建設現場では、 「どのくらいのコンクリートが必要か?」 を正確に計算することが欠かせません。
この計算を 「積算(せきさん)」 といい、 コスト管理や材料発注の精度を高めるための重要なスキル となります。
本記事は 「コンクリートの積算方法」 について、初心者の方でも スムーズに理解できるよう 解説します。
積算は一見難しそうに感じますが、 高校レベルの数学ができればOK!
この記事を読むことで、 積算の基本ルールから「コンクリート数量の拾い方」まで 現場で使える知識を 短時間で習得 できます。
それでは早速、積算の世界に踏み込んでいきましょう!
- コンクリート積算の基本ルール
- 「拾い」と「積算」の違いと実践的な計算方法
- 現場で役立つコンクリート数量の拾い方
- コスト管理や材料発注の精度を高めるスキル
株式会社 RaisePLAN 代表取締役
武田 祐樹(たけだ ひろき)
【保持資格】
- 一級建築士
- ー級建築施工管理技士
- 一級土木施工管理技士
【これまでの活動】
- 総合建設業で施工管理として17年勤務後、独立起業。
- 建設現場の生産性向上と施工管理の教育支援を展開。
- 中小企業庁「デジタル化応援隊事業」のIT専門家。
- YouTubeチャンネル『建設業を持ち上げるTV』を運営し、登録者1.2万人を獲得。教育特化長尺動画が8万回再生を突破。
- Instagramや音声配信など多メディアで情報発信。
- 電子書籍出版やオンラインセミナーを精力的に実施。
- 2023年3月、AbemaPrime出演で現場効率化施策が注目。
記事の監修

株式会社 RaisePLAN 代表取締役
武田 祐樹(たけだ ひろき)
【保持資格】
- 一級建築士
- ー級建築施工管理技士
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【これまでの活動】
- 総合建設業で施工管理として17年勤務後、独立起業。
- 建設現場の生産性向上と施工管理の教育支援を展開。
- 中小企業庁「デジタル化応援隊事業」のIT専門家。
- YouTubeチャンネル『建設業を持ち上げるTV』を運営し、登録者1.2万人を獲得。教育特化長尺動画が8万回再生を突破。
- Instagramや音声配信など多メディアで情報発信。
- 電子書籍出版やオンラインセミナーを精力的に実施。
- 2023年3月、AbemaPrime出演で現場効率化施策が注目。
【ざっくり検算】簡易的な計算方法もあります↓
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「拾い」と「積算」って何?
コンクリートの積算には、大きく分けて 「拾い(ひろい)」 と 「積算(せきさん)」 という2つの方法があります。
用語 | 説明 |
拾い(ひろい) | 施工図をもとに 実際に施工するためのコンクリートの量 を計算する方法。 |
積算(せきさん) | 設計図をもとに 見積もりの金額を計算するためのコンクリートの量 を算出する方法。 |
つまり、拾いは「施工のため」、積算は「見積もりのため」に行う計算 なんです!
どちらも「コンクリートの量を計算する」という点では同じですが、目的が違うので注意しましょう。
積算をするために必要なスキル
コンクリートの積算を行うには、次のスキルが必要です。
① 数学の基本
積算では、コンクリートの 体積(㎥) を求めます。
高校で習う 「ヨコ × タテ × 高さ」 の計算ができればOK!
例えば…
縦 3m × 横 2m × 高さ 0.5m の壁 の場合、
3 × 2 × 0.5 = 3.0㎥ というふうに計算します。
② 図面を読む力
コンクリートの積算では、以下のような図面を読み取る力が必要です。
- 設計図:建物の全体の設計が書かれている図面
- 施工図:実際の施工に必要な詳細が書かれている図面
- 基礎伏図、梁伏図 など、部位ごとの図面
最初は難しく感じるかもしれませんが、基本的な図面の見方は 別の学習コンテンツ で学ぶことができます。
③ 表記のルールを理解する
積算では、計算ミスを防ぐために 数字の表記ルール を守ることが大切です。
例えば…
- 小数点以下の数字は 「上に小さく書く」
→ 12.840 を書くときは 「12.」 の右上に 「840」 と小さく記入 - マイナスの表記は 「▲(三角マーク)」を使う
→ 「-12.840」 ではなく 「▲12.840」 と記載
こうすることで、読み間違いを防ぎます。
ここまで理解できれば、次に本格的に積算の話を進めていきます。まずは「設計図積算」について解説しますので、確実に理解してくださいね。では、次のステップへ進みましょう!
