新しい工事に直面したとき、「やり方が分からない」「どう段取りを組めばいいのか不安だ」と感じることはありませんか? しかし、経験豊富な施工管理者の中には、どんな現場でもスムーズに対応できる人がいます。
彼らは特別な才能を持っているわけではなく、工事ごとに共通するポイントをしっかり押さえている のです。つまり、一つの工事を徹底的に学び、その知識を応用することで、どんな現場でも適切に対応できるようになります。
株式会社 RaisePLAN 代表取締役
武田 祐樹(たけだ ひろき)
【これまでの活動】
- 総合建設業で施工管理として17年勤務後、独立起業。
- 建設現場の生産性向上と施工管理の教育支援を展開。
- 中小企業庁「デジタル化応援隊事業」のIT専門家。
- YouTubeチャンネル『建設業を持ち上げるTV』を運営し、登録者1.2万人を獲得。教育特化長尺動画が8万回再生を突破。
- Instagramや音声配信など多メディアで情報発信。
- 電子書籍出版やオンラインセミナーを精力的に実施。
- 2023年3月、AbemaPrime出演で現場効率化施策が注目。
記事の監修
まずは一つの工事を深く理解し、応用できる力を身につける
新しい工事に対応できる施工管理者になるためには、まず一つの工事を徹底的に学ぶことが重要です。工事の種類は異なっても、実は共通する考え方が多く存在します。
例えば、「土工事」を深く学ぶことで、以下のような基本的なポイントを理解できます。
- どんな材料が必要か(掘削用の重機、埋戻し材、排水材など)
- どの職人が関わるか(重機オペレーター、測量士、手元作業員など)
- 工程の流れ(測量 → 掘削 → 埋戻し → 転圧)
- 事前に確認すべきポイント(雨天時の影響、地中埋設物の有無など)
このように、一つの工事を深く理解すれば、別の工事でも「何を確認すればよいのか」が見えてきます。例えば、内装工事でも「必要な材料」「関わる職人」「工程の流れ」「事前確認すべきポイント」を押さえれば、スムーズに段取りを組むことができます。
さらに、一度習得した知識を応用できるようになると、初めての工事でも戸惑うことなく対応できる力が身につきます。
これは施工管理に限らず、どの分野でも共通する考え方です。例えば、ピアノを長年練習した人は、ギターを始めても習得が早い傾向があります。それは、音楽の理論や指の動かし方など、共通する要素を応用できるからです。
施工管理でも同じで、まずは一つの工事を徹底的に理解し、次の工事では「以前の工事とどこが似ているか」を意識することが、新しい現場でもスムーズに対応するための鍵となります。
つまり、「新しい工事に対応できる力」は、突然身につくものではなく、今取り組んでいる工事をしっかり学び、その知識を応用することで培われていく のです。
どの工事にも共通するポイント
工事の種類が変わると、一見まったく違う作業のように思えますが、実はどの工事にも共通する基本的なポイントがあります。これらを押さえておけば、新しい工事に直面しても落ち着いて段取りを組むことができるようになります。
施工管理において重要なのは、「どの工事にも共通する考え方を理解し、それを応用すること」 です。工種が変わっても、必要な材料の把握、職人との連携、工程の流れの理解、事前のリスク確認といった基本は変わりません。
では、具体的にどのような点を意識すればよいのか、詳しく見ていきましょう。
必要な材料の把握
どんな工事でも、まずは必要な材料を正しく把握することが重要です。材料が不足すると作業が止まり、余りすぎてもコストの無駄になります。
例えば、土工事と内装工事では、以下のような材料が必要になります。
- 土工事:掘削用の重機、埋戻し材(砕石・改良土)、排水材(暗渠パイプ)
- 内装工事:石膏ボード、クロス、塗装材、下地材
工事の種類が違っても、どの現場でも「必要な材料を把握し、適切に準備する」ことが共通しています。新しい工事でも、まずはどんな材料が必要なのかをリストアップする ことから始めましょう。
どんな職人が関わるか
施工管理者の仕事は、一人で全てをこなすことではなく、職人たちと連携して工事を進めることです。そのため、工事ごとにどんな職人が関わるのかを把握しておくことが大切です。
具体的には、以下のような職人が関わります。
- 土工事:重機オペレーター、測量士、手元作業員
- 内装工事:軽天職人、ボード職人、クロス職人、塗装職人
工事の種類が変わっても、「どんな職人が必要か」「彼らとどのように連携するか」 という視点を持つことで、段取りが組みやすくなります。
特に、新しい工事に挑戦するときは、職人さんと事前に打ち合わせを行い、「いつ・どこで・何をしてもらうのか」 を明確にしておくことが重要です。
工程の流れとスケジュールの調整
どの工事にも、「作業を進める順番」があります。工程の流れを理解し、適切にスケジュールを組むことで、無駄のない施工が可能になります。
例えば、土工事と内装工事の工程を比較すると、次のようになります。
土工事の流れ
- 測量・遣り方(建物の基準を出す)
- 掘削(地面を掘る)
- 埋戻し(地盤を整える)
- 転圧(地盤を締め固める)
内装工事の流れ
- 軽天(壁の骨組みを作る)
- ボード貼り(壁の下地を仕上げる)
- クロス貼り・塗装(仕上げ作業)
- 最終チェック・引き渡し
工種は異なっても、「作業の順番を守らないと次の工程に進めない」 という共通点があります。
一つの工事の工程をしっかり理解すると、どの工事でもスケジュールの組み方が自然と分かるようになります。
事前に確認すべきポイント
工事をスムーズに進めるためには、事前にリスクを把握し、トラブルを未然に防ぐことが欠かせません。
例えば、以下のようなポイントが事前確認の対象になります。
土工事での注意点
- 雨が降ると掘削作業が進まない(天候の影響を受けやすい)
- 地中埋設物がないか事前調査が必要
内装工事での注意点
- 下地の施工精度が仕上がりに影響するため、施工前にチェックが必要
- 設備や電気工事と工程が重ならないよう調整が必要
どの工事にも「事前に確認すべきポイント」があるため、まずは工事のリスクを洗い出し、適切な対策を立てることを意識しましょう。
まとめ:どんな工事も、基本の考え方は同じ
「新しい工事だから難しそう…」「経験したことがないから不安…」と感じることがあるかもしれません。ですが、施工管理の基本的な考え方は、どの工事でも共通しています。
まずは、一つの工事を徹底的に学び、「必要な材料」「関わる職人」「工程の流れ」「事前に確認すべきポイント」 をしっかり理解することが大切です。これを習得すれば、未経験の工事に直面しても、応用して対応できるようになります。
また、一度学んだ知識は、他の工事にも活かすことができます。例えば、土工事を極めることで、内装工事にも共通する考え方が見えてくるように、基本を押さえていれば、どんな現場でも適切に段取りを組めるようになります。
施工管理の仕事は、経験を積めば積むほど、より広い範囲で応用が利くようになります。だからこそ、今目の前にある工事を深く理解し、確実に自分の知識として身につけることが、将来どんな現場でも通用する力を育てる近道なのです。
新しい工事に直面しても、「これは前に経験した〇〇工事と似ているな」と思えるようになれば、もう怖くありません。今取り組んでいる仕事を大切にし、確実にステップアップしていきましょう!