本記事では、現場ラボが行った現場の働き方改革11の施策の中の事例【職人との無線アプリ活用】について紹介します。
- 初期導入コスト:130,000円程度
- 必要なもの:小型スマホ端末、無線アプリアカウント
- 時間:19時間の削減
- コスト:70,000円程度増
職人さんとのやり取りを、現地に行かずに実現する方法を模索し立案したものです。今回はあくまで限定的に導入をしたため、削減効果は小さいものでした。ただ手ごたえとしては確かなものがあったように感じます。
現場監督のリモート化を見据えると、必ず「職人とのやり取りをどうするのか」問題が浮上します。大きな目的は、自宅(リモート場所)から現場までの距離を通信によってカバーすることでしたが。
ただ実際に運用してみると、現場事務所から現場までの距離も埋めることが大きなメリットとなりました。工事規模が大きくなるごとに、より高い効果を生み出す改革だと感じます。
今回は【職人との無線アプリ活用】について、基本的な使い方とメリットやデメリット、そして応用的な使い方までお話していきます。
導入の基本
従来のやり取りは電話と、それによって呼び出されての現地打合せ。事務所から現場まで遠ければ遠いほど、また建物規模が大きいほどに、そこに費やす時間は膨大でした。往復10分だとしても1日に4〜5回。1年の工期で240時間もただ移動しているのです。
職人自身のスマホを使う場合、軍手を脱ぐ必要があり面倒。また落とすリスクや雨に濡れるリスクもある。また結局現地で打ち合わせをすることになる。これを可能な限り解消するために以下の施策をとりました。
現場で防塵・防水の小型スマホを準備。物理ボタン(PTTボタン)のあるものを選定することで軍手の脱着することなく応答できるものにした。またスマホカメラを使って現地を映しながら打ち合わせもできるため、現地に行かなければいけない理由のほとんどを解消することができた。
ただ、使う人の理解度に応じて頻度が大きく変わるため、使い勝手の良さをどうやって浸透させるのかがポイントになると感じました。
メリット
- 現場に来なくてもほとんどの問題解決が可能で、移動時間が不要
- 複数人同時で応答できるため、先輩と後輩と職人で常時打ち合わせができる
- モバイル通信で動くため、現場のWi-Fi整備が不要で気軽
- 規模が大きい、事務所から現場までが遠い現場であるほど効果が高い
- 職人の待ち時間が圧倒的に無くなる
デメリット
- 設定や管理をする知識のある人間が必要
- スマホの紛失が起きる可能性がある(GPS機能で解消できる)
- 頻度が高くなりすぎると監督側がパンクする可能性がある
- 人数が多くなると、誰が持っているのかの確認が厳しくなる
応用的な活用方法
- 鉄筋と型枠、ボード工と軽量鉄骨工などでグルーピングすると効率が高い
- 基本は若手がやり取りをし、念のため先輩もつなげるのが教育面でもよい
- モバイル通信であるため、どんなに遠方の上司とでもつなげられる
- 頻繁に電話の来る職人さんにターゲットを絞るだけでも効果があると感じた
ポイントとまとめ
スマホ代は2万円台、アプリと通信で月額3~4000円程度と、現場導入コストは低い。いきなり数10台導入するのではなく、2~3台を導入して配布し、監督側はタブレットやスマホで対応するのが良いと感じました。
Wi-Fiだと活用が限定的になってしまうが、モバイル通信なのがポイント。格安SIMを活用すれば気にならない金額になる。映像を共有できる強みによって、現場までいかなければいけない場面はほとんどなくなるといってもいい。
遠隔臨場などのITツールはたくさんでてきているが、コストがかかる上に装備が大きい。また職人とのやり取りではそこまで高性能さは求められないため、今あるツールを活用するのが吉と考えます。
これは試してみないとわからない施策。遊びの感覚で、ひとまず導入してみることをお勧めします。きっと確かな効果が得られると思います。最初は照れますが、すぐに慣れるでしょう。