今回は「若手育成の第3フェーズ」についてお話しします。
これまでの第1フェーズでは、会社のために基本的なルールやプロセスを守ることを学びました。第2フェーズでは、自分の判断で現場を動かす楽しさと責任を経験してきました。そして、いよいよ次のステージへ進むときが来ました!
この第3フェーズでは、現場全体を管理する力が求められます。単なる作業の進行ではなく、全体の状況を見渡し、予測不能な問題にも対応できる柔軟なスキルを養うフェーズです。ここで得られるスキルは、あなたを現場リーダーへと成長させ、チーム全体をまとめる強い力となるでしょう。
この記事を読むことで、現場管理の本質や具体的なスキル、そしてその重要性を理解することができます。3年から10年かけて到達するこのステージで、どのように自分を成長させ、現場をより良い方向に導けるのか。その答えがここにあります!
さあ、一緒に現場管理のスキルを磨き、次のステージへと進んでいきましょう!
この記事を書いた人
株式会社 RaisePLAN 代表取締役
武田 祐樹(たけだ ひろき)
【これまでの活動】
- 総合建設業に17年在職後、独立起業。
- 建設現場の生産性向上支援や施工管理の教育支援を展開。
- 中小企業デジタル化応援隊事業(中小企業庁)のIT専門家。
- YouTubeや音声配信、Instagram・メールマガジンなどで情報発信を行い、電子書籍の出版やオンライン講師、オンラインセミナー活動に積極的に取り組む。
- 建設業の現場効率化の仕掛け人としてAbemaPrimeに出演(2023年3月)。
「現場を動かす力」と「現場を管理する力」の違い
まず、「現場を動かす力」とは、主に決められたプロセスに従って、仕事を進めるスキルです。
例えば、資材を発注したり、職人を手配したり、工期に合わせて作業を進めるなど、明確な手順を踏んでいけば進行できる作業が中心です。この段階では、「決められたルールに沿って動くこと」が主な役割となります。つまり、ある程度の知識と経験があれば現場を「動かす」ことはできるのです。
しかし、これに対して「現場を管理する力」とは、もっと深いレベルの理解と判断力が必要です。現場管理者は、ただ単にスケジュールに沿って作業を進めるだけではなく、次々と起こる予期せぬ問題に対処し、現場全体の安全性、品質、進行状況を常に見守らなければなりません。
たとえば、発注した資材が届いたとして、それが本当に図面通りか、品質に問題はないか、安全面で不備はないかなどをチェックし、その場で判断して即座に対応できる能力が求められます。
若手が身につけるべき「最適解を選ぶ力」
現場では常に予想外の出来事が発生し、計画通りに進まないことが多々あります。そんなときに必要なのが最適解を選ぶ力です。
どれだけ綿密に計画を立てたとしても、工事現場では突然のトラブルや変更が頻発します。たとえば、地面を掘ってみたら予期しなかった障害物が出てきたり、資材の納期が遅れたりすることもあります。こうした突発的な状況では、マニュアル通りの対応では不十分です。そこで、若手が身につけるべき重要なスキルが、瞬時に状況を把握し、最適な判断を下す力です。
最適解を選ぶ力とは、計画がうまく進まないとき、その時点で得られる情報をもとに、限られた時間内で最も適切な選択をする力です。この力は、経験や知識、そして柔軟な思考で磨かれていきます。若手がこのスキルを身につけることは、自身の成長に直結し、現場をスムーズに進めるためには欠かせない要素となります。
現場では「これが正解!」という明確な答えがないケースが多く、むしろその場で最適な判断を下す力が求められます。この判断力を若手が鍛えることこそが、次のステップである現場リーダーや所長へ成長するためのカギとなるのです。
リーダーとしての現場管理:チーム全体をまとめる指揮者
現場管理者の最大の役割は、一人で決断することではなく、チーム全体が安心して働ける環境を作り上げることです。現場運営の成功は、施主、職人、管理者、物資供給者など、さまざまな立場の関係者が一丸となり、協力し合えるかどうかにかかっています。リーダーとしての現場管理者は、こうした多様な関係者がスムーズに連携できる環境を整え、全員が最高のパフォーマンスを発揮できる場を作り出す指揮者のような存在です。
例えば、施主は「工事がスケジュール通りに進むか」「品質に問題はないか」といった不安を抱え、職人は「作業の指示は適切か」「必要な資材が揃うか」と心配しています。供給者は納期や品質の確保が課題です。それぞれ異なる視点を持つ彼らが、安心して自分の仕事に専念できるように、現場管理者は状況を見極め、必要な情報を共有し、全員が一つのゴールに向かって進める環境を提供するのです。
この環境を作るためには、リーダーとしての高いコミュニケーション力と判断力が必要です。どんなトラブルが起きても、現場の進行が滞らないように、適切な情報共有とサポートを行い、「この現場なら安心だ」と全員が信頼を持てるリーダーシップを発揮することが求められます。
自分の価値観を持って決断する力:リーダーとしての本質
現場管理者としての第3フェーズで最も重要なのは、自分の価値観に基づいて正しい決断を下す力です。図面や計画書に書かれていることだけをそのまま実行するのではなく、現場の状況を的確に見極め、その場で最適な提案を行うことが求められます。プロジェクトは常に計画通りに進むとは限りません。むしろ、現場は生き物のように日々変化し、予測不能な状況が次々と現れます。この動きの中で、瞬時に正しい判断を下すには、自分の経験と信念が強い武器になります。
たとえば、現場での決断が必要なとき、図面通りの判断が必ずしも現場にとってベストな選択とは限りません。そこで、これまで培ってきた経験や直感、さらに自分自身の価値観が重要になります。過去の現場での成功体験や失敗から学んだ教訓を生かしながら、自分の判断基準で最適な選択をすることが、リーダーとしての成長を促します。
現場管理者として、最終的に必要なのは「この状況で、自分ならどうするか?」という自分自身の答えを持つことです。他人の意見や指示だけに頼るのではなく、最前線に立つ自分が、その場の状況に即した判断を下せる力こそが、現場を成功に導くためのカギとなるのです。
リーダーとしての現場管理者は、他者の意見を尊重しつつ、自らの価値観と経験に基づいた確信ある決断を下すことで、チーム全体を引っ張っていく存在です。これは単なる技術や知識の積み重ねだけではなく、自分の信念を現場で具体的な行動に変えていく能力です。
まとめ:現場管理を通じてリーダーシップを高める
第3フェーズで「現場管理者」としての基礎を築いた若手は、次第に現場全体を見渡すリーダーへと成長します。そして、現場管理のスキルを身につけたリーダーが増えることで、チーム全体の士気や生産性も向上するのです。
次のフェーズでは、さらに一歩進んだ「会社との連携」が求められますが、まずはここで現場管理の力をしっかりと磨いていきましょう!
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