【建設DXの進め方】中小建設会社が取るべき業務効率化の5ステップを徹底解説

現場のDXが進まない中小ゼネコンへ!業務効率化の5ステップを徹底解説

2024年4月からスタートした残業規制。皆さんの職場では、何か変化を感じていますか? もうすぐ1年が経とうとしていますが、「思ったほど効果が出ない」「いろいろツールを導入してみたけれど、結局業務負担は減っていない」——そんな声が多く聞こえてきます。

特に中小ゼネコンの現場では、DX化が思うように進まないという課題が顕著です。「業務効率化のために導入したツールなのに、むしろ施工管理の仕事が増えてしまった…」というケースも珍しくありません。これは、DXを進める上で避けて通れない重要なポイントです。

DXの本質は、単なるデジタルツールの導入ではなく、「現場の負担を減らし、業務をスムーズにすること」。つまり、現場の人間が「仕事が楽になった」と実感できなければ、DXは成功とは言えません。では、どうすれば本当に業務を減らし、DXを前進させることができるのでしょうか?

実は、DXには正しい進め方があります。一足飛びにゴールには到達できませんが、適切な手順を踏めば、確実に成果を上げることができます。今回は、その全体像をわかりやすく解説し、DXで業務負担を減らすためのステップをお伝えしていきます。

記事のポイント

この記事では、DXを成功させるための正しい進め方を学べます。

なぜDXが進まないのか? 現場の課題を明確に整理
DXの本質とは? ツール導入だけでは業務は減らない理由
5つのステップで実践! 効果的に業務負担を減らす方法

現場効率化の具体的な11の施策はこちら

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株式会社 RaisePLAN 代表取締役
武田 祐樹(たけだ ひろき)

【保持資格】

  • 一級建築士
  • ー級建築施工管理技士
  • 一級土木施工管理技士

【これまでの活動】

  • 総合建設業で施工管理として17年勤務後、独立起業。
  • 建設現場の生産性向上施工管理の教育支援を展開。
  • 中小企業庁「デジタル化応援隊事業」のIT専門家
  • YouTubeチャンネル建設業を持ち上げるTV』を運営し、登録者1.2万人を獲得。教育特化長尺動画が8万回再生を突破。
  • Instagramや音声配信など多メディアで情報発信
  • 電子書籍出版オンラインセミナーを精力的に実施。
  • 2023年3月、AbemaPrime出演で現場効率化施策が注目。

記事の監修

腕組みをする運営者

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  • 2023年3月、AbemaPrime出演で現場効率化施策が注目。
目次

なぜ中小ゼネコンは業務効率化が進まないのか

なぜ中小ゼネコンは業務効率化が進まないのか

中小ゼネコンにおいて業務効率化がなかなか進まない理由はいくつか考えられます。特に大きな要因として挙げられるのが 「人材の余裕がない」「既存の業務の見直しができていない」「DXツールの導入が目的化してしまっている」 という点です。

人材の余裕がない

まず 人材の余裕がない という点について。大手ゼネコンであれば、業務改善のための専門部署を設けたり、DXを推進する専任の担当者を配置したりすることが可能ですが、中小ゼネコンでは人員が限られているため、通常業務に追われてしまい、新しい取り組みを進める余裕がないというのが現実です。たとえ効率化を進めたいと思っても、その作業を担う人がいなければ、結局「今まで通りのやり方でやるしかない」という状況に陥ってしまうのです。

既存の業務の見直しができていない

次に 既存の業務の見直しができていない という問題。業務効率化を進めるためには、まず「何の業務を削減できるのか」「どの仕事を誰に任せるべきなのか」といった整理が必要になります。しかし、中小ゼネコンでは長年の慣習に基づいて仕事が回っていることが多く、「この業務は本当に施工管理がやるべきなのか?」という視点で見直しを行う機会が少ないのです。「これまでこうやってきたから」といった考えが根強く、新しい仕組みを導入する前に、そもそも業務の棚卸しができていないというケースが少なくありません。

DXツールの導入が目的化してしまっている

そして DXツールの導入が目的化してしまっている という点も大きな課題です。本来、DXツールは業務を効率化し、施工管理の負担を減らすための手段であるべきですが、「とりあえず導入すれば何とかなるだろう」と考えてしまうケースが少なくありません。その結果、施工管理の負担を減らすどころか、「新しいシステムの使い方を覚えなければならない」「データ入力の手間が増えた」といった状況に陥り、かえって業務が増えてしまうという本末転倒な事態になってしまうのです。

