建設業界は、日本の社会を支える重要な産業です。けれど同時に「人が足りない」「長時間労働が当たり前」「世代交代がうまくいかない」など、課題が山積しているのも現実。
私自身、現場監督として17年間を過ごしてきましたが、その中でずっと感じてきたのは現場を支える施工管理という仕事は、社会的にも組織的にも、もっと大事にされるべきだということでした。
今回、SAT株式会社さんからお声がけをいただき、私が調査設計と分析を担当し、施工管理に関わる建築・土木・電気・設備・通信など幅広い領域、そして若手からベテランまで多様な世代の588名の声を集めたホワイトペーパーを完成させました。
自分自身がずっと気になっていたテーマ「施工管理という仕事に携わる人たちは、今どんな気持ちで働いているのか?」「どんな未来を描いているのか?」を、データとして明らかにしたい。その想いで取り組んだ調査です。
改めて、このアンケートにご協力いただいた皆さまに心から感謝申し上げます。お一人おひとりの率直な声があったからこそ、今回のホワイトペーパーは実現しました。
現場で働く方々の思いや課題を、しっかりと次の未来につなげていきたいと思います。
本調査では、施工管理技術者588名の回答をもとに「キャリア」「モチベーション」「働き方の変化」をデータとして可視化しました。現場の声を数値化したことで、従来の経験則や感覚に頼らない、客観的な示唆を得ることができます。
- 採用担当者:若手人材が何を重視しているのかを把握し、魅力的な採用戦略を立てられる
- 教育担当者:研修や教育制度の改善に活かし、現場に即した学びの設計ができる
- 経営層・管理職:社員の定着率やモチベーションを高める具体的なアクションの検討材料になる
つまり本調査は、「施工管理に関わる人材をどう採用・育成・定着させるか」という経営課題に対して、リアルな現場データに基づく実践的なヒントを提供するものです。
株式会社 RaisePLAN 代表取締役
武田 祐樹(たけだ ひろき)
【保持資格】
- 一級建築士
- ー級建築施工管理技士
- 一級土木施工管理技士
【これまでの活動】
- 総合建設業で施工管理として17年勤務後、独立起業。
- 建設現場の生産性向上と施工管理の教育支援を展開。
- 中小企業庁「デジタル化応援隊事業」のIT専門家。
- YouTubeチャンネル『建設業を持ち上げるTV』を運営し、登録者1.2万人を獲得。教育特化長尺動画が8万回再生を突破。
- Instagramや音声配信など多メディアで情報発信。
- 電子書籍出版やオンラインセミナーを精力的に実施。
- 2023年3月、AbemaPrime出演で現場効率化施策が注目。
記事の監修

株式会社 RaisePLAN 代表取締役
武田 祐樹(たけだ ひろき)
【保持資格】
- 一級建築士
- ー級建築施工管理技士
- 一級土木施工管理技士
記事の監修

【これまでの活動】
- 総合建設業で施工管理として17年勤務後、独立起業。
- 建設現場の生産性向上と施工管理の教育支援を展開。
- 中小企業庁「デジタル化応援隊事業」のIT専門家。
- YouTubeチャンネル『建設業を持ち上げるTV』を運営し、登録者1.2万人を獲得。教育特化長尺動画が8万回再生を突破。
- Instagramや音声配信など多メディアで情報発信。
- 電子書籍出版やオンラインセミナーを精力的に実施。
- 2023年3月、AbemaPrime出演で現場効率化施策が注目。
施工管理のキャリアとモチベーション調査を行った背景
調査を始めるとき、まず考えたのは「いま現場で働いている人たちの本音を、きちんと数字で見える形にする」ということでした。
施工管理の世界は、とにかく属人的になりがちです。
・指導の仕方も上司によってバラバラ
・やりがいを感じる瞬間も人それぞれ
・転職や独立を考える人もいれば、安定を望む人もいる
こうした「多様さ」がある一方で、業界の制度や教育の仕組みはまだまだ一律的。「一斉に残業を減らす」とか「全員に同じ研修を受けさせる」といった対応だけでは、本当の課題解決にはつながらないんじゃないか。そう思ったのが出発点です。
施工管理588名の回答から見えたキャリアと働き方の変化
実際に集まった588人の回答を分析してみると、はっきりと時代の変化が浮かび上がってきました。
- 若手ほどデジタル志向が強い
図面作成やDXスキルへの関心が高く、従来の資格対策だけでは満足しなくなっています。 - 中堅層は「育成」や「説明力」に関心
自分が学ぶだけでなく、人を育てる役割を意識する声が多く聞かれました。 - やりがいの源泉は「成果が形になること」や「感謝されること」
報酬や評価制度ももちろん大切ですが、それ以上に「現場での実感」が人を支えているとわかりました。 - 副業や転職に前向きな層が4割近く存在
「収入アップ」を理由にする人も多いですが、一方で「新しい成長の場を求めたい」というポジティブな声も目立ちました。
そしてもうひとつ、大きな流れとして見えてきたのは、「学び方の変化」です。アンケートでは、動画やオンラインでの学習スタイルが最も支持を集めていました。すでに“動画で学ぶ”ことは特別なことではなく、日常的な選択肢になっている。これは教育や研修のあり方が確実に変わりつつある証拠だと感じています。
つまり、施工管理の仕事はこれまでの「技術力一本」から「人と技術をまとめる総合力」へと求められる役割が広がってきている。そして、そのために“動画で学ぶ文化”が自然に根付いてきているというわけです。
施工管理調査データから見えた意外な事実とは
数字を追いかけていく中で、正直驚いた点もありました。
たとえば「評価制度を重視する人ほど転職意向が高い」という結果です。普通なら「ちゃんと評価されたい=会社に残りたい」になると思いがちですが、実際はその逆。評価されたい気持ちが強いからこそ、現状に不満があると動き出してしまうんです。
逆に「人間関係」や「成長実感」を重視する人は、定着率が高い。これは僕自身の経験とも一致します。給与や制度だけでなく、「成果を見える化する仕組み」「安心して相談できる環境」をどう作るかが、会社の未来を左右するんだと改めて実感しました。
施工管理実態調査データの活用方法
今回まとめたホワイトペーパーには、採用・教育・定着のヒントがたくさん詰まっています。
- 採用活動では、若手が何を求めているのかを具体的に伝える材料になります。
- 教育の場面では、基礎とデジタルを両立させる設計の参考にできます。
- 定着のためには、人間関係や成果の見える仕組みをどう整えるかがポイントです。
「採用してもすぐ辞める」「教育が追いつかない」そんな悩みを抱える経営者や現場の方にこそ、今回のデータを役立ててもらいたいと思っています。
さいごに
建設業界の働き方は、今まさに変化のただ中にあります。従来型の「我慢と根性」から、「効率と成長実感」へ。世代交代も進むなかで、この流れを無視することはできません。
私自身、この調査を通じて「未来は暗いどころか、むしろ希望がある」と感じました。だって現場の人たちは、学びたいし、挑戦したいし、感謝されたいと思っている。その気持ちがある限り、業界は必ず良くなっていくはずです。
ぜひこのホワイトペーパーをダウンロードしていただき、皆さんの会社の採用や定着の仕組みに活かしてください。現場のリアルな声を基にしたデータが、きっと新しい一歩を後押ししてくれるはずです。
そして最後に。YouTubeでは、このアンケートをさらに深掘りし、「現場ラボならではの視点」で分析した内容をお話ししていきます。データだけでは見えてこない“リアルな裏側”にも迫っていく予定ですので、そちらもぜひお楽しみに。