「業務を効率化したいんですが…」
そう上司に提案しても、「今のやり方のほうが安心」「前に試したけどダメだった」と、あっさり却下されたことはありませんか?
その原因のひとつが、「効率=削減・時短」と一面的に伝わってしまうことです。
でも、効率には2つの意味があります。
1つ目は「無駄を省く」──時間や工数を削減する視点。
2つ目は「うまくやる」──誰がやっても同じ成果を出せるようにする視点です。
この2つをきちんと区別し、セットで提案することで、「削る=質が落ちる」といった誤解を防ぎ、納得される提案に変わります。
この記事では、新規入場者教育の動画化という身近な事例を使いながら、
- なぜ「効率化提案」が通らないのか
- どうすれば上司に刺さる説明になるのか
- 現場で本当に効果のある改善とは何か
を具体的に解説します。
「提案が通らない」と悩む方にこそ読んでほしい内容です。
株式会社 RaisePLAN 代表取締役
武田 祐樹(たけだ ひろき)
【保持資格】
- 一級建築士
- ー級建築施工管理技士
- 一級土木施工管理技士
【これまでの活動】
- 総合建設業で施工管理として17年勤務後、独立起業。
- 建設現場の生産性向上と施工管理の教育支援を展開。
- 中小企業庁「デジタル化応援隊事業」のIT専門家。
- YouTubeチャンネル『建設業を持ち上げるTV』を運営し、登録者1.2万人を獲得。教育特化長尺動画が8万回再生を突破。
- Instagramや音声配信など多メディアで情報発信。
- 電子書籍出版やオンラインセミナーを精力的に実施。
- 2023年3月、AbemaPrime出演で現場効率化施策が注目。
記事の監修

株式会社 RaisePLAN 代表取締役
武田 祐樹(たけだ ひろき)
【保持資格】
- 一級建築士
- ー級建築施工管理技士
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【これまでの活動】
- 総合建設業で施工管理として17年勤務後、独立起業。
- 建設現場の生産性向上と施工管理の教育支援を展開。
- 中小企業庁「デジタル化応援隊事業」のIT専門家。
- YouTubeチャンネル『建設業を持ち上げるTV』を運営し、登録者1.2万人を獲得。教育特化長尺動画が8万回再生を突破。
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「効率」には2つの意味がある
業務改善や現場改革の話になると、よく出てくるのが「効率化」という言葉です。でも、この“効率”という言葉、実は1つの意味だけで使ってしまうと、誤解を生むことがあります。
効率には大きく分けて2つの意味があります。1つは「無駄を省く」。もう1つは「うまくやる」。この2つを区別して考えることが、上司の納得感を生む提案や、現場で定着する改善の鍵となるのです。
① 無駄を省く(=時間や工数の削減)
まずは最もイメージしやすい「無駄を省く」という効率です。これは、「今やっている作業をどれだけ少ない時間・少ない工数で済ませられるか」にフォーカスした考え方です。
たとえば、現場でこんな声を聞いたことはないでしょうか?
- 「毎朝の新規入場者への説明、時間も手間もかかって大変…」
- 「紙のチェックリストだと確認や保存が煩雑で非効率だよね」
- 「Excelでの現場日報、いちいちデータを送るのが面倒だ…」
こうした課題に対して、「動画で教育」「チェックリストのデジタル化」「クラウドへの移行」などの改善策がよく挙げられます。
これらはすべて、現場にかかっている“余計な負担”を減らすという視点での効率化です。いわば、今ある作業を“減らす”ための改善です。
② うまくやる(=品質・再現性・標準化)
しかし、もうひとつ重要な視点があります。それが「うまくやる」という効率。
こちらは、単に作業を減らすのではなく、「どうすれば、誰がやっても同じように、ミスなく、質を落とさずにできるか」を重視する考え方です。
たとえば、教育の場面でありがちな悩みはこうです。
- 担当者によって説明内容や伝え方がバラバラになる
- 忙しいと説明を端折ってしまう
- 慣れてくると、大事なポイントをうっかり抜かしてしまう
こういったリスクを防ぐには、「仕組みで質を担保する」という考えが必要です。たとえば、あらかじめ台本を作って編集された動画を使えば、誰が見ても同じ説明を受けられますし、内容の抜け漏れもありません。
このように、やるべきことを、確実に・上手に・誰でも再現できるように整えること。それが、「うまくやる」というもう一つの“効率”なのです。
実例:新規入場者教育の動画化がもたらす「2つの効率」