また、中小ゼネコンでは現場の職人や協力会社との連携が重要ですが、彼らが新しいツールに慣れていないと、結局「紙の資料でやり取りしたほうが早い」となり、せっかくのDX化が形だけのものになってしまうこともあります。大手ゼネコンのように一気にシステムを変えるのが難しく、「DX化=余計な手間が増える」という誤解が生まれてしまうことも、業務効率化が進まない要因のひとつです。

これらの課題を解決するためには、まず 業務の見直し を徹底し、削減できる業務を明確にすることが必要です。その上で、DXツールの導入を段階的に進め、現場の負担を増やさない形で運用していくことが求められます。業務効率化は、一気に進めるものではなく、現場の状況に合わせて慎重に取り組んでいくことが重要なのです。

DX成功のカギは「正しい手順」にあり

DX成功のカギは「正しい手順」にあり

DXを進めるうえで最も重要なのは、「順番を間違えないこと」です。多くの企業がDXに取り組む際、最初にツールの導入から始めてしまい、結果的に「業務負担が増えた…」と悩むケースが後を絶ちません。

なぜなら、DXの本質は 「デジタルツールを使うこと」ではなく、「業務を効率化し、現場の負担を減らすこと」 にあるからです。そのためには、 現状の業務を見直し、ムダを削減したうえで、適切なツールを導入する という手順を踏まなければなりません。

例えば、現場の施工管理者が「書類作成の時間を減らしたい」と考えたとします。ここで、いきなり「ペーパーレス化のためにクラウドシステムを導入しよう!」と決めてしまうと、かえって新しい操作を覚える手間が増えたり、データ入力の負担が増したりする可能性があります。まずやるべきことは、「どの業務を減らせるのか?」「事務スタッフや建設ディレクターに移せる仕事はないか?」といった整理です。そのうえで、適切なDXツールを選択することが、成功への近道となります。

DXを一足飛びに進めることはできません。業務の仕分け → 分業の推進 → DXツールの導入 という流れを意識し、確実に業務効率化を実現するための手順を踏んでいきましょう。次の章では、施工管理の負担を本当に減らすための 5つのステップ について詳しく解説していきます。

業務効率化への5ステップ

業務効率化への5ステップ

現場の負担を減らし、本当に効果のあるDXを進めるためには、正しいステップを踏むことが重要です。ただツールを導入するだけでは、かえって業務が増えてしまうこともあります。この章では施工管理の負担を減らしながらDXを成功させるための5ステップ を解説していきます。

ステップ1:業務の仕分け

まず第1段階として取り組まなければならないのは 業務の仕分け です。すべての業務を一気にDX化することはできませんし、闇雲にツールを導入しても効果は限定的です。そこで、施工管理の業務を 「単純な事務作業」「技術的な事務作業」「現場業務」 という大きなカテゴリーに分類し、それぞれの業務がどこに当てはまるのかを整理していく必要があります。この 仕分け作業を行わないままDX化を進めてしまうと、現場の負担が増えるだけで終わってしまう 可能性があるのです。

業務の仕分け方法とは?

施工管理の業務には、多岐にわたる仕事が含まれています。現場での施工指示や進捗確認といった業務だけでなく、書類作成や写真整理、発注業務、工程表の作成など、デスクワークの要素も多いのが特徴です。これらを 「どの業務が現場でしかできないのか」「どの業務はデスクワークとして事務職員が担当できるのか」 といった視点で整理していきます。

具体的には、以下のような業務が挙げられます。

① 単純な事務作業(現場でなくても、誰でもできる仕事)

・見積書の作成
・発注業務(発注書の作成・送付)
・役所や行政への提出書類作成
・工事写真の整理や電子データの管理
・各種書類のスキャンやファイリング

これらは 現場の施工管理者がわざわざやる必要のない業務 です。本来、会社の事務職員や建設ディレクターのような専門の担当者が行うべき作業ですが、現場の人手不足が理由で施工管理者自身が担っているケースが多く見受けられます。これらの作業を 「現場から切り離せる業務」として認識し、別の担当者に移行する準備をする ことが最初のステップとなります。

