクが発生する点を理解しておく必要があります。特に作業員が多い現場では、動線の干渉や資材の散乱が起こりやすく、管理の難度が一気に高まります。

また、人数増加は安全面のリスクにも直結します。複数の工種が同時に作業する状況では、
・接触事故
・墜落・転落の危険
・作業音や粉じんによる環境悪化
など、事故要因が増えるため 通常以上の安全管理が必須 となります。

そのため、工程を重ねる計画を立てる際には、自分たちが管理できる人数の範囲を正確に見極め、その範囲内で工区数を設定することが重要です。

工区分けは増やせばよいわけではない

工区を増やせば理論上は工期を短縮できますが、現場には必ず物理的な限界があります。たとえば狭い部屋を無理に多数の工区に分けても、職人が同時に作業できなかったり、材料置き場が確保できなかったりするため、実際の運用は困難です。

そのため、一般的な規模の現場では、三つから四つ程度の工区に分けるのが、管理面と作業効率の両方で最もバランスが取れているとされています。工区分けは「増やすほど良い」というものではなく、現場が安全に動き、管理者が十分に把握できる範囲で行うことが何より重要です。過度に細かく分けすぎると、かえって作業の干渉や手戻りが増え、工程が乱れる原因にもなり得るため注意が必要です。

まとめ

工程を重ねるという手法は、建築現場において工期を短縮するための非常に効果的なテクニックです。工区ごとに作業を進めることで、複数の工種を並行して投入でき、全体の進捗を大幅に加速できます。

しかし人数増加による管理負担や安全リスクも大きくなるため、工区数の設定は慎重に行う必要があります。自分たちが管理できる範囲を理解し、適切な工区分けと工程計画を行うことで、スピードと品質の両立が可能になります。

仕組みを理解できれば、あとは現場で経験を積みながら応用を広げていくことができます。ぜひ日々の現場管理に活かしてみてください。

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