本記事では、現場ラボが行った現場の働き方改革11の施策の中の事例『外注先の新規開拓』について紹介します。
本題の趣旨
2021年6月から2022年3月にわたって地場ゼネコン2社と協力し、『現場の効率化11つの施策』を導入した現場を運営していました。その結果2100時間以上の業務削減を達成し工期の短縮そして残業ほぼなしということで推移した施策を皆さんに共有させていただくという趣旨になります。
そして、今回のテーマは『外注先の新規開拓』になります。
結論からお話しすると、以下のような結果になりました。
- 導入コスト:190,000円程度
- 必要なもの:写真整理ツール
- 時間:56時間の削減
- コスト:20,000円程度の増額
非常に漠然とした内容ですが、可能性の秘めた方法になります。効率化案を模索していくと「外注化したいけど、やってくれる人がいない」という場面に出くわすことがあります。そんな時、もっと柔軟に考える必要が出てきます。
つまり「外注先がないのなら、作ってしまえ」という強引な発想です。今回の試験運用で取り組んだものは、基礎配筋写真の外注化です。これはほんの一例に過ぎませんが、この取り組みをヒントに発想を膨らませていってほしいと思います。
そもそもすべての配筋写真を外注化できたとすればかなりの効率化ですよね。でも、これにはそれなりの図面読解能力と鉄筋工事に関する知識が必要です。
そんな都合の良い人はいないよな、と思いながらも考えてみました。そこで浮上してきたのが「超音波探傷試験業者」です。
鉄筋の圧接部の検査を行う業種です。彼らは鉄筋に対する知識もあり、図面も読むことができます。鉄筋の時期には必ず顔を出す業者ですし、ついでに撮るということが可能なのではと考えました。すぐに交渉し、今後の業務の発展性を考えた結果、合意してもらうことで実現しました。
それでは、基礎配筋の外注化について、導入の基本とメリットやデメリット、そして応用的な使い方までお話していきます。
導入の基本
まずは過去物件の写真をサンプルとして見ておいてもらいます。基本的な取り方を伝えます。そして何か所かを一緒に周って進めてみます。そもそも知識は豊富にあるため、1年生に教えるのとはわけが違います。実際にはそれぞれ1~2か所回った時点で、もう問題ないところまでこぎつけました。
撮影用のタブレットや、必要なソフトなどは事前に渡すか導入してもらいます。撮ったのであれば、整理まで行ったものを納品してもらった方が効率が良いので、実験のつもりでお願いしました。結果は、非常に出来栄えの良いもの。そもそも報告書を作る業務に慣れている彼らには朝飯前の作業だったのかもしれません。
外注化のメリット・デメリット
メリット
- かなりの時間をとられる配筋写真をやらなくてよくなる
- 写真整理の時間も圧倒的に少なくなる
- 今後もお願いし続けることが可能になる
デメリット
- 前例がないため、お金の取り決めに苦労する
- 呑み込みの良し悪しによって教える時間が変わる
- 作業中に鉄筋工に修正してもらうことが困難
- 若手の知識が伸びない
応用的な活用方法
・小さな規模の現場をかけ持つ際などにはかなり重宝する
・超音波探傷業者の閑散期には通常の工事写真もお願いできる可能性がある
・模索の仕方によってさまざまなマッチングが考えられる
ポイントとまとめ
配筋写真は隠ぺい部として重要な部分です。写真を撮りながら配筋について学び、同時にチェックをして修正を指示するというものも、実際には行わなければいけません。写真を撮る業務がなくなるのなら、そのチェックに専念することもでき、考え方次第では知識がより深くなることになるかもしれません。
常識的な考え方をするのなら、この発想には絶対に至りません。ただ柔軟に考え、共通点を見極めていくことができるのなら、依頼される業者にとってもメリットになるかもしれないのです。躯体業者は冬に仕事がなくなることがあります。そんな時、内装工の運搬を依頼するなどのマッチングをするなども考えられます。
広い視野で考えることで見えてくる施策もあります。良し悪しにかかわらず、試験を行って検証していくプロセスをより多くとることが、成功へのカギとなるかもしれないと理解しましょう。この施策は、無限大の可能性を秘めています。