② 技術的な事務作業(技術者の知識が必要だが、現場でなくてもできる仕事)

・施工図の作成
・工程表の作成
・品質管理書類の作成
・安全計画の立案
・施工計画の立案
・協力業者との調整や会議資料の作成

これらの業務は技術者としての知識や経験が求められるものですが、必ずしも現場で行う必要はありません。例えば施工図の作成は、すでに外部の専門業者に依頼している会社も多いですし、工程表の作成も社内の技術チームが担当することで現場の負担を減らすことが可能です。つまり、このカテゴリに該当する業務は 外注や社内の専門スタッフに委託できる可能性がある業務」として分類する 必要があります。

③ 現場業務(現場でしかできない仕事)

・施工の進捗確認
・現場での打ち合わせ(職人や協力業者との調整)
・安全管理(現場巡回や安全指導)
・品質管理(施工状況のチェックや指示出し)
・施工指示(作業員への指示出しや問題対応)

これらの業務は、現場にいる施工管理者でなければ対応できない仕事 です。つまり、施工管理者が本来集中すべき業務はこの部分であり、先ほどの 「単純な事務作業」「技術的な事務作業」をできる限り切り離すことで、現場業務に専念できる環境を整えることがDXの第一歩 となるのです。

仕分けをしないとどうなるのか?

この仕分けを行わずにDX化を進めると、導入したツールが 「現場の仕事を減らすため」ではなく、「新しい作業を増やすもの」 になってしまうことがあります。例えば、クラウドシステムを導入したものの、
・「データの入力作業が増えた」
・「現場の施工管理者が、新しいツールを覚える負担が増えた」
・「かえって手間がかかるようになった」
といった状況が発生し、結果的に業務の負担が増えてしまうことになります。

こうした事態を防ぐためには、まず 「現場でやらなくてもいい業務」を明確にし、それを削減・移管していくことが最優先 です。その上で、単純な事務作業を先に効率化し、技術的な事務作業の外部委託を進める。これにより、DX化が本当に意味のあるものとなり、施工管理者の負担が軽減されていくのです。

ステップ2:単純な事務作業を現場から切り離す

第1段階で業務を 「単純な事務作業」「技術的な事務作業」「現場業務」 に仕分けたら、次に取り組むべきは 単純な事務作業を現場から切り離す ことです。施工管理の業務には、発注書の作成や工事写真の整理、各種書類の作成・提出といった デスクワーク中心の業務 が多く含まれています。しかし、これらの作業は 施工管理自身がやらなければならない仕事 ではありません。

このステップでは、施工管理が行っている 単純な事務作業」 を抜き出し、社内の事務スタッフや 建設ディレクター に移行することで、施工管理が 現場に集中できる環境を作る ことが目的となります。では、具体的にどのように進めていくべきなのかを詳しく説明します。

① 施工管理が日常的に行っている「単純な事務作業」をリストアップする

まずは、現場の施工管理が担当している事務作業をすべて洗い出します。この作業を行わなければ、「どの業務を切り離すべきか」が明確になりません。

施工管理の仕事の中でも、特に現場でやる必要のない作業 には以下のようなものがあります。

  • 見積書の作成(協力会社からの見積もりをまとめる作業)
  • 発注業務(発注書の作成や送付)
  • 役所・行政への提出書類の作成・提出
  • 工事写真の整理・データ管理
  • 会議の議事録作成・書類のスキャンやファイリング

これらの業務は、社内の事務スタッフや建設ディレクターに引き継ぐことが可能 です。施工管理がやるべき業務ではなく、他の人でも問題なく処理できる仕事なのです。

② 現場から単純な事務作業を切り離し、社内の事務スタッフや建設ディレクターに移行する

単純な事務作業を切り離すためには、誰がその業務を担うのかを決める 必要があります。

(1)社内の事務スタッフに移行する

社内に事務スタッフがいる場合、まずは彼らに任せられる仕事を振り分けていきます。
例えば、以下のような業務は事務スタッフが対応できる可能性が高いです。

  • 発注書の作成・送付 → 施工管理が発注内容を決定し、事務スタッフがシステム入力&送付
  • 見積書の作成・管理 → 各協力会社からの見積もりをまとめ、事務スタッフが一覧化
  • 工事写真の整理・管理 → 撮影した写真をデータ化し、適切に分類・保存
  • 提出書類の作成・提出 → 役所への提出書類を作成し、必要な手続きを代行