設計図積算とは?
「積算」とは、コンクリート工事の 見積もり金額を算出するための計算 です。
設計図をもとに 「どのくらいの材料が必要か?」 を計算し、工事にかかる費用を見積もります。
設計図積算のポイント
- 共通の寸法を使う → 同じ寸法の部分はまとめて計算 する
- コンクリートだけじゃなく、掘削・砂利・型枠・左官なども一緒に計算 → 積算では コンクリート以外の工事 も考慮する
例えば…
建物の基礎部分を積算する場合

- 体積(㎥):コンクリートの数量
- 型枠の面積(㎡):コンクリートを流し込むための枠の面積
- 左官のコテ均し面積(㎡):コンクリートを仕上げるための面積
- 掘削土量(㎥):掘った土の量
このように、積算は コンクリート工事のすべてを考えた計算 になっています。
積算を始める前にやるべきこと
積算を始める前に、次の2つのポイントを押さえましょう!
① 何を知りたいのかを明確にする
積算の目的によって、計算する内容が変わります。たとえば、次のような目的の違いがあります。
目的 | 具体例 |
全体の数量が知りたい | 建物全体のコンクリートの合計量 |
部位ごとの数量が知りたい | 基礎・柱・梁・スラブごとの数量 |
打設範囲ごとに分割したい | 「1階」「屋上」「A工区」など |
目的を明確にしないと、あとで「こんな計算じゃダメだった!」とやり直すことになります。「自分は何のために積算をするのか?」をしっかり考えましょう!
② 計算の順番を決める
積算には 「拾い出す順番」 がとても大切です。
順番を決めずに計算すると、抜け漏れやミスが増えてしまいます。
部位 | 拾い出す順番 |
基礎部分の積算 | ①ベース → ②底盤 → ③柱 → ④地中梁 → ⑤壁・布 → ⑥スラブ |
上階の積算 | ①柱 → ②梁 → ③壁 → ④スラブ → ⑤階段・その他 |
上から順番に積算すれば、計算ミスを防ぎ、抜け漏れを防ぐことができます!
「トレーサビリティー」の考え方
トレーサビリティーとは、後からチェックできるようにすること!
積算は「ただ計算して終わり」ではなく、間違いがないか後から確認できるようにすることが大切 です。だから、自分だけがわかる計算式ではダメなんです。
例えば、こんな計算をしたとしましょう。
柱のコンクリート量
- 柱 0.6m × 0.6m × 2.72m × 4本 = 3.917㎥
- ベース 2.0m × 2.0m × 0.8m × 1つ = 3.200㎥
- ベース 1.8m × 1.8m × 0.6m × 1つ = 1.944㎥
これを どこで計算したか明確に記録しておく ことで、あとでチェックしやすくなります。
記録の仕方の例
- 柱 C2 : X2 通り → 0.6×0.6×2.72×4=3.917
- ベース F4 : X1-Y3 → 2.0×2.0×0.80×1=3.200
- ベース F2 : X3-Y1 → 1.8×1.8×0.60×1=1.944
このように、計算の元となった図面や位置を記録しておくと、「どこでこの数字が出たの?」 という疑問がなくなり、あとで見直すときにすぐ確認できるようになります!
積算演習(設計図)
では、実際に設計図を使ってコンクリートの積算をしてみましょう!積算の手順は 拾い出しの順番 を意識することがポイントです。
積算の手順(例:設計図の拾い)
- ベースのコンクリート量を求める
- 柱(GL下)のコンクリート量を求める
- 梁(GL下)のコンクリート量を求める
- スラブのコンクリート量を求める
- トレーサビリティーを意識して計算を記録する
この順番で拾い出すことで、計算ミスを減らし、「どこを計算したか」が明確になります!
