建設業の仕事

建設業における仕事は、大きく2つ「公共工事」と「民間工事」に分けられます。
公共工事とは、国や都道府県、市町村などが発注する工事のことを指します。簡単に言うと、税金を使った工事といえばわかりやすいでしょう。
対する民間工事とは、個人や法人などが発注する工事のことを指します。補助金などという形で税金が使われることもありますが、基本的には個人や法人が負担して行う工事のことです。
建築は民間工事が比較的多く、土木はほとんどが公共工事となります。まずはこのような発注形態であることは押さえておかなければいけません。
今回は、この2種類の工事に対し施工管理を行う上で、押さえておきたい考え方についてお話します。円滑に進める上で有益な知識になると思いますので、ぜひ最後まで読んでみてください。
公共工事と民間工事の違いとは

まず前段であったように、公共工事には税金が使われており、そして民間は自分たちのお金を使います。これによって、工事を担当する施主側の心理は大きく変わってきます。ここからは少し失礼な言い方になるかもしれませんが、ご容赦願います。
公共工事を担当するいわゆる「監督員」は、人のお金を運用することになります。だって、出所は税金だから。言ってしまえば、どうなろうと痛くもかゆくもありません。だからこそ、言われた通り、書かれた通りが基本的な正義となります。
彼らが守らなければいけないものは何かというと、それは「立場」なのです。税金という他人のお金かつ公共的なお金を、無駄遣いしたとあっては一大事。全国民から一斉に非難を浴びることにつながります。
「なぜこの工事が必要なのか」という大義名分が大切であり、着工するまでの計画をその方針に沿って進めてきた経緯があります。その上で最終的に工事を執行する立場になっているのが、たまたまその監督員なのです。
彼らは渡されたバトンと、しっかりと全うすることが重要。ゆえに、より良いものへ変更をかけるということは不必要であり、若干迷惑な話。だって変更をかけた時点で、自分にその重たい責任がのしかかるのですから。自分のせいで国民から非難を浴びることになるのは不本意ですよね。
だからこそ、僕ら施工管理が公共工事で意識しなければいけないのは、【監督員の立場を守ること】といえます。おかしな部分を修正する変更は名誉ですが、一般的なものをより素晴らしいものにする変更は、万が一立場を失いかねないもの。そこを守ってあげるのです。
これに対し民間工事の「担当者」はどうでしょうか。場合にもよりますが、基本的には自分の利益に直結するお金を運用することになります。だから原則としては、よりコストパフォーマンスの高いものを追い求めます。
失敗するということは、使いづらくなること。無駄遣いをするということは、利益が下がることです。だからこそ金額を上げることなく、いかに良いものにするのかを重視するのです。
安くなって同じ品質なのであれば、それは名誉なこと。計画で無駄な部分があればどんどん変更をかけることを望みます。使いづらい部分や見えていなかった部分が見つかり、改善につながる変更が行われることは利益に直結するのですから。
つまり、僕ら施工管理が民間工事で意識しなければいけないことは、【理にかなった建物を造ること】といえます。金額が下がる、もしくは変わらない中で、もっと良いものがあるならガンガン提案をして、担当者の株を上げることに注力するのが正義といえるのです。
公共工事と民間工事の違いは、お金の出所だけの話ではありません。結局僕らは人間と仕事をしているのです。
その人たちの属性を把握し、立場を理解し、そしてそれをしっかりと守り持ち上げてあげることこそが、裏方である僕らの役割ともいえるのです。