特に新人、若手にとってみると、自分が全然成長していないと感じる場面は多くあります。頑張っているつもりでも、先輩の期待に応えられている気がしない。一度やったことがあるのに、うまくできない。
そういう感覚に陥ってしまい、気持ちが落ち込んでいく。最悪の場合「向いていないんだ」という結論に達して、辞めることを選択したりもします。
この「全然成長していないのではないか」というこの感覚、ほぼすべての人が感じていると言っても過言ではありません。ある程度仕事がわかってきた人にとっては忘れてしまったかもしれませんが、きっと初期の頃はそう感じていたはずなのです。
この原因は何なのか。それは「先が見えないことの不安」なのです。
先が見えないことの不安
誰しもが最初は素人です。今自分が行っている業務の意味や目的を、完全に把握できている人なんてほとんどいないでしょう。それゆえ、どこまでできるようになればOKなのか、どうなったら一人前と言えるのか。それが見えていないことが原因といえます。
ゴールが見えていないということは、登っても登っても頂上の見えない山道を進んでいるようなもの。前も後ろも見えない状況下で、「実はまだ入り口付近なのかもしれない」という不安にかられている状態なのです。
そんな中、唯一見えているものはといえば、それは先輩の背中です。きっとそこに到達すれば、進んでいるという実感も持てるでしょう。ですが先輩も人間。時間もたてば経験も増え、しっかりと成長し続けているのです。
つまり、どこまで進んでも一向に先輩の背中に近づかない。そしてゴールも見えない。そんな状態で若者は戦っていることになります。そりゃ不安になりますよね。だからこういう「成長の実感がない」という状況はとてもまずいことです。放置すると誰もいなくなってしまいます。
そんな嘆いている若者たちへ、その状況を突破する考え方を伝えたいと思います。
悩み多きあなたがとるべき行動
至ってシンプルです。【成長を、定期的に実感すればいい】だけなのです。
先が見えない、成長が感じられないという感覚になるのは、比較対象が良くないから。ゴールまでの道のりの長さから比較したくても、明確なゴールなんて誰に聞いてもわからないもの。また前を歩く先輩と比較したって、その差は簡単には縮まらないものです。
そうやって、先を見ながら頑張るのは素晴らしいことなのですが、それはとてもしんどいこと。だから、ときどき後ろを振り返りましょう。
例えば1年経った頃。親に仕事の話をしてみてください。同じ業界にいない人がいいです。どんな話をするのかというと、いつも先輩や職人さんに当たり前にしているようなことでいいのです。
おそらく話を聞く側の人は「????」と感じるでしょう。でもきっと1年前のあなたは、その人と同じポジションだったはず。それがたったの1年で、相手が何を言っているのか理解ができないほどに、専門的な話をできていることになります。
それはつまり、あなたが前に進んでいるってことではありませんか?
3年目になったなら、入社した後輩にいつもの話をしてみましょう。4年目になったら2年生に偉そうに話してみましょう。そうやって、時々自分の後ろを歩く人たちとコミュニケーションをとることにより、「自分の立ち位置」を実感してみることをお勧めします。
いつも上ばかり見上げて一生懸命頑張っていることは素晴らしいこと。その気概は尊重されるべきことです。ですが、そうやって上を向いて歩き続けるのは疲れますよ。だから時々下を見ましょう。
そこには、あなたの背中をみて「全然成長していない」と感じている若者がいるはず。それを見て、まずは自分の成長を実感してください。その上で、嘆いている後輩に言ってあげて下さい。
「上ばかり見たら疲れるだけだよ。たまには下を見ないとね。」