それでは積算をやってみましょう。目安時間は30分です!

回答例はこちらです。参考にしてみてください。

ここまでのまとめ
- 拾い(ひろい) は 施工のため 、積算(せきさん) は 見積もりのため の計算
- 積算には 体積計算、図面を読む力、表記ルールの理解 が必要
- 設計図積算 では、コンクリートだけでなく 型枠・掘削・左官なども考慮 する
- 積算を始める前に、何を知りたいのかを明確にする!
- 拾い出す順番を決めることで、計算ミスを減らせる!
- トレーサビリティーを意識して、計算の根拠を記録する!
積算は、「適当に計算して終わり」ではなく、正確に積み上げることが大切 です。
次は 「施工図積算」について詳しく解説していきます!
では、次のステップへ進みましょう!
施工図積算とは?
施工図積算とは、実際の工事を行うために必要なコンクリートの数量を正確に算出する積算方法です。
施工の流れや現場の状況を考慮しながら計算を行うため、設計図段階の積算とは異なるポイントがいくつかあります。
設計図積算と施工図積算の違い
積算には 「設計図積算」 と 「施工図積算」 の2種類があることを学びましたが、それぞれの違いを改めて整理してみましょう!
項目 | 設計図積算 | 施工図積算 |
目的 | 見積もりのための数量を算出 | 施工のための数量を算出 |
計算対象 | 構造体のみ(コンクリート+型枠+掘削など) | コンクリートのみ |
使用する図面 | 設計図(構造図・伏図など) | 施工図(詳細な施工方法が記載) |
計算の精度 | ある程度の概算 | 施工に必要な正確な数量 |
つまり、設計図積算は「お金の計算」、施工図積算は「工事のための計算」 です!
施工図積算で意識すべきポイント
- 施工の流れを考える
- 施工順序によってコンクリートの打設方法が変わる
- 例えば、「最初にベースだけ打つ」「部分ごとに打設する」 など
- 設計図よりも数量が増える場合がある
- 増しコン(補強や保護のためのコンクリート)
- フカシ(段差を作るための追加コンクリート)
- 段差補強 など
施工図積算では、施工性を考慮して、設計図よりも少し多めの数量を拾う ことになるのです。
施工図を使った積算演習
では、実際に施工図を使って積算をしてみましょう!ここでも 「拾い出しの順番」 を意識することが大切です。
施工図の記号の読み方
施工図にはさまざまな 記号 が使われています。
例えば、以下のようなものです。
記号 | 意味 |
F | 基礎ベース(フーチン) |
C・P | 柱・間柱 |
S | スラブ |
G・B | 大梁・小梁 |
他にも様々あり、また図面によっても癖があります。施工図を見るときは 凡例(図面の説明) を確認して、どの記号がどの部位を指しているのかを理解しましょう!
施工図積算の基本的な流れ
施工図積算では、次の順番でコンクリートの数量を拾い出していきます。
- ベースのコンクリート量を求める
- 柱(GL下)のコンクリート量を求める
- 地中梁のコンクリート量を求める
- スラブのコンクリート量を求める
※トレーサビリティーを意識して計算を記録する
この順番で拾い出せば、計算ミスを減らし、整理しながら積算を進めることができます!
それでは積算を実際にやってみましょう。目安時間は30分です!

回答例はコチラ。参考にしてみてください。

設計図積算と施工図積算の比較
ここまで学んだ 「設計図積算」と「施工図積算」 の違いを、もう一度整理してみましょう。
項目 | 設計図積算 | 施工図積算 |
目的 | コスト管理・見積もりのため | 施工のため |
計算対象 | コンクリート + 型枠 + 掘削 | コンクリートのみ |
必要な情報 | 設計図・構造図・伏図 | 施工図・伏図 |
数量の差 | 設計通りの数量 | 増しコン・フカシなどを含めた数量 |
精度 | ある程度の概算 | 施工の実際に合わせた正確な数量 |
ポイント
- 設計図積算は、「どれくらいの材料が必要か?」 を決めるための積算
- 施工図積算は、「どうやって工事をするのか?」 を考えながら積算
実際の施工では、設計図の数量通りにコンクリートを打つわけではありません!現場での作業効率や施工方法を考慮し、数量が増えることもあります。
ここまでのまとめ
- 施工図積算は、施工のための正確な数量を算出する積算方法!
