【若手を育てる時間が生まれる理由】コアエンジニアモデルのもう一つの効果

こんにちは、ライズプランの武田です。

これまでご紹介してきた「コアエンジニアモデル」は、少人数でも複数現場を無理なく回すための新しい働き方として注目されています。

施工管理の中核業務をリモートで担うことで、現場全体の生産性を底上げする。これがモデルの基本的な仕組みです。

ですが、このモデルの真価は、ただ業務を効率化することではありません。実は、若手を育てる時間を現場に取り戻すという、もう一つの重要な役割を担っています。

なぜ若手が育たないのか？

中小ゼネコンの現場では、「若手が思うように育たない」「教えているはずなのに成長が見えにくい」といった声が多く聞かれます。その背景にある最大の課題は、教える余裕が圧倒的に足りていないという現場の実情です。

現場は常に人手不足。ベテランも中堅も日々の業務に追われ、施工管理・安全管理・工程対応・職人との調整など、やるべきことが山積みです。そんな状況では、「1人の若手に付きっきりで教える」という理想はどうしても後回しになります。

結果として、「見て覚えろ」「失敗しながら慣れろ」というスタンスに頼らざるを得なくなります。これは“教えたくない”のではなく、“教えたくても、教える時間も心の余裕もない”という現場の苦しい現実なのです。

しかも、若手の多くは受け身で、教えられなければ動き出せないことも少なくありません。そのギャップがすれ違いを生み、気づけば若手が「置いていかれている」状態に陥ってしまうのです。

コアエンジニアモデルが生み出す“教育の余白”

コアエンジニアモデルとは、現場の中核（コア）業務を担う技術者が現場に常駐せず、遠隔から複数の現場を支援する仕組みです。具体的には、図面チェック、工程表の作成、安全書類の整備などをリモートで集中して行い、現場の手間を大きく軽減します。

この分業により、現場の実務担当者──特にベテラン社員の業務負担が大きく減り、“教えるための時間”が自然と生まれてくるのです。

たとえば、現場でこんな変化が起きます。

• 「今日の作業、俺が見るから、お前ちょっとやってみろ」
  今までは余裕がなくて任せられなかった小さな作業も、意図的に“経験の場”として若手に渡せるようになります。
• 「今忙しい」から「今ちょっと見てやるよ」に変わる
  若手が質問したとき、スルーされがちだった声にもリアルタイムで応えられるようになり、指導の機会が格段に増えます。
• “やりながら覚える”ではなく、“意図して教える”時間が生まれる
  雨天などで現場作業が止まったタイミングを使って、納まりの考え方や段取りの意図などを落ち着いて伝えられるようになります。
• 指導がその場限りの場当たり対応から、“計画的な育成”へ変わっていく
  ベテランが、若手がどこでつまずいているのかに気づき、段階的に伝えていく余裕が生まれます。

つまり、コアエンジニアモデルは「時間の使い方そのものを再設計する働き方」であり、若手育成という“未来への投資”に時間を回せるようにするための仕組みなのです。

技術は、時間の中で伝わっていく

どれだけ豊富な経験や高い技術を持っていても、現場に余白がなければ、その知識は次世代に受け渡すことができません。教えるという行為は、「手を止めて相手に向き合うこと」であり、それには何より“時間”が必要です。

コアエンジニアモデルは、リモートによる業務分担によってその時間を現場に取り戻します。ベテランや現場リーダーが、教えることに集中できるだけの余白を持てるようになるのです。

その時間があれば

• 「この作業、お前やってみろ」と任せてみる勇気が持てる
• 手元を見せながら、「こうやってやるんだ」と実演できる
• 質問を受けても「ちょっと今見てやるよ」と立ち止まって対応できる

それら一つひとつが、若手にとってはかけがえのない「現場でしか得られない学び」となります。そして、それが積み重なっていくことで、ようやく“技術の伝承”は本当の意味で機能し始めるのです。

教育が回り出す仕組みが、未来を育てる

コアエンジニアモデルによって生まれる“時間の余白”は、作業を効率よく回すためだけのものではありません。この余白があるからこそ、人が育つ環境づくりが本格的に動き出します。

• 中堅社員はリモート業務に専念し、複数現場を横断して支援・調整が可能に
• ベテラン社員は、現場での判断や若手指導にしっかり向き合う時間が持てる
• 若手社員は、経験を積むチャンスが増え、実践を通じて着実に成長していく

この流れが定着すれば、若手がやがて中堅となり、次の「コアエンジニア」として活躍し始めます。そして、自らの経験を次の世代に受け渡す側へと進んでいく。そんな育成の循環が生まれるのです。

“現場を動かす”だけでなく、“人を育てる仕組み”を動かす。
それが、コアエンジニアモデルが持つもう一つの価値であり、これからの建設業に欠かせない視点だと考えています。

まとめ

若手が育たない理由は、決して能力や意欲の問題ではありません。その多くは、教えたくても教える時間がないという現場の構造的な課題に起因しています。

コアエンジニアモデルは、こうした状況に正面から向き合い、教えるための時間と余裕を現場に取り戻す仕組みです。

図面や工程表、安全書類の対応をリモートで分担し、現場を身軽にする。その結果として生まれるのは、教える時間・任せる勇気・伝える余白。つまり、“人を育てる現場”です。

今こそ、現場の働き方を見直し、「人が育つ仕組みづくり」に踏み出しましょう。人を育てることが、現場の力を育て、未来の現場をつくっていくのです。

「コアエンジニアモデル」に関心を持たれた方へ

「コアエンジニアモデル」は、施工管理の効率化・働き方改革・企業の成長を同時に実現する、新しい仕組みです。

• より効率的な施工管理の仕組みを導入したい
• 人手不足の課題を解決し、受注量を増やしたい
• 施工管理者の長時間労働を削減し、働きやすい環境を作りたい

このような課題を抱える企業にとって、「コア・エンジニアモデル」は大きな変革のチャンスとなります。しかし、導入には慎重な準備と適切なサポートが不可欠です。

• 段階的な導入で、現場の負担を最小限に抑える
• デジタルツールの活用に慣れるための教育を実施
• 専門家のアドバイスを活用し、最適な導入方法を設計
• 社内の理解を得て、スムーズな運用体制を築く

現場ラボでは、「コアエンジニアモデル」のスムーズな導入をサポートしています。

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