このように、デスクワーク中心の作業は 事務スタッフに移行 し、現場業務を直接担当する施工管理の手を離れるようにすることが重要です。

(2)建設ディレクターに業務を移行する

社内の事務スタッフだけでは対応しきれない業務や、より専門的な知識を必要とする事務作業については、建設ディレクターを活用する という選択肢もあります。

建設ディレクターは、施工管理が現場でしかできない仕事に集中できる環境を作ること を目的とした役割を担います。ITツールを活用し、遠隔で施工管理をサポートすることができるため、施工管理の業務負担を大幅に軽減することが可能です。

例えば、以下のような業務は建設ディレクターが対応できる分野です。

  • 施工計画書・安全管理書類の作成 → 施工管理の指示に基づき、必要書類を作成
  • 工事写真の整理・台帳作成 → クラウドツールを活用し、写真を分類&管理
  • 会議の議事録作成・情報共有 → 現場会議の内容を記録し、データ化・配布

これらの作業を建設ディレクターが担うことで、施工管理は「現場でしかできない業務」に集中*できる環境が整います。

③ 施工管理が「仕事が減った」と実感できる環境を作る

業務を切り離すことによって、施工管理の現場業務の負担が 実際に減っていることを実感できる環境 を作ることが重要です。

例えば、
・「今まで毎日2時間かかっていた書類作成の時間がなくなった」
・「事務スタッフが発注作業を代行するようになり、現場に集中できるようになった」
・「工事写真の整理を建設ディレクターに任せたことで、確認作業の負担が軽減された」
といった 目に見える成果 が出れば、業務効率化の効果を実感しやすくなります。

逆に、業務をただ移行するだけで管理が煩雑になったり、施工管理が新しい仕組みに対応できずに混乱してしまうと、かえって負担が増えてしまうことがあります。そのため、移行後の 業務フローを明確にし、役割分担をしっかり決める ことが成功のポイントです。

ステップ3:DX化や自動化を進める

第2段階で、施工管理の単純な事務作業を現場から切り離し、事務スタッフや建設ディレクターに移行しました。ここから第3段階に進み、DX化や自動化を進める フェーズに入ります。

この段階では、すでに施工管理の手を離れた業務を、さらに効率的に処理できる仕組みを整える ことが目的です。第2段階では、単純な事務作業が社内の事務スタッフや建設ディレクターに移行されたことで、施工管理の負担はある程度減りました。しかし、その業務を さらに圧縮し、最小限の手間で回せるようにする ために、ここで DXツールを導入し、業務の自動化を進める 必要があります。

DX化や自動化を進める理由

なぜここでDX化や自動化を進める必要があるのでしょうか?

第2段階の状態では、施工管理の負担は減りましたが、事務スタッフや建設ディレクターの作業量がそのまま残っています。これは、「施工管理がやるべきでない仕事」が「他の人がやるべき仕事」に変わっただけであり、根本的な業務削減にはなっていません

例えば、発注業務を事務スタッフが担当するようになった場合でも、

  • 発注書の作成
  • 発注内容の確認
  • 書類の送付
  • 納品チェック

などの作業は依然として発生します。

これを デジタルツールを活用してさらに圧縮する ことで、事務スタッフや建設ディレクターの作業時間を削減し、全体の業務量を大幅に減らすことができる のです。

DXツール導入の流れ

では、具体的にどのようにDX化や自動化を進めていくのかを、段階的に見ていきます。

(1)業務ごとに「自動化できるもの」と「手作業が必要なもの」を仕分ける

まずは、事務スタッフや建設ディレクターに移行された業務の中で、DX化や自動化が可能なものを見極めます。

具体的には、以下のような業務が自動化しやすいものとして挙げられます。

  • 帳票作成の自動化(発注書・見積書・工程表・安全書類など)
  • クラウドによるデータ管理(工事写真・図面・議事録・報告書など)
  • 電子申請の導入(役所への申請や承認フローのデジタル化)
  • タスク管理ツールの導入(進捗確認や業務共有の効率化)

