「本当のリーダーの役割って何だろう?ただ部下の欠点を直すことだけ?」
こんな疑問を抱えている方は少なくないでしょう。多くの人がリーダーシップを誤解していると感じている点の一つに、「リーダーは部下の悪い部分を是正することが主な仕事だ」という考えがあります。しかし、これは全くの誤解です。
結論を先に言いますが、真のリーダーシップの核心は「部下の良い部分を見抜き、それを伸ばすこと」にあります。これは、単に良い点を褒めることとは異なります。
この記事では、リーダーがどのようにして部下の長所を見抜き、それを育てることができるのかについて、具体的な方法をご紹介します。記事を読み終えた後、あなたはリーダーとしての新たな視点を持ち、部下やチームをより効果的に育成し、成果を上げることができるようになるでしょう。
部下の潜在能力を引き出し、それぞれの長所を最大限に活かすリーダーシップを身につけることで、あなたのチームや組織は新しい高みに達することができるのです。ぜひ最後までお読みください。
株式会社 RaisePLAN 代表取締役
武田 祐樹(たけだ ひろき)
【これまでの活動】
- 総合建設業に17年在職後、独立起業。
- 建設現場の生産性向上支援や施工管理の教育支援を展開。
- 中小企業デジタル化応援隊事業(中小企業庁)のIT専門家。
- YouTubeや音声配信、Instagramなどで情報発信を行い、電子書籍の出版やオンライン講師、オンラインセミナー活動に積極的に取り組む。
- 建設業の現場効率化の仕掛け人としてAbemaPrimeに出演(2023年3月)。
リーダーシップの基本
まず、相手の悪いところを指摘してしまう人は多くいます。しかし、このアプローチが基本的には何も変えないのは、その指摘があまりに具体的で狭い視野にとどまっているためです。
生きている限り、人はさまざまな意見を持ち、多くの行動をとります。これは当然のことです。その中で、具体的な出来事に対して「ダメだ」と指摘することは、大きな全体像から見ればごく一部の問題にフォーカスしているに過ぎません。
問題の根本にある考え方や価値観が変わらない限り、同じような問題は繰り返されるでしょう。たとえば、ある行動について「グーで殴ることはダメだ」と指摘したとしても、それがダメな理由を理解せずに「パーで殴るのはOK」と考えることがあるかもしれません。これは単なる屁理屈ではなく、仕事や日常生活においてもよく見られる現象かもしれません。
さらに、特定の行動を指摘する際、その行動が生まれる背後にあるプロセスや思考過程、苦悩を無視することは、相手を理解しようとしないことを意味します。殴る行為を単に指摘し、なぜその行動が起こったのか、誰かを守ろうとした背後にある思いを無視することは、真の理解と対話を欠いていることを示唆しています。
結局のところ、悪い部分をただ指摘するだけでは、問題を解決するのには不十分であることが明らかです。
良いところを「見抜く」力
「良い部分を伝える」ことがなぜダメなのか、初めて聞くかもしれませんが、その理由について考えてみましょう。一見、褒めることはポジティブな行為に思えますが、その影響は実は複雑なものがあるのです。
一般的に、褒めることは大切だとされています。素晴らしい行動や成果があったときに、肯定的なフィードバックを与えることは、その人のモチベーションを高め、満足感を提供します。しかし、この褒められることに慣れてしまうと、何が問題かと言うと、次第に「褒めてほしい」という欲求が高まり、行動の根本に変化をもたらすことがあるのです。
つまり、行動の動機が「自分が褒められたい」という目的に向かってしまい、自己主張や自己満足ではなく、他者からの評価に依存することになります。このような状態では、自分の意見や信念よりも「他人にどう思われるか」が行動の主要な要因となり、結果的には自己主張力や独立性を失ってしまうことがあります。これを「褒められ探し」と表現します。
また、褒める行為自体が、相手を「上」だと認識することを意味します。つまり、褒めることは相手に従順さを求め、指示を待つ態度を育む可能性があるのです。このような姿勢は、リーダーシップや主体性を発展させるのには不向きです。
では、どのようにアプローチすればよいのでしょうか。その答えは「良いところを見抜く」ことにあります。良い行動や結果があれば、それを単に褒めるのではなく、その裏に隠れた要因や努力を見抜くことが重要です。このアプローチを取れば、相手は自分が見ていると感じ、安心感が生まれます。結果だけでなく、過程や取り組みを認めることで、真のリーダーシップの基盤を築くことができるのです。
リーダーシップの本質: 良い部分を見抜き、自分を変える力
真のリーダーシップは、人々を単に強制的に導くことではありません。それはむしろ、個々の良い部分を見抜き、自己主張とやる気を引き出し、それぞれが自分の可能性を最大限に発揮できる環境を作り出すことです。指示待ちの状態から脱却し、自己判断と主体性を促進することが、組織の長期的な発展と繁栄のために不可欠です。
リーダーとして、私たちは周囲にポジティブな影響を与え、仕事の充実感を高める責任があります。個々の強みを活かし、仕事に対するモチベーションを高めることが、チーム全体の成果に繋がります。良い部分を見抜くことにより、自分自身を変え、それによって周囲の環境を変えることができるのです。
この記事を読んでいただいたあなたも、リーダーとしての新たな視点を持ち、部下やチームメンバーの潜在能力を引き出すことで、より健全で生産的な職場環境を築くことができるでしょう。リーダーシップは、指示することではなく、インスピレーションを与え、共に成長することです。ぜひ、今日からその一歩を踏み出してみてください。