新規入場者教育とは、現場に初めて入る職人さんや作業員に対して、安全ルール・作業エリア・禁止事項などを説明する初回教育のことです。事故やトラブルを防ぎ、スムーズな作業を進めるためには欠かせない工程ですが、現場では次のような声も少なくありません。
「新規の職人さんが来るたびに、毎回説明してるけど…これって本当に必要?」
「忙しいときに限って、新人が来るんだよなあ…」
教育は大事。でも、そのたびに毎回現場の誰かが時間を割くのは、非効率とも言えます。
ここで重要なのが、「効率」の2つの視点です。
① 無駄を省く効率(時間短縮・負担軽減)
朝7:50。安全帯をつけながら、ヘルメットをかぶって「そろそろ朝礼だ」と思っていたそのとき。
「今日、新しい職人さん来るって聞いてる?」
「あー…また説明しないと…」
このように、バタバタの時間帯に教育を挟むと、1人あたり10〜15分の説明が1日数回発生。結果として、1時間近くが消耗されることも珍しくありません。
その間、他の段取りはすべてストップ。
「この作業、午前中で終わる予定だったのに…」
という声が出るのも当然です。
教育内容を動画にまとめておけば、新人が来たら 再生ボタンを押すだけ。
- 説明の手間ゼロ
- 時間の読みも正確
- 社員は別の業務に集中できる
“時間を奪われる構造”を断ち切るのが、「無駄を省く効率」の考え方です。
② うまくやる効率(品質維持・事故防止)
次に考えたいのは、「本当に伝えるべきことが伝わっているか?」という視点です。
現場では、こんな“あるある”が起きがちです。
- 忙しくて説明を飛ばしてしまう
- 慣れてきたせいで大事な注意点を言い忘れる
- 新人に遠慮して、肝心なことを曖昧に伝えてしまう
こうした「伝え方のバラつき」や「抜け漏れ」が、後々のヒヤリ・事故につながるリスクもあります。
動画化すれば
- 話す内容は常に同じ
- 重要ポイントも漏れずに伝えられる
- イラストや図解で視覚的に理解しやすい
しかも、一度作った動画は何度でも使える。誰が見せても、品質は変わりません。つまり、教育の属人化を防ぎ、標準化された“うまくやる仕組み”が完成します。
現場改善の提案は「敬意」と「効果」をセットで伝える
どんなに良い改善案でも、伝え方を間違えると相手の反発を招き、前に進まなくなることがあります。特に、上司やベテランに対して「非効率」「無駄」といった言葉をストレートにぶつけてしまうと、「今までのやり方を否定された」と受け取られる可能性が高まります。
NG例:否定から入る提案
「これ、無駄なのでやめませんか?」
このような言い方は、たとえ事実であっても、感情的な反発を招きやすく、改善提案そのものが通らなくなってしまうことがあります。
OK例:価値を認めたうえで、新しい選択肢を提示
「今のやり方は、長年の経験に基づいて構築された、非常に優れた方法だと思います。ただ、それを動画にして残せば、誰が対応しても同じレベルで伝えられるようになります。さらに、現場での説明にかかる時間や労力も減らせるので、質を落とさずに効率化が図れます。」
このように、「これまでの価値を認めたうえで、新しい手法を加える」という形で伝えると、相手にも納得してもらいやすくなります。
効率の2つの視点を併せて伝える
改善提案の際には、「無駄を省く」と「うまくやる」という、効率の2つの視点をセットで伝えることが重要です。
- 無駄を省く: 時間削減・負担軽減・手間の省略
- うまくやる: 品質維持・標準化・属人化の解消
この2つを組み合わせて提案することで、単なる「削減」ではなく「全体の仕組み改善」という説得力が生まれ、相手の理解と納得を得やすくなります。
まとめ|“2つの効率”で、提案は一段深くなる
業務改善を提案するとき、「時間削減」だけを強調すると、“質は落ちないの?”という不安を生むことがあります。だからこそ、
- 「無駄を省く」= 時間や負担を減らす
- 「うまくやる」= 品質・再現性を保つ
この2つをセットで伝えることが、相手の納得と現場の変化を引き出す鍵になります。
効率の種類 | 内容 | 具体例 |
---|---|---|
無駄を省く | 作業時間の削減・自動化 | 動画化、チェックリストのデジタル化、クラウド管理 |
うまくやる | 品質の標準化・属人化の解消 | 台本付き動画、図解付きマニュアル、教育の均質化 |
もしあなたが「業務をもっと良くしたい」と考えているなら、次の提案ではこの“2つの効率”を意識してみてください。
提案の伝わり方が変わり、現場が動き出す第一歩になるはずです。
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