一方で、完全に自動化が難しい業務もあります。たとえば、協力業者との調整やトラブル対応などは、まだ 人の判断が必要な業務 です。

こうした業務の仕分けを行い、まずは 「システム化できる業務」からDX化を進めていく ことがポイントになります。

(2)DXツールの導入と業務の効率化

次に、仕分けした業務に適したDXツールを導入していきます。

▶︎帳票作成の自動化
施工管理では、発注書・見積書・安全書類など、多くの帳票を作成する必要があります。これらを 「自動入力ツール」や「テンプレート機能」を備えたシステム に置き換えることで、手作業での記入を減らすことができます。
導入例:クラウド型の建設業向け帳票作成ツール(ANDPAD、KENTEMなど)

▶︎クラウドによるデータ管理
これまで紙で管理していた工事写真や図面、書類をクラウドに保存することで、どこからでもアクセスできるようになります。また、現場と事務所の間で情報共有がスムーズになり、書類を探す手間が大幅に削減されます。
導入例:Google Drive、Dropbox、施工管理向けのクラウドシステム

▶︎電子申請の導入
役所への提出書類や、社内承認が必要な書類を電子申請に切り替えることで、手続きの手間を減らすことができます。
導入例:電子契約サービス(DocuSign、クラウドサイン)

▶︎タスク管理ツールの導入
施工管理と事務スタッフ、建設ディレクターがリアルタイムで業務状況を共有できるようにすることで、無駄なやり取りを減らします。
導入例:Backlog、Trello、Asanaなどのプロジェクト管理ツール

このように、各業務に適したツールを導入することで、業務の負担を「ゼロ」に近づける ことが可能になります。

現場の人たちは「仕事が減った」と感じたままDX化が進む

ここで重要なのは、施工管理の業務負担を増やさずにDX化を進めること です。

DX化を進める際によくある失敗として、「施工管理自身がツールを使いこなさなければならない」という状況に陥ってしまう ことがあります。新しいシステムを導入したものの、

  • 「システムの入力作業が増えた」
  • 「新しい操作を覚えるのに時間がかかる」
  • 「結局、紙の方が楽だった」

といった理由で、かえって施工管理の負担が増えてしまうのです。

だからこそ、第3段階でDX化を進めるときには、施工管理が直接ツールを操作するのではなく、建設ディレクターや事務スタッフがツールを活用し、施工管理は「減った業務のまま」過ごせるようにする ことがポイントになります。

例えば、

  • 施工管理は写真を撮るだけで、建設ディレクターがクラウドに整理する
  • 施工管理は工事の進捗を伝えるだけで、事務スタッフがデータを入力する
  • 施工管理は発注内容を決めるだけで、帳票作成は自動化ツールが行う

このように、DXツールを「施工管理の業務負担を増やさずに」導入することが重要なのです。

ステップ4:技術的な事務作業を外に出す

第3段階でDX化や自動化を進めることで、施工管理の負担はある程度軽減されました。しかし、施工管理の仕事には、技術的な専門知識を要する事務作業 が多く含まれており、これらの業務も見直さない限り、施工管理の負担を完全に軽減することはできません。

そこで 第4段階では、「技術的な事務作業を外に出す」 ことに取り組みます。施工図の作成や資料作成など、技術が必要な事務作業の多くは、必ずしも現場で行う必要はありません。これらを社内の専門スタッフや外部パートナーに委託することで、施工管理は「現場に出ること」「指示を出すこと」に集中できるようになる のです。

技術的な事務作業とは?

ここでいう「技術的な事務作業」とは、施工管理が長年の経験や知識をもとに行う業務のうち、デスクワーク中心であり、必ずしも現場で対応する必要がないもの を指します。

具体的な技術的な事務作業の例

  • 施工図の作成・修正(CADを用いた作図、詳細図の作成)
  • 工程表の作成・調整(工期の調整やスケジュール管理)
  • 品質管理の資料作成(検査記録、品質証明書など)
  • 安全管理の書類作成(KY活動の記録、安全対策の報告書作成)
  • 施工計画書の作成(工法の検討、作業手順の策定)

これらの業務は、技術的な知識が求められるものの、施工管理が現場に出て行う必要はない作業 です。そのため、社内の専門スタッフや外部パートナーに委託することで、施工管理が現場業務に専念できる環境を作る ことができます。

