本記事では、現場ラボが行った現場の働き方改革11の施策の中の事例【朝礼の自動化】について紹介します。
- 導入コスト:180,000円程度
- 必要なもの:大型モニター、同架台、接続機器と通信環境、専用パソコン
- 時間:195時間の削減
- コスト:400,000円程度の削減
現場が始まる前、職人さんを一堂に返し行われる朝礼。住宅の現場はあまりないかもしれませんが、多くのゼネコンの現場では行われています。
もしもこの朝礼をやらなくていい、と言われれば、朝楽になると思いませんか?という発想からこれを自動化させた、という取り組みです。後から知りましたが、実は大きな会社で取り組んでいるところもあるそうです。前例があると安心しますよね。
よく考えてください。ラジオ体操は全員がやっているでしょうか。朝礼での僕らの話、全員が聞いているでしょうか。遠くの人は全然参加していないのではないですか?全員がやっていないのなら、それはやらなくてもいいのでは?というのが第一の発想でした。
でも、伝わらなければまずいこともあります。安全は特にそうです。だったら、もっと効率的に届ける方法はないのか?を模索した結果、この形式にたどり着きました。施工管理にとってみると、朝礼後の質問ラッシュはかなりきついもの。時には行列ができることもあります。
朝の多忙時間に自由が生まれ、職員・職人共にスタート時間を選べる自由度が高い施策。
今回は【朝礼の自動化】について、基本的な使い方とメリットやデメリット、そして応用的な使い方までお話していきます。
導入の基本
朝礼の本質は何でしょうか。これを問い詰めてみると、出てきた答えは2つ。
- 今日の作業を理解してもらうこと
- 安全上大切なポイントを分かってもらうこと
実はラジオ体操も、集まるという行為自体も、本質的には不要。だってきちんと体操していない人も多くいるし、時間に間に合わない人だっていますよね。それでも問題ないなら、それは本質ではないのです。
そこから導き出した施策は、「モニターで朝礼動画を流し続ける」というものです。
前日に撮影しておいた動画を、決まった時間に大型モニターで放映するだけ。「来たら必ず朝礼動画を見ること」「職長は始める前に事務所によること」この2つのルールを定め、あとは朝礼動画を延々ループ再生すればよいのです。職人さんは自分の良い時間に勝手に見て理解することができるのです。
メリット
- 朝の多忙な時間がかなり緩和される
- 遅刻しそうだと焦ることがなくなり、交通安全上も効果がある
- 前に出て話すのが苦手な人も、撮影するので気持ちが楽
- 台本を作れるので言い忘れ、伝え忘れがなくなる
デメリット
- 簡単な動画編集スキルが必要
- 大人数だと、逆に見ずらいことがある(モニターの増設が必要)
- 撮影に慣れるまでは、少し恥ずかしい
- 朝、放映するための仕組み作りが必要
応用的な活用方法
・オンライン事務員に遠隔で放映と停止をやってもらっていた
・大規模な現場は、持ち場近くにモニターを設置するのも良い
・朝礼後のモニターを有効活用することも可能(行事予定、安全書類、図面などを放映)
・ラジオ体操は別のところで音楽をループ再生させるのが良い
ポイントまとめ
何人かの職人さんに聞くと「朝焦ってくる必要がないのが楽」「いつもは声が聞こえてなかったが、図面付きで解説するのは助かる」との声が聴けました。また当初、嫌がられるかと思われた動画の撮影も「人前に出るよりは楽です」との答えが出てきたのが驚きでした。
結局はルールをいかにして周知するのかが重要。ここさえクリアできれば、実際の朝礼よりも自由度が高く、そして周知性も良い。人前で話すのが苦手な人をも救うことのできる施策といえます。
何より朝ゆっくりとコーヒーを飲む時間ができた気がするくらいの、気持ち的余裕を持てたという印象の結果。導入には少しハードルが高いと思いがちですが、試してみる価値があるのではないでしょうか。