- 施工の順序や増しコン・フカシなど、設計図とは違う要素を考慮する!
- 設計図積算は「コスト管理」、施工図積算は「施工のため」!
- 伏図を正しく読んで、拾い出しの順番を意識する!
施工図積算は 「実際に施工するときにどれだけのコンクリートが必要か?」 を考える積算方法です。設計図積算とは少し違った視点が必要になりますね!
積算のまとめ
積算を正しく行うためには、目的に応じた計算方法を理解し、実際の施工に必要な数量を正確に把握することが大切です。ここでは、積算の重要なポイントを改めて整理していきましょう!
① 積算の目的によって計算が変わる
積算には 設計図積算 と 施工図積算 の2種類がありましたね!
それぞれの 目的 によって、積算方法が変わることを理解しておくことが重要です。
積算の種類 | 目的 | 計算内容 |
設計図積算 | 見積もり金額を出す | コンクリート+型枠+掘削など |
施工図積算 | 実際に施工するための数量を出す | コンクリートの数量のみ |
設計図積算は「お金の管理」、施工図積算は「工事のための計算」
積算の目的を間違えると、
「計算したけど、実際の施工に使えない…」なんてことになってしまいます!
② 設計図積算と施工図積算は「同じ量」ではない
設計図積算で出した数量と、施工図積算で出した数量が ピッタリ同じ とは限りません!
施工図積算では、
- 増しコン(補強のためのコンクリート)
- フカシ(段差を作るための追加コンクリート)
- 段差補強 など
設計図には記載されていない「実際の施工」に必要なコンクリートを考慮する必要があります。
設計図積算=理論的な計算、施工図積算=現場での実際の数量
この違いを理解して、積算を行いましょう!
③ 大きな建物でも積算の基本は同じ
「大きな建物の積算は難しそう…」と思うかもしれませんが、
やることは小さな建物と変わりません!
積算は 「単純な計算の繰り返し」 です。
大きな建物でも、以下のように 部位ごとに分けて積算 していけばOK!
- X1~X2通 → X2~X3通 → Y1~Y2通 …
- 基礎 → 柱 → 梁 → スラブ
- 1階 → 2階 → 3階 …
このように 整理しながら積算することで、間違いが少なくなり、正確な計算ができます!
④ 計算を見直せる「トレーサビリティー」が大事
積算は 間違いが許されない計算 です!そのため、積算した数量の 根拠(どの部分を見て計算したか) を明確に記録することが重要です。
- 「どの位置のコンクリートか?」を明記する
- 「順番通りに計算式を残す」ことで、間違いを発見しやすくする
積算ミスがあると、工事の進行が止まったり、コストが大きく変わったりするので、
トレーサビリティーを意識した積算を心がけましょう!
- 積算は「目的」によって計算が変わる!
- 設計図積算は「お金の管理」、施工図積算は「工事のための計算」!
- 施工図積算では、増しコンやフカシなども考慮する!
- 大きな建物でも、部位ごとに整理して積算すればOK!
- トレーサビリティーを意識して、計算の根拠を明確にする!
- 「積算ができる人」は、現場でも評価される!
最後に
ここまで読んで、「積算って面白そう!」と思えたら嬉しいです。もちろん、最初は分からないことが多いかもしれません。
でも、基本のルールを覚えれば、積算は確実にできるようになります!ぜひ、実際の図面を見ながら、積算を練習してみてください。
「難しそう…」と思ったら、 「ここで差をつけるチャンス!」 と考えて、ぜひ積算をマスターしてくださいね!
これで 「コンクリートの積算方法」 の解説は終わりです。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました!
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「実務を教えてくれる人がいない」「施工管理を独学で学ぶのが難しい」と悩む新人・若手。
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教育の仕組みを整えれば、現場はもっと強くなる。
その悩み、ぜひ一度ご相談ください。