技術的な事務作業を外に出す方法

技術的な事務作業を施工管理の業務から切り離すためには、大きく分けて 社内の専門スタッフに移行する 方法と、外部の専門業者に委託する 方法の2つがあります。

(1)社内の専門スタッフに移行する

多くのゼネコンでは、社内に「設計部門」や「技術支援部門」を設けていることがあります。これらの部門のスタッフに、技術的な事務作業を任せることで、施工管理の業務負担を軽減することが可能です。

例えば、

  • 施工図の作成・修正 → 社内の設計スタッフに依頼する
  • 工程表の作成 → 工事計画を専門に扱うスタッフが担当する
  • 安全管理書類の作成 → 安全管理部門の担当者が作成・チェックする

このように、社内のリソースを活用し、施工管理がやるべきでない技術的な事務作業を移行する ことで、現場の負担を大幅に削減できます。

ただし、社内のリソースには限りがあるため、「社内の専門スタッフだけでは対応しきれない」「専門知識を持つ人材が不足している」というケースも多く見られます。その場合は、次の 「外部パートナーに委託する」 方法が有効です。

(2)外部の専門業者に委託する

施工図の作成や施工計画書の作成などの技術的な事務作業は、外部の専門業者に委託することも可能です。特に、施工図作成を専門とする外注業者や、工程管理を代行する企業 など、建設業界には多くの専門パートナーが存在します。

外注できる技術的な事務作業の例

  • 施工図の作成・修正 → 施工図作成の専門業者に外注する
  • 施工計画書の作成 → 技術コンサルティング会社に依頼する
  • 品質管理資料の整理 → データ整理を専門とする外部業者に委託する

これにより、施工管理が 現場業務に専念できる時間が増え、作業効率が向上する ことが期待できます。

技術的な事務作業を外に出すメリット

技術的な事務作業を社内外に移行することで、施工管理の負担が大幅に軽減されるだけでなく、以下のようなメリットがあります。

① 現場業務に専念できる
施工管理が 「現場でしかできない仕事」 に集中できるため、現場の施工精度が向上し、管理業務の効率化が進みます。

② 専門スタッフによる品質向上
施工図や工程表の作成を専門スタッフが担当することで、ミスが減り、資料の精度が向上します。

③ 業務の標準化が進む
技術的な事務作業を専門の部署や外部業者に移行することで、業務の標準化が進み、「誰がやっても同じ品質の成果物を作れる」 仕組みが整います。

④ 残業時間の削減
施工管理が事務作業に追われる時間が減るため、長時間労働の是正につながります。

技術的な事務作業を外に出す際の注意点

技術的な事務作業を外部委託する際には、「施工管理の責任がゼロになるわけではない」 ことを理解しておく必要があります。

例えば、

  • 施工図を外注しても、最終的なチェックは施工管理が行う必要がある
  • 工程表を作成してもらっても、実際の工期調整は現場の状況を見て判断する必要がある

つまり、「技術的な事務作業を外に出したから終わり」ではなく、適切な監督やフィードバックを行いながら、業務の品質を維持することが求められるのです。

ステップ5:技術的な事務作業のDX化

第4段階では、施工図の作成や工程表の作成などの技術的な事務作業を、社内の専門スタッフや外部パートナーに移行 しました。これにより、施工管理は 「現場でしかできない仕事」 に集中できる環境が整いました。

しかし、ここで終わりではありません。さらに業務の負担を軽減し、効率を最大化するためには、第5段階として「技術的な事務作業のDX化」を進めることが重要 です。

この段階では、外部に移行した技術的な事務作業の中でDXと相性の良いものを選び、デジタル技術を活用して業務をさらに圧縮 していきます。例えば、BIM(ビルディング・インフォメーション・モデリング)やAIを活用し、施工管理の負担を最小限に抑える仕組みを作る ことで、最終的に会社全体の仕事量を削減していくことが可能になります。

技術的な事務作業のDX化とは?

「技術的な事務作業のDX化」とは、施工管理が直接手を動かさなくても、デジタル技術を活用して自動的に業務を進められる環境を作ること です。

例えば、

  • 施工図の作成・修正 → BIMを活用して効率化
  • 工程管理 → AIやクラウドツールを活用して自動化
  • 品質管理・検査 → デジタル管理システムを導入し、データ分析を活用

このように、技術的な事務作業をデジタルツールでさらに圧縮し、施工管理の関与を最小限にすることがゴール となります。

具体的なDX化の手法

では、具体的にどのような技術を導入し、DX化を進めていくのかを詳しく見ていきましょう。

(1)施工図作成のDX化(BIMの活用)

施工図の作成や修正は、施工管理にとって大きな負担となる作業の一つです。しかし、BIM(ビルディング・インフォメーション・モデリング)を活用することで、設計データをクラウド上で一元管理し、施工図の作成や修正を効率化 できます。

▶︎従来の問題点
・施工図の作成・修正に時間がかかる
・紙の図面でのやり取りが多く、修正作業が煩雑
・情報共有がスムーズにできず、現場との認識のズレが発生

▶︎BIM導入による解決策
・設計データをクラウドで管理し、リアルタイムで施工図を共有・修正できる
・3Dモデルを活用し、現場の施工イメージを直感的に把握できる
・施工管理が直接図面を修正する手間が減り、専門スタッフや設計者が対応できる

BIMの導入により、施工図作成にかかる時間を大幅に削減 し、施工管理の業務負担を軽減することができます。

(2)工程管理のDX化(AIの活用)

工程管理は、施工管理の重要な業務の一つですが、スケジュールの調整や進捗確認に多くの時間が取られてしまう という問題があります。ここで、AIやクラウド型の工程管理ツールを導入することで、業務の効率化が可能 になります。

▶︎従来の問題点
・工程表の作成や更新に時間がかかる
・進捗確認が紙ベースで行われ、リアルタイムの把握が難しい
・各協力業者とのスケジュール調整が煩雑

▶︎AI導入による解決策
・過去の施工データをAIが学習し、最適な工程表を自動作成
・クラウド上で工程表を管理し、リアルタイムで進捗を共有できる
・AIが遅延リスクを事前に分析し、問題が起こる前にアラートを出す

このように、AIを活用した工程管理を導入することで、施工管理が毎回手作業で工程表を作成・修正する負担を減らし、管理業務を大幅に効率化することが可能 になります。

(3)品質管理・検査業務のDX化

施工管理には、品質管理や検査業務も含まれています。これらの業務は重要ですが、書類の作成やデータ整理に時間がかかり、現場の負担が大きい という課題があります。ここで、デジタル管理システムを導入することで、業務の効率化が可能 になります。

▶︎従来の問題点
・検査結果を手書きで記録し、後からデータを入力する手間が発生
・写真や書類がバラバラに管理され、情報の整理が大変
・検査結果を関係者と共有するのに時間がかかる

▶︎デジタル管理システム導入による解決策
・検査結果をタブレットやスマートフォンでデジタル入力し、リアルタイムで共有
・写真や書類をクラウド上で一元管理し、検索・閲覧を容易にする
・AIがデータを分析し、品質管理の問題点を自動的に抽出

このように、品質管理のDX化を進めることで、施工管理の負担を大幅に削減することができます。

DX化を進める際のポイント

技術的な事務作業のDX化を進める際には、以下のポイントに注意することが重要です。

▶︎施工管理の負担を増やさないこと
新しいツールを導入する際に、施工管理自身が設定や運用を担当してしまうと、逆に業務が増えてしまいます。専門スタッフや建設ディレクターがツールを活用する体制を整えることが重要 です。

▶︎導入前に業務フローを整理する
DX化を進める前に、どの業務をどのツールで置き換えるのかを明確に整理 しておく必要があります。

▶︎現場との連携を強化する
新しいツールを導入した際には、現場の施工管理や協力業者がスムーズに活用できるよう、研修やマニュアルの整備も重要です。

まとめ

このように5つの段階を経ることで、施工管理の仕事は本当に必要なものだけに絞り込まれ、現場の人々が業務の負担を軽減しながら生産性を向上させることが可能になります。

DX化とは、単にツールを導入することではなく、まず業務を見直し、削減し、それから適切な手段を講じていくプロセスが重要です。施工管理の業務は昔に比べて格段に増えています。新しい法律やルールが次々に追加され、それに伴い書類業務も増え続けています。このままでは、現場の負担は増すばかりです。だからこそ、業務を整理し、分業を進め、DX化によって本当に必要な仕事だけに集中できる環境を作ることが重要なのです。

この5つのステップを意識しながら、現場の働き方改革を進めていくことで、より効率的で快適な仕事環境を実現できるはずです。ぜひ、今回の内容を参考に、DX化を進める際の指針としていただければと思います。

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