施工管理の世界において、『イメージ力』の重要性を感じていませんか?
設計図をもとに建物や構造物を具現化するこの力が、現場監督の成果を大きく左右するということを、あなたはもうご存知でしょう。しかし、どうやってこの力を養えばいいのか、その方法についてお悩みではありませんか?
安心してください。この記事では、「図面の紐づけ」をマスターすることで、イメージ力を効果的に高める方法をお伝えします。具体的な構築方法を考えるための重要なスキル、そして、それを実現するための実践的なヒントを紹介します。
この記事を書いた人
株式会社 RaisePLAN 代表取締役
武田 祐樹(たけだ ひろき)
【これまでの活動】
- 総合建設業に17年在職後、独立起業。
- 建設現場の生産性向上支援や施工管理の教育支援を展開。
- 中小企業デジタル化応援隊事業(中小企業庁)のIT専門家。
- YouTubeや音声配信、Instagram・メールマガジンなどで情報発信を行い、電子書籍の出版やオンライン講師、オンラインセミナー活動に積極的に取り組む。
- 建設業の現場効率化の仕掛け人としてAbemaPrimeに出演(2023年3月)。
イメージ力が大切な理由
施工管理において、最も重要なスキルの一つが『イメージ力』です。これは、設計図から実際の建物や構造物を具現化する際に不可欠です。設計図という線と文字で描かれた絵をもとに、現場監督が建物の骨組みから内装に至るまでを的確に把握し、実現する役割を担っています。
本記事では、現場監督にとって欠かせない『図面の紐づけ』について解説します。『図面の紐づけ』とは、異なる部分を結びつけて全体像を把握するスキルのことです。これにより、現場監督は柱や梁の位置や高さを正確に理解し、他の要素との関連性を見極めることができます。また、図面だけでは見えにくい問題点や、現場の実情に合わせた解決策を見つけ出すこともできます。
『図面の紐づけ』をマスターすることは、建物の完成度や品質に直接影響します。したがって、イメージ力を高めることは、現場監督の仕事の成果に大きく影響するのです。
施工管理者の皆さんは、このスキルを向上させることで、より効率的かつ効果的にプロジェクトを進めることができます。また、より充実した職場環境を創造し、自身の存在感を高めることも可能です。
図面を身近なものと結びつける方法
図面を身近なものと結びつける方法をご紹介します。
図面は2次元の平面図であり、それがただの「絵」として認識されてしまうと、施工管理は困難です。実際の3次元の建物を目にしない限り、明確なイメージを持つことはできません。したがって、職人たちを指示し、工事現場を円滑に運営するためには、少なくとも建物のビジョンを持つ必要があります。指示を出したとしても、それが正しいのかどうかを判断するためにも、イメージは不可欠です。
しかしながら、新人や若手の頃はこれが容易ではありません。図面だけを手にして建物の全体像を思い浮かべることは、経験や知識を積み重ねなければ難しいものです。
しかし、できる限り素早くイメージをするためのヒントがあります。この方法を意識的に繰り返すことで、自然と感覚が身につくことでしょう。特に新人や若手の方には、ぜひ実践していただきたいです。
その方法は、「寸法と身の回りを結びつける」というものです。
寸法と身の回りを紐づける方法
図面と身近なものを結びつける方法をご紹介します。
例えば、設計図上に「600」という数字が書かれているとします。その横には「2000」と書かれているとします。数字をただの数字として受け取ってしまうと、それは文字の暗記と同じで、イメージには直結しにくいものです。
そこで、身の回りの物と数字を結びつけることを試してみましょう。例えば、机の高さを測ってみると750程度でしょう。椅子の高さは450程度です。すると、「600」という数字を見たときに、イメージするのは「机と椅子の中間くらい」ということです。
少し身近に感じられましたか?
次に同じく「2000」を見てみましょう。自分の身長が170cmだとすると、1700ですね。つまり、自分の身長よりも約30cm大きい寸法が2000ということになります。手を伸ばしたりするよりも少し短いくらいのイメージです。
このように、身近にある物の寸法を測ったり、その場で参考にしながら、「周りの物で言うとどのくらいの寸法なのか」を結びつけてみることで、イメージ力を素早く鍛えることができます。
これを繰り返していくうちに、単に数字にしか見えていなかった寸法が、実際のスケール感としっかりとイメージできるようになるはずです。図面をそのまま受け取ろうとするのは、経験の浅い人にとっては難しいことですから、その点を理解しましょう。
施工管理において、私たちの武器は設計図です。この武器だけを手にしています。更地の状態から始まり、頭の中に建物がイメージできるようにならなければなりません。そして、そのイメージを実現するための計画を立て、運営していくのです。
頭の中に答えがあり、それを具現化するための手法を模索し、現場を運営します。つまり、答えが頭の中にある状態でなければ、現場で起きている誤りに気付くことはできません。これが品質管理です。
正解がわからない人には、この役割は果たせません。だからこそ、イメージと現実をより近づけ、差を少なくしていくことが重要なのです。頭の中の正解に向かって、現場を動かしていくことが、現場監督の業務であり必須の能力なのです。
まとめ
施工管理において最も重要なスキルである『イメージ力』と『図面の紐づけ』についてお話しました。図面を読み解き、建物の全体像をイメージする能力は、建築物の完成度や品質に直結します。
『図面の紐づけ』は、異なる部分を結びつけ、全体像を把握する重要なスキルです。柱や梁の位置や高さを正確に把握し、他の要素との関連を理解することが求められます。また、図面上では見落としがちな部分や問題点を見つけ、現場の実情に合わせた解決策を導き出す必要があります。
イメージ力を養い、図面を的確に解釈し、建築物の具現化を実現することは、現場監督の重要な役割です。より良い建築物の実現に向けて、常にスキルの向上に努めましょう。建築現場での成